テキストマイニングは、有益な情報を取り出す技術のことです。この記事では、おすすめのテキストマイニングツール6選を比較するとともに、無料で使えるツールや、テキストマイニングツールの基本機能、選定ポイントなどについても解説します。
テキストマイニングとは
テキストマイニングとは、有益な情報を取り出す技術のことで、「顧客の声」の分析や暗黙知の形式知化、ビッグデータによる将来予測などに使用されています。マーケティングや経営戦略において、テキストマイニングツールは顧客のニーズ把握やリピーター獲得などの施策検討に使われます。
テキストマイニングツールが取り出した大量のテキスト情報を整理・分類するには、人による知的作業が必要です。そのため、テキストマイニングツールには「テキスト情報の整理・分類に関する作業をスムーズに進めるための支援」という役割も求められます。
テキストマイニングツールの導入メリット3つ
テキストマイニングツールの導入には、以下3つのメリットがあります。
1、多種多様なデータを分析できる
メリットの1つ目は「多種多様なデータを分析できる」ことです。テキストマイニングツールを使えば、膨大かつさまざまなデータから情報を抽出できます。
問い合わせの対応履歴、アンケート、WebサイトにSNSの口コミなどあらゆるテキストデータを対象として、ツールを使って分析。過去の問い合わせ内容、問い合わせの対応結果、自社サービスに関する顧客の声、市場動向を把握できます。
分析結果をもとに、サービスの改善や自社内でナレッジの共有、将来予測に基づいた行動が取れるようになります。
2、分析方法を統一できる
メリットの2つ目は「分析方法を統一できること」です。テキストマイニングツールを活用すれば、いつも同じ方法で情報を抽出し、分析できるようになります。
情報は切り取り方によって、出てくる結果も異なります。たとえば、20代の女性を対象にした場合と40代の男性を対象にした場合では、出てくる情報はまるで違うものになるでしょう。前回は20代女性、今回は40代男性が対象と、情報の切り取り方が毎回変わってしまっては、比較や傾向の分析が難しくなります。
つまり、いつも同じ方法で分析することは、過去結果との比較を容易し、分析結果に信頼性を与えるわけです。
3、分析作業の負荷を削減できる
メリットの3つ目は「分析業務の負荷を削減できる」ことです。多種多様なデータの分析も、分析方法の統一も、人力で実施しようと思えばできます。どれほど大量のデータでも時間をかければ分析できますし、マニュアルやチェック体制を作れば分析方法も統一できるでしょう。
しかし、データが大量であるほどに、分析作業にかかる負荷も比例して大きくなります。テキストマイニングツールを用いれば、誰でも同じ方法で大量のデータを分析可能に。要するに、分析作業の負荷を大きく軽減できます。
テキストマイニングツール6選を徹底比較!
「TextVoice(テキストボイス)」
マイボイスコム株式会社
- 参考価格:【初期費用】200,000円 【月額料金】100,000円~
- 提供形態:クラウド
- 従業員規模:全ての規模に対応
- 無料トライアルの有無:有り
- 機能:ワーククラウド、ネットワーク、サマライズ、フォーカス
「TextVoice(テキストボイス)」は、リサーチ会社であるマイボイスコム株式会社が提供するSaaS型テキストマイニングツールです。インストール不要でネット環境さえあればすぐに利用することができます。
「意味で纏める類義語辞書の自動生成機能」によって、データを取り込むだけで精度の高い分析が可能です。精度の高い分析には、類義語を纏めたうえで分析をすることが重要ですが、例えば本製品の場合、「安い」「低価格」「コストパフォーマンス」「お手頃」といった単語をまとめて集計・分析することができます。また、誰でも簡単に操作が出来る直感的なUIもポイント。簡単な操作だけで高精度な分析が可能です。
頻出単語や共起語の集計、属性ごとの特徴的な意見が簡単に見つけられる機能も搭載。製品開発時の顧客ニーズの発掘や、マーケティング施策の立案、顧客の声から改善点を見つけるなどの様々なシーンで活用できます。
無料トライアルも用意されているので、導入前に操作感を確かめることも可能です。
「Magic Insight for WEX」
株式会社イーネットソリューションズ
- 参考価格:【初期費用】250,000円~ 【月額料金】100,000円~
- 提供形態:クラウド
- 従業員規模:全ての規模に対応
- 無料トライアルの有無:無し
- 機能:ファセット分析、偏差列分析、トレンド分析、ダッシュボード
「Magic Insight for WEX」は、企業の非構造化データ(自然言語で書かれた)を分析し役立てる総合プラットフォームサービスです。IBMのWatson Explorerに含まれる「高機能テキストマイニングACサービス」および「統合型検索エンジン FCサービス」をクラウド型で提供します。
Watson Explorerは、自然言語解析をコア技術とするWatsonソリューションの基盤としての位置付けで、あらゆる情報を全方位的に総合・検索・視覚化する検索機能と自然言語処理を含めた分析・視覚化・暗黙知を支援するテキストマイニングサービス。パッケージソフトとして導入すると高額なライセンスや年間保守費用が必要になります。しかし本サービスは、ASP・SaaS型サービスとして安価に使える点が最大の特徴です。
ACサービスにはファセット分析や評判分析など多彩な分析機能が備わっており、ビッグデータにも対応しています。データは手動でインポートしますが、オプション機能でクロール型(データの自動取り込み)も可能です。
「Text Mining Studio」
株式会社NTTデータ数理システム
- 参考価格:2,300,000円
- 提供形態:パッケージソフト
- 従業員規模:全ての規模に対応
- 無料トライアルの有無:無し
- 機能:頻度分析、注目分析、特徴分析、辞書、原文参照
「Text Mining Studio」は、シンプルな操作で本格的なテキストマイニングが実行できるパッケージソフトです。特許文章やSNS、コールセンターなど様々なシーンなどあらゆる利用シーンでのテキストマイニングに使えます。
入力データは4種類(テキスト、CSV、Excel、Web)に対応しており、個人情報の保護(人名や地名など個人を特定する情報のマスキング)も可能です。
データ分析は7系統14種類をサポート。単語頻度解析から係り受け頻度解析、注目語情報評判抽出などがあります。ことばネットワークや対応バブル分析、文章分類のようにビジュアル的に分かりやすい図表の描画機能もあり、データ分析後に必要な作業もスムーズに進められます。
サポート体制はしっかりとしており、スキルアップセミナーや個別コンサルティングも可能です。非常に高機能かつ拡張性もあるため、使いこなせる人材の確保ができれば、どのような利用シーンにも使えるオールマイティな製品です。
「見える化エンジン」
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:SaaS
- 従業員規模:全ての規模に対応
- 無料トライアルの有無:無し
- 機能:SNSの情報取得、グループ分け、感情分析、レポート
「見える化エンジン」は、データの収集から分析・情報共有・改善案策定をサポートする機能まで提供しているクラウド(SaaS型)サービスです。
データ収集機能は、標準でSNSの情報取得をサポートしています。また、オプションでリサーチ(アンケート)によるデータ収集も可能です。集めたデータは自動反映できるため、インポートの手間もかかりません。
テキストマイニングによるデータ分析は、グループ分けや市場心理、感情分析など基本的なものから、ネガティブな情報によるリスク管理や顧客満足度などすぐに知りたい情報が網羅されています。
分析結果の情報共有や改善案策定に使える機能としては、レポーティング、気づきポータル、改善タスク管理などが便利です。
テキストマイニングだけでなく、データの収集や改善案策定まで使えるツールをお探しの場合には検討したい製品です。
「TRAINA テキストマイニング」
株式会社野村総合研究所
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:ASP / オンプレミス
- 従業員規模:別途問い合わせ
- 無料トライアルの有無:無し
- 機能:特徴マップ、キーワードの検出、急騰話題の検出、ポジネガ分析
「TRAINA テキストマイニング」は、NRI(野村総合研究所)が開発し、実際に自社で使い込んできたツールです。業種や商品ごとの感性辞書、意味・感情の解析技術を備えており、高精度な解析を実現しています。
NRIの従来製品よりも、約12倍の速さで解析が完了。解析結果は、ホットスポット機能で注目すべき箇所が自動的にわかります。高品質の解析と利便性の高い機能を備えたツールと言えるでしょう。
「VextMiner」
ベクスト株式会社
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:クラウド / オンプレミス
- 従業員規模:別途問い合わせ
- 無料トライアルの有無:無し
- 機能:クラスタリング、カテゴライズ、全件マッチング、予兆監視
「VextMiner」は、会話テキストやSNSなどのテキストデータを数百万規模でも分析可能です。少数意見も自動抽出できるため、さまざまな情報を抽出・分析できるでしょう。分析自体は、AIの自動学習によって文単位で実施。主要な話題や情報を自動で分類するため、利用者が解析結果を読むのにも時間がかかりません。
また、利用者が過去に設定した分類体系をルールとして抜き出すことが可能なため、担当者が変わっても時系列ごとに分析方法の変化を確認できます。
無料で使えるテキストマイニングツール3選
テキストマイニングツールには、無料で使えるものもあります。ここでは、無料で使えるツールを3つご紹介しますので、参考にしてみてください。
「テキストマイニングツール」株式会社ユーザーローカル
株式会社ユーザーローカルが提供する「テキストマイニングツール」は、Webブラウザ上から無料で利用できます。社名から、ユーザーローカルと呼ばれることも。
ユーザーローカルの使い方はいたってシンプル。まずはブラウザから、ツールのWebサイトにアクセスします。その後、テキストを貼り付けてクリックすれば、内容を解析します。10万文字まで解析が可能です。
解析すると、ワードクラウドで出現頻度が高い単語を可視化したり、出現傾向が似た単語を樹形図にしたりして、視覚的にわかりやすく結果が表示されます。
「KH Coder」樋口耕一(立命館大学産業社会学部)
「KH Coder」は、立命館大学産業社会学部の樋口耕一氏が開発したオープンソースのテキストマイニングツールです。無料ソフトをインストールして使用します。
「KH Coder」は、2段階でテキストデータを分析。1段階目は、ツールが自動的に単語を取り出して、その中身を集計・解析します。2段階目は、ツールを使う分析者がルールを設定して、意図した情報を抜き出します。
2段階目の分析に関しては、ツールを使う人自身でコードを書き、「KH Coder」をカスタマイズしなければいけません。サポート付きのパッケージ製品もありますが、そちらは有料となります。
「統計ソフトR」R Foundation
「統計ソフトR」は、R Foundationが開発したオープンソースのテキストマイニングツールです。Web上からソフトをインストールすれば、利用できます。インストールの手順や使い方、判別方法など細かい仕様はスライドに記載されており、全てブラウザから確認可能です。
ただし「統計ソフトR」は、R言語というプログラミング言語の知識、コマンドラインでの入力が求められます。プログラミングに関する知見に加え、自分でコードを書いた経験がないと、使いこなすまでに時間がかかるでしょう。
本格的にテキストデータを分析するなら有料製品がおすすめ
本格的にテキストデータを分析したいなら、有料製品がおすすめです。無料製品は費用がかからない分、機能が限定的であったり、使うのに専門知識を求められたりと、十分に活用できない可能性があります。
せっかくツールを使っても、目的を達成できなければ意味がありません。サービス改善や経営方針の策定など会社ごとの目的を達成するためにも、効果的なツールを使うべきです。そのためには、分析手法が豊富で、サポートが手厚い有料製品を使うのがおすすめです。
テキストマイニングツールの基本機能3つ
テキストマイニングツールの基本機能である「形態素解析」「構文解析」「センチメント分析」について解説します。
1、テキストデータの分析
テキストマイニングツールの基本機能であり、分析手法が豊富であるほど高機能です。単に分析の種類が多いか少ないかだけで考えず、自社で使いたい分析手法があるかどうかを確認し、使いやすいユーザーインターフェースを備えているかを確認しましょう。
2、分析結果の共有・改善
テキストマイニングの結果を出すだけでは、導入の意味はありません。結果を元に分析を行い、改善策を検討するなどのアクションが必要です。テキストマイニングツールの中には、分析結果のレポーティング機能や、得られた結果を元に改善策に関するする支援機能を提供している場合があります。
レポーティング機能は、グラフ表示や単語の関連性表示など視覚的に分かりやすいレポートを作成する機能です。改善策の支援機能としては、タスク管理機能などがあります。
3、テキストデータの収集
テキストマイニングツールの中には、分析対象のSNSデータ収集機能をサポートしているものもあります。また、リサーチをソリューションとして提供している会社もあります。テキストデータの収集に手間がかかる場合は、これらの機能やソリューションも確認しておくと良いでしょう。
テキストマイニングツール選定のポイント4つ
テキストマイニングツール選定のポイントを6つ紹介します。
1、導入の目的を明確に
はじめに、テキストマイニングツールを導入する目的を明確にしましょう。テキストマイニングツールはいずれも高価です。導入の目的を明確にしておかないと、分析結果を活かせないままになる可能性があります。
アンケート結果を解析して顧客満足度を向上させたいのか、SNSや口コミの分析をもとにリピーターを獲得したいのか。はたまた、ビッグデータを活用した将来予測をしたいのか、企業によってツールを導入する目的は異なります。
目的に応じた機能を備えている製品でなければ、活用できずに無駄なコストを払うことになりかねません。まずはテキストマイニングツールを導入する目的を明確にしましょう。
2 、自社に必要な機能を備えているか
次は、実際に製品を見て、自社に必要な機能を備えているかを確認してください。導入目的が明確になれば、求める機能や必要となる分析の種類もはっきりします。自社に必要な機能に基づいて、製品を絞り込んでいきましょう。
たとえば、多角的な分析が必要になる場合は、分析機能が充実している製品が良いでしょう。一方でSNSのデータ収集もしたいなら、データ収集機能のある製品が検討対象になります。
機能が豊富であれば、良いツールというわけではありません。使わない機能があっても活用できないばかりか、かえってコストが高くなる可能性もあるでしょう。自社にとって、最適な機能を持った製品を選択しましょう。
3 、UIや操作性の事前確認
UI(ユーザーインターフェース)や操作性も、データマイニングツールを選択する際の大事なチェックポイントです。たとえ、自社にとって必要な機能を持っていても、使いこなせなければ意味がありません。
ツールの画面仕様はわかりやすいか、分析までの手順や分析結果の確認は容易か。細かい画面設計や操作性によって、ツールの使いやすさは変わります。なので、資料請求やデモ画面などを確認し、事前にどのような画面・操作なのかを確認しておきましょう。可能なら、操作する作業者が実際に操作してみて、使いやすいツールを選ぶのがおすすめです。
4 、サポート体制やコンサルティングサービスの確認
サポート体制やコンサルティングサービスの有無もチェックしておきましょう。テキストマイニングツールは、データを自動的に整理・分類してくれますが、人の手を介して分類・整理しなければならない場面も多々あります。
データ分析のスキルを持っている人材が自社内で確保できない場合は、サポート体制やコンサルティングサービスも重要です。費用対効果を意識しつつ、データ分析作業自体のアウトソーシングも含めて検討しましょう。
テキストマイニングツールで製品やサービス改善につなげよう
テキストマイニングツールは、顧客の声やSNSデータなどのテキストデータから新たな情報や知見を見つけ出すために利用するツールです。これまで意識できなかった情報を引き出し、自社の製品やサービスを改善することで、売上拡大や顧客満足度向上につなげられます。
テキストデータの分析結果を得るだけでなく、結果から改善策を導き出して実際の商品やサービスに反映するまでの計画を策定しましょう。テキストマイニングツールの導入を検討している場合は、以下より資料を入手してお役立てください。