会社を経営するうえでCRM分析は欠かせないと言われています。近年はCRMシステムの種類も増え、導入する企業も多くなっているため、自社でも導入したいと考えている企業の方は多いのではないでしょうか。この記事では、CRMで行える分析方法5つと分析のコツについて紹介します。CRMの導入を検討する場合はぜひ参考にしてみてください。
CRMとは?
CRM(Customer Relationship Management 顧客関係管理)とは本来、顧客に対して適切な対応をとって良好な関係を構築し維持するマネジメント手法のことを意味します。一方で、近年ではそれらを実現するための顧客管理システム自体をCRMと呼ぶケースが増えています。
CRMシステムは、顧客情報を収集・蓄積したものを分析し管理するもので、分析結果は顧客との良好な関係構築・維持のために活 用されます。
CRM分析とはなにか?
CRM分析とは従来の顧客をターゲットに、より良好な関係を築くための分析を行うことです。そして、CRM分析の目的は新規顧客の獲得ではなく今の顧客との関係をより発展させることにあります。
また、継続的にリピートしてもらう方法を考えるために行う分析なので、顧客が自社にもたらす利益を把握することも含まれ、売り上げを向上させるために会社が投資すべき顧客を探し出し選別化する作業でもあります。
CRM分析方法5つ
CRMの分析方法はCMSシステムに収集されている情報を利用すると短時間で効率的に実行できます。そして分析手法には、セグメンテーションやRFM、デシルが一般的です。分析方法のひとつだけを使用せず、組み合わせて利用するとより深く顧客のことを知ることが可能になります。
ここでは具体的な分析方法を5つ紹介します。
方法1:セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客の属性や購入履歴を基にグループに分けて顧客分析する手法です。性別や年代、家族構成や購入商品などのグループ(セグメンテーション)に細かく分類して、購入と結びつく属性を探します。
また、特定のセグメンテーションを発見するためには、いくつかの分析項目を組み合わせて行うことも必要であり、多角的な分析によって精度を高められる分析手法です。
方法2:RFM分析
RFM分析は過去の購入履歴を基に顧客をランク分けし、会社に重要な顧客を選択するために利用します。RFMはRecency(最新購入日)Frequency(購入頻度)Monetary(購入金額)の頭文字をとったものです。それぞれの分析項目ごとに顧客を得点で並べて総合順位を決めます。
そして分析結果はアプローチ方法の変更など、今後の取り組み方を考えるヒントにします。
方法3:デシル分析
デシル分析法は顧客を10のグループに均等に分けて分析を行う手法です。
ラテン語の10等分を意味するDecileから名付けられた分析手法はシンプルです。例えば一定期間の購入金額順にグループ分けをして、売り上げ全体に占める割合などを分析します。会社に対する貢献度はよく分かりますが、リピート購入するかは分かりません。
そのため、分析結果から考えられる次のアクションを慎重に決めることが重要です。
方法4:CTB分析
CTB分析は、指標を基に顧客を分類して購買予測を立てる際に活用します。
CTBはCategory(カテゴリー、分類)Taste(テイスト、デザインやサイズ)Brand(ブランド、キャラクター)の3つを基に顧客をグループに分けます。
衣類以外に食品や生活用品も対象です。顧客の好みを分析し、新商品の企画や販売予測に活用できます。
方法5:行動トレンド分析
行動トレンド分析は、全体のトレンドを作っている顧客層を特定して購買タイミングを把握する方法です。
年代や性別ごとに分類し、シーズンごとのグループの売り上げ情報を集計した結果を使います。また、POSデータを利用して情報収集が簡単にでき、売れる商品と売れない商品の両方が分かります。
この方法はシーズン商品を扱うアパレル業界で利用されますが、上手く活用することで売れるタイミングにキャンペーンを実施して成果を収めることも可能です。
CRM分析を行うコツ5つ
CRMはただ導入するだけでは効果を得られません。ここからはCRMで分析を行うコツをご紹介します。
コツ1:目的に合ったCRMツールを選ぶ
会社のCRM分析を行う目的を明確にして、適したCRMツールの選定をしましょう。分析ツールによって得意分野は異なります。顧客の購入パターンを分析するものもあれば、顧客情報から商談スケジュールを管理できるものもあります。
また、業種ごとの特性を考慮したシステム選定も欠かせません。全社員で情報収集と分析結果を活用することを念頭にCRMツールを選ぶと良いでしょう。
コツ2:顧客への対応
CRM分析の結果は既存顧客を優良顧客にするために利用すると導入がスムーズにでき、早期に結果を得られます。CRMツールは顧客の囲い込みに利用されるものです。以前から取引のある顧客に分析結果を基に効果的な声掛けを行って、優良顧客に育てることが可能です。
また、顧客ニーズの分析から提供する商品やサービスの再考も同時に行います。優良顧客を増やせば会社も売り上げが安定して、共に成長できるでしょう。
コツ3:ERPを導入する
CRMツールを選定する時はERPの導入も検討します。ERP(Enterprise Resource Planning)は基幹システムとも呼ばれ、会社の会計・人事・物流・生産業務を一括管理できるものです。
ERPを導入するとCRMも含めた会社内の情報を全て管理できるので、CRM単独導入より相互関係を深めて業務の効率化を推進できます。また、会社の経営と戦略構築の透明化といったメリットもあります。
コツ4:情報を集める
CRM分析を行うコツは、顧客の情報収集と蓄積を様々な角度から行うことです。顧客の個人情報と購入履歴だけでは、満足できるCRM分析結果は得られません。担当者や現場だけが知る、顧客の好みや購入理由こそが重要な情報です。
そのため、ニーズが分かれば提供する情報も変えられ、担当者が不在でも対応可能です。そして、収集した情報の蓄積と更新を行って常に社員全員が共有し、CRMツールが欠かせないものになる環境を整えます。
コツ5:情報を組み合わせる
CRM分析はそれぞれ特徴があるため、得られた顧客情報を組み合わせるとニーズに合わせた営業戦略が立てられます。
分析ツールを利用した結果は、顧客情報の部分的な側面です。過去の実績を基にしているので、加齢や家族の成長など他の顧客の変化を当てはめることで将来的な購入予測も可能になります。
そうした顧客情報に社会情勢などを加味した営業戦略で、商品の企画やキャンペーンを実施して会社の成長につなげます。
CRM分析の欠点
多くのメリットをもたらしてくれるCRMですが、一方で欠点もあります。
導入コスト
CRM分析を始めるためには、システムの導入コストが発生します。CRMシステムの中には無料で使えるものもありますが、機能面や信頼性から見れば有料版の方が安心です。思い切ってERPシステムに改修する場合は、システム構築も含めた大規模な導入コストも必要になります。
他にも、社員に対するCRMツールの利用セミナー開催など手間もかかるでしょう。また、導入時だけでなく導入後にもサポート契約などランニングコストが発生します。
柔軟性が失われる
CRM分析の結果を重視するマニュアルにこだわり過ぎると、顧客に対するサービスの柔軟性が失われる可能性もあります。
分析結果はあくまでも顧客情報の部分です。人的なサービスによって成り立っている営業現場では、分析結果から導き出された戦略を押し付けられると柔軟な対応ができなくなるでしょう。
そしてマニュアルによる画一的な対応は、営業現場に個性がなくなり、顧客から不満が出たり他社との差別化ができない可能性もあります。
CRM分析の導入を検討してみよう
CRM分析によって既存の顧客を深く知ると、優良顧客に育てる戦略を練ることができます。そして、CRM分析にはさまざまな方法があり、手法や特徴を理解して組み合わせながら使うことが大切です。
また、分析結果の実践と結果を基に戦略の再構築をすることもポイントです。
顧客を育てることは、会社が安定経営するための基盤になります。顧客のためにも会社の将来のためにも、CRM分析の導入を検討してみてはいかがでしょうか。