マンスプレイニングの意味とは? 具体例や男性心理も解説
上司や周囲の人のマンスプレイングが「うざい」と思った経験はありませんか? 今回は、マンスプレイニングとはどういう意味か、具体例と共に紹介。また、そのようなことをする男性の特徴や心理、対処法について、心理カウンセラーの高見綾さんが説明します。
ここ数年、ネットを通じて広まってきているマンスプレイニング(mansplaining)という概念。あなたはその意味を知っていますか?
今回は、マンスプレイニングをする人の心理や撃退法を解説。いざ、そういった場面に出くわした時に、賢く対処できるように知識を身につけておきましょう。
マンスプレイニング(mansplaining)とは? 意味や語源を解説
マンスプレイニング(mansplaining)とは、具体的にどういう意味なのでしょうか。まずはその定義を理解していきましょう。
意味
マンスプレイニング(mansplaining)とは、男性が女性を見下ろしながら、偉そうな態度でアドバイスや解説をすること。
女性は男性よりも無知であるという意識から、「君はこんなことも知らないのかい?」と、知識をひけらかすような態度を指して使います。
語源
man(男)とexplain(説明する)をかけ合わせた言葉で、アメリカ人作家のレベッカ・ソルニットが2008年に発表したエッセイから生まれたとされています。
欧米ではハラスメントの一種として社会的に知られ、日本ではここ数年ネットを通じて広まってきている概念と言えるでしょう。
対義語は存在する?
では、マンスプレイニングに対義語は存在するのでしょうか。
現状は、女性が男性を見下しながら意見することに対し、マンスプレイニングのような造語(言うなれば“ウーマンスプレイニング”のような語)は作られていません。
とはいえ、性別によって振り分けをし、マンスプレイニングのような行為は一概に「男性がするもの」と言い切るのはとても乱暴です。他者へのリスペクトを持たないと、誰しもこうしたハラスメントの態度を取ってしまう可能性があることは忘れず肝に銘じておきたいところです。
マンスプレイニングの具体例
マンスプレイニングの具体例としては、以下のようなことが挙げられます。
(1)女性が無知であるという前提の発言
相手である女性の背景や知識に目を向けず、「女性だから知らないだろう」という前提で発言するのは、典型的なマンスプレイニングといえます。
例
- 「女性は仕事のことが分からない」という偏見から、起業した女性に対して会社の起こし方や仕事の苦労を一方的に語り出す
- 野球観戦が趣味の女性に対し、聞かれてもいないのに野球のルールやうんちくの解説をし始める
(2)女性を見下したアドバイス
自分はあまり詳しくないのに、女性の方が詳しい事柄へ偉そうにアドバイスすることもマンスプレイニングとされます。
例
- ジムでインストラクターをしている女性に対して、初心者の男性がマシンの使い方を一方的に説明する
- 自分は子育てをしたことがないのに、子どものいる女性に対して「それではダメだ」「母親ならこうあるべきだ」と上から目線でアドバイスする
▶次のページでは、マンスプレイニングをする男性の特徴や心理、理由を紹介します。
マンスプレイニングする男性の特徴
では、マンスプレイニングをしている男性の言動例をいくつか紹介していきます。これらの態度は、マンスプレイニングに当てはまるかもしれません。
(1)聞いてもいないのに教えようとする
マンスプレイ二ングする男性は、教えたがりです。女性が聞いてもいないのに話してきて、自分の優秀さをアピールします。
(2)相手の気持ちを考えることが苦手
自分本位な発想をするため、女性がどう思うかといったことに気が回りません。従って、思ったままにマウントを取るような言動をしてしまいます。
(3)態度が大きい
自分を大きく見せるために、自然と態度が大きくなりがちです。大きな声で早口でまくしたてるなどして、相手を圧倒しようとします。
(4)自慢が多い
自分の優秀さをアピールしたいため、マンスプレイニングによる自慢話が多くなります。相手の女性を見下しながら、「こんなことも知っている」と知識をひけらかす傾向があるでしょう。
なぜ? マンスプレイニングする男性心理・理由
なぜ一定の男性はマンスプレイニングをしてしまうのでしょうか。男性心理や理由を知っておきましょう。
(1)女性の上に立ちたいから
一般的に、男性は支配欲が強いと言われています。
支配欲とは「人の上に立ちたい」「女性を自分の思い通りにしたい」という欲求などです。加えて、マンスプレイニングする男性は、「女性はものを知らない」というおかしな先入観があり、「女のくせに」と、どこか女性を下に見ている傾向があります。
そうした意識は、普段の何気ない言動に表れます。
マンスプレイニングする男性は、自分の持っている知識をひけらかすことが女性の上に立つための手段であり、マウンティングをして自分の承認欲求を満たしているのです。
(2)自信がないから
マンスプレイニングする男性は基本的に、自信がなく自己肯定感が低いです。そのため、「自分のことをすごいと言って認めてほしい」という欲求が強くあります。
自分には価値がないと無意識のうちに思っているので、弱い自分を見せないように、とにかく虚勢を張ります。
大声や早口でまくしたてるように話して、有無を言わさない態度を取ることも、そうしないと、自分が優位に立てないという怖れを強く持っているからです。
また小心者で自己価値が低いため、まわりに気を配っている余裕がありません。自分を守ることで精一杯で、相手がどんな気持ちでいるかまで考えが及ばないのです。
▶次のページでは、マンスプレイニングされてしまった時の対処法を解説します。
マンスプレイニングされた時の撃退法
職場など、付き合わなければならない環境でマンスプレイニングされたら、どう対処すればよいのでしょうか。あなたが傷つかないための撃退法を知っておきましょう。
(1)聞き流す
マンスプレイニングする男性は、承認欲求が強いです。そのため、自分の話を素直に聞いてくれる人が好きです。同僚や後輩の男性など、フランクに対処できる相手なら、「間に合ってます」とニコッと笑って断わる方法があります。
先輩や上司など目上の男性であれば、「そうなんですね。へ~、詳しいですね」などと言って、聞き流しましょう。アドバイスされた時も「貴重なご意見ありがとうございます。」と一旦は受け取りつつ、その場を離れましょう。
(2)適度に切り上げる
話を延々と聞き続けるのはつらいものです。「この人は聞いてくれる(自分が優位に立てる)」と思われてしまうと、男性はますます自慢げに話してくるようになります。
話が長いなと思ったら、「お話ありがとうございます。今日は用事があるので、ちょっと失礼しますね。」と言って、さっと席を立ちましょう。この時、相手に申し訳ないという罪悪感を持たないこと。できるだけ軽やかにスパッと切り上げることがポイントです。
(3)一歩引いて相手を観察する
女性を見下した話し方をしていたら、腹が立ちますよね。しかし男性の言動に一喜一憂していると、感情が共鳴して男性を刺激してしまいます。
「なぜこの人は、こんなに自慢してくるのかな?」と観察してみると、「そうか、自信がないんだな」とか「劣等感が強いんだな」といった相手の事情が見えてきます。同じ土俵に立つとイライラしてしまうので、このように一歩引いて冷静に対処しましょう。
「知的ハラスメント」だと男性に認識させるには?
直接、マンスプレイニングをしてきた男性に対して、「知的ハラスメントですよ」と指摘したり、反論したりすると、男性の反発を買う可能性があります。
マウンティングしようと思っていた女性から反撃に合うと、相手の男性は不機嫌になる様子が安易に想像できますよね。ややこしい状況を生みやすいため、怒りのままに本人へ直接言うやり方はあまりおすすめしません。
職場にいる相手なら個人同士でやりとりするのではなく、職場全体の意識を高めるという意味で、社内研修や上司からの指導を提案してみましょう。
社員を教育するやり方であれば、波風が立ちにくいでしょう。研修ならば、マンスプレイニングという概念を説明し、具体的な事例を挙げて、社員の意識を刷新できるものがいいですね。
そうすることで「もしかして、俺やっていたかも?」「相手のためじゃなくて、自己満足のために教えていたかもしれない」と本人の自覚を促していけます。
独りよがりにならないように、社会全体で意識の底上げをしていけるといいですね。
私たちもやってない? 女性も気をつけよう
ご説明したように、マンスプレイニングとは、男性が女性を見下して偉そうに解説したりアドバイスすることです。
しかし、マンスプレイニングのような言動は、男性に限ったものではありません。私たち女性自身も、自分の承認欲求を満たすために、そういった言動をしていないか、常日頃から気をつけましょう。
男性も女性も、お互いに思いやりを持った温かい関係性を作っていきたいですね。
(高見綾)
※画像はイメージです
※この記事は2016年12月18日に公開されたものです