プロジェクトを立ち上げたものの管理が上手くいかなくて困る、あるいは、どの管理手法が合っているのか分からないと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。プロジェクトの成功には適切に管理することが重要です。
ここではプロジェクト管理の手法の代表的なものを紹介します。どういう手法で、どんな場面に使うと良いのかを簡単に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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代表的なプロジェクト管理の手法を比較!
プロジェクト管理の手法はいくつかの種類があります。ここでは、そのうち有名な8つについて比較して紹介します。
1、PMBOK
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクト管理の手法やノウハウなどの知識が体系立ててまとめられています。アメリカ合衆国に本部を置く非営利団体のPMI(Project Management Institute)が作成し、4年ごとに更新されています。また、プロジェクト管理の手法だけにとどまらず、コスト管理やリスク管理などプロジェクトに必要な知識が幅広く記述されています。
PMBOKの特徴としては、10の知識エリアに分割してそれぞれに「立ち上げ」・「計画」・「実行」・「監視・管理」・「終結」という5つのプロセスに分けて考えられています。整理されたノウハウや知識は世界中で業界問わずに利用されていますが、PMBOKはあくまでも知識やノウハウをまとめたものであり、より具体的な方法を社内で構築する必要があります。
2、CCPM
CCPM(Critical Chain Project Management)は、プロジェクトの納期を極力短く設定してプロジェクト全体で納期の余裕を持たせる管理手法です。例えば、10日必要なプロセスが3つある場合には、全体で30日が必要です。それぞれのプロセスを1日ずつ9日の納期で設定すれば、全体で3日の余裕を持つことが可能となります。
納期ギリギリまで作業者が着手しない事態を防げるうえ、万が一遅延が発生した場合でも最小限度に抑えられます。納期が長くなる大きなプロジェクトで用いられることが多い手法です。
3、WBS
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトを構成している要素を細かく分類して構造化し、スケジュールを組み立てる手法です。作業を細かく分類することで、必要な作業・工数やコストがはっきりし、納期管理もしやすくなります。
4、PERT
PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、プロジェクト内の作業の処理順位を図示して把握する手法です。タスク同士を矢印で結ぶことで、処理順位が分かりやすくなります。複雑なタスクや煩雑なプロジェクトのときに利用すると管理しやすくなる手法です。
5、PPM
PPM(Project Portfolio Management)は、複数あるプロジェクトを管理するときの手法です。組織全体の一元管理が必要とされるケースが増えていて、組織内のリソースの分配や集中をしたい場合に利用すると便利な管理手法です。
6、P2M
P2M(Project & Program Management)は、2001年に経済産業省の指導のもと、日本で開発された手法です。プロジェクト管理にプログラム管理の要素を取り入れています。全体を俯瞰して管理しつつ、個々のプロジェクトを制御する方法です。複数のプロジェクトの統括マネージメントを行なうのに便利です。
7、ウォーターフォール
ウォーターフォールは水が落ちる様子を由来にした方法で、時系列に沿ってプロセスを進行させていく管理手法です。長期間のプロジェクトに向いた古くから使われている手法で、シンプルで分かりやすいのが特徴。
ただし、途中での変更や後戻りには対応できないデメリットがあります。途中で何らかの変更を余儀なくされることが多い現在のプロジェクトには、向いていないと言われています。
8、アジャイル
アジャイルは、ウォーターフォールに変わる新しい管理手法として注目を浴びています。プロジェクトをイテレーションと呼ばれる1~4週間の短い期間に区切って管理し、区切った区間ごとに目標や計画を立ててプロジェクトを進行させます。
ウォーターフォールではできなかったプロジェクトの変更にも対応できるようになっています。その反面で、長期間になると全体の把握が難しくなるので、短期間のプロジェクトの場合におすすめです。
プロジェクト管理の手法を効果的に使う方法とは?
プロジェクト管理の手法に基づいて管理ツールを使うことで、さらに効果的に管理ができます。管理ツールとは、以下のような機能をもったシステムのことです。
- ガントチャート
- マインドマップ
- カレンダー
- タイムライン
- WBSチャート
- 進捗管理表
- QFD
プロジェクトメンバー内での情報共有や進捗状況の共有を簡単に行なうためにも、これらの機能を有するツールの利用が求められます。
もちろん専用のツール以外でも、単独でガントチャートを作ったりカレンダーを利用したりすることは可能です。しかしながら、一元管理を行ないたいときやプロジェクトの変更時に全てを一括で変更するには、専用ツールの方が向いています。
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プロジェクト管理の流れ
通常のプロジェクトでは、立ち上げ、計画作成、実行、管理・監視、終結の順にプロセスが進んでいきます。
立ち上げプロセスでは、プロジェクトの目標をまず最初に立てます。その目標達成のためのスケジュール、予算立てを行います。その上で、プロジェクトを実行する過程における制約条件やリスクなどを最初に決めておくことが重要です。この前提条件がしっかり定まっていないと、計画作成時に予算オーバーやスケジュールの遅延が発生し、プロジェクトが開始できません。
計画作成プロセスでは、立ち上げ時に決めた前提条件を基にして、スケジュールやタスクの進行順位などの計画を立てます。予算の配分や人員の配分も合わせて行ないます。
実行プロセスは、計画に基づいて実行するプロセスです。
管理・監視プロセスでは、計画通りに実行されているかどうかの確認や、想定外のトラブル対処を行ないます。このプロセスは、実行プロセスと同時に進行することもあり、フィードバックして計画からやり直す必要があることもあり得ます。
終結は、プロジェクトの完結です。開始から終了までを振り返り、評価をします。成功や失敗の要因を分析して、次のプロジェクトに生かせるようにまとめることが大事なポイントです。
プロジェクトを成功させるためのポイント
1、ドキュメント管理と情報共有
ドキュメント管理と情報共有が、プロジェクト管理には大変重要です。多くの人が関わるプロジェクトだからこそ、情報を一元管理しておかないとプロジェクトメンバー全員が同じ情報を基にした行動が取れません。
メンバーがバラバラの行動をしていれば、進行が遅れてしまいます。誰がどこで何をしているのか分からなくなれば、プロジェクトの管理どころではなくなります。そのリスクを回避するために、情報は全員で同じものを共有しておくことが重要です。
2、コミュニケーションを欠かさない
プロジェクト管理を行なう管理者は、タスクやスケジュールの管理だけが仕事ではありません。チーム内のメンバーをまとめてリーダーとして引っ張っていく必要があります。
そのためには、プロジェクトメンバー同士のコミュニケーションを取ることが求められます。小さな問題点も見逃すことなく、拾って対処することができるように環境を整えましょう。 メンバーの誰かがアラートを上げたら直ぐ対処できるような環境作りや、誰でもアラートを上げやすい信頼関係を築くことがポイントになります。
コミュニケーション不足によって簡単な情報共有もできなくなるため、コミュニケーションツールを利用するなど、簡便化することも大事なポイントです。
適切な管理でプロジェクトを成功させよう!
プロジェクト管理の手法は、さまざまなものがあります。どの手法が適しているかはプロジェクトの規模や管理する内容によって異なります。今回ご紹介した手法を参考に、プロジェクトごとに適した手法を選択して利用してみてください。
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