
「Microsoft Officeは高価なので、互換性のある安いオフィスソフトを利用したい」
「Polaris Officeに興味があるけど、その評判や実際の使い勝手はどうなんだろう?」
このような方を対象に、「Polaris Office」の使い勝手について解説します。著者が実際にPolaris Officeを使用し、Microsoft Officeとの機能比較や、使って分かったメリット・デメリット、そしてどのような人に本当におすすめできるのかを、忖度なくレビュー。

ソースネクスト社が販売するPolaris Officeは圧倒的なコストパフォーマンスで注目を集めるオフィススイートですが、価格が安い分、機能面やMicrosoft Officeとの違いに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事を読めば、あなたがPolaris Officeを「買うべきか、やめるべきか」が明確になりますので、ぜひ参考にしてください。
Polaris Officeとは?
Polaris Office(ポラリス オフィス)とは、ソースネクスト社が販売するMicrosoft Officeと非常に高い互換性を持つオフィススイートです。
Word(ワード)、Excel(エクセル)、PowerPoint(パワーポイント)に相当する「WORD」「SHEET」「SLIDE」の3つのソフトが一つになっており、買い切り型の低価格で提供されているのが最大の特徴。

Microsoft Officeの代替ソフトとして、コストを抑えたい個人ユーザーや法人から選ばれています。
通常版とPremium版がありますが、Microsoft Officeに収録されているものと同じ和文フォント29書体を収録しているのは、Premium版です。
そのため、文字崩れ・レイアウト崩れを防ぎ、ファイルの互換性を優先したい方は、Premium版を選ぶと良いでしょう。
【結論】Polaris OfficeとMicrosoft Officeの比較サマリー
まず、読者の方が最も知りたいであろうPolaris OfficeとMicrosoft Officeスイートとの違いを、比較表で見てみましょう。
今回は買い切り型の「Office Home 2024」、サブスク版の「Microsoft 365 Personal」と比較しました。
| 機能大項目 | Polaris Office | Office Home 2024 | Microsoft 365 Personal |
|---|---|---|---|
| ワードプロセッサ | ○ | ○ | ○ |
| スプレッドシート | ○ | ○ | ○ |
| プレゼンテーション | ○ | ○ | ○ |
| データベース | ― | ― | ○ |
| コンタクト管理 | ― | ― | ○ |
| フリーノートブック | ― | ○ | ○ |
| クラウドストレージ | ― | ― | ○ (1TB) |
| インストール可能台数 | 2台 | 2台 | 無制限 (同時5台動作) |
| 価格(税込) | 3,960円 6,490円 |
34,480円 | 21,300円/年 |
| 買い切りorサブスク | 買い切り | 買い切り | サブスク |
機能面ではMicrosoft 365が最も豊富ですが、注目すべきは価格です。
Polaris Officeの料金は、和文フォント29書体を搭載したPremiumであっても買い切りで6,490円。Microsoft 365の年間コストの3分の1以下、Office 2024の約5分の1という圧倒的な低価格を実現しています。

基本的な文書作成、表計算、プレゼン作成機能に絞れば、Polaris Officeは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
【生レビュー】実際に使って分かったPolaris Officeのメリット(良い点)
続いて、実際に使って感じたPolaris Officeの優れた点を4つご紹介します。
- 圧倒的なコストパフォーマンス
- Microsoft Officeと遜色ない基本機能と高い互換性
- 軽快な動作
- シンプルで分かりやすい
圧倒的なコストパフォーマンス
最大のメリットは、やはりその価格に見合わないほどの高いパフォーマンスです。
Premium版であっても6,490円という安価な買い切り価格でありながら、Microsoft Officeとの高い互換性や軽快な動作、日常業務には十分すぎるほどの基本機能を備えています。

「安かろう悪かろう」ではなく、「この価格でこの性能」という価値こそが、Polaris Officeの最大の魅力と言えるでしょう。
Microsoft Officeと遜色ない基本機能と高い互換性
驚くべきは、その価格でありながら、UI(操作画面)や機能の配置がMicrosoft Officeと非常によく似ている点です。
そのため、WordやExcelを使ったことがある人なら、ほとんど迷うことなく操作を開始できます。

基本的な機能は網羅されており、純粋なオフィスソフトとしての互換性は非常に高いレベルにあると感じました。
軽快な動作
Polaris Officeは、流行りのAIアシスタント機能などを潔くカットし、ソフトの基本機能に特化しています。
その分、プログラムがコンパクトにまとまっており、パソコンのスペックに多少不安がある場合でも、Microsoft Officeより軽快に動作する可能性が高いでしょう。

「質実剛健」という言葉がぴったりの、シンプルで実用的なソフトです。
シンプルで分かりやすい
Microsoft OfficeのAI機能や多すぎる補助機能を「おせっかい」だと感じる方にとっては、Polaris Officeのシンプルさがむしろメリットになります。

「やりたいことは決まっているから、余計なサポートは不要」という、オフィスソフトの扱いに慣れた中〜上級者(玄人)にとっては、かえって快適に作業できるでしょう。
【生レビュー】実際に使って分かったPolaris Officeのデメリット(注意点)
一方で、価格が安い分、割り切りが必要な点もいくつか存在します。購入後に後悔しないよう、以下の注意点を必ず確認してください。
- 一部の高度な機能・関数には非対応
- AIアシスタントやクラウド連携機能はない
- 起動時に必ずランチャーを経由する
- クリップアートや3DモデルはMicrosoft Officeに劣る
一部の高度な機能・関数には非対応
一般的な機能は網羅されていますが、Microsoft Officeの一部の機能は利用できません。
- Excel:「TEXT関数」「XLOOKUP関数」が実装されていない(VLOOKUPは利用可)
- PowerPoint:「記録」機能(操作の自動再生)がない
- Word:「差し込み印刷」機能がない

特に、Excelで関数を多用する方は必要な関数が実装されているか事前に確認が必要です。
AIアシスタントやクラウド連携機能はない
Microsoft 365に搭載されているCopilot(AIアシスタント)のような、作業を効率化する最新機能はありません。
また、OneDriveとのシームレスな自動保存機能もないため、こまめな手動保存が必要です。

必要な機能のみを搭載するというシンプルさを追求し、このような付加価値的な機能は削ぎ落されている印象です。
起動時に必ずランチャーを経由する
地味ながら、使っていて最も気になったのがこの点です。WordやExcelのショートカットをクリックしても、なぜか一度Polaris Officeの統合ランチャーが立ち上がります。
そこから再度、目的のアプリやファイルを選択する必要があります。

使っていて、この一手間が邪魔に感じることがありました。
クリップアートや3DモデルはMicrosoft Officeに劣る
プレゼンテーションで使える図形やイラスト、3Dモデルなどの素材は、Microsoft Officeに比べて種類が限られます。

外部の素材サイトを利用することが多い方にとっては問題ありませんが、標準搭載の素材で資料を完結させたい場合は、物足りなさを感じるかもしれません。
【アプリ別】Polaris OfficeとMicrosoft Officeのビジュアルと使用感を比較
続いては、Polaris Officeの各アプリをMicrosoft Officeと比較した、より詳細なレビューをお届けします。
- ワープロ「WORD」(Word互換)
- 表計算「SHEET」(Excel互換)
- プレゼンテーション「SLIDE」(PowerPoint互換)

いずれも、Microsoft Officeと同じ和文フォント29種類が搭載されたPremium版にて比較しています。
ワープロ「WORD」(Word互換)
まずは、Wordと互換性のあるワープロ「WORD」からです。
リボンUIのビジュアル比較
Polaris OfficeのWORDとMicrosoft WordのUI(操作画面)を比較した結果を、キャプチャ画像でご紹介します。
以下は各機能リボンを並べたもので、上段がPolaris、下段がMicrosoftです。
▼▼▼「ホーム」▼▼▼

▼▼▼「挿入」▼▼▼

▼▼▼「デザイン」▼▼▼

▼▼▼「レイアウト」▼▼▼

▼▼▼「参照」▼▼▼

▼▼▼「校閲」▼▼▼

▼▼▼「表示」▼▼▼

ご覧の通り、アイコンのデザインや配置が酷似しており、見える範囲ではほぼ同等の機能が準備されていることが分かります。

大きな違いは、Microsoft Wordに「差し込み文書」の項目がある点くらいでしょう。
また、ウィンドウの幅の関係でリボンからはみ出したボタンについては表示形式が異なり、Polaris Officeは左右にスクロール、マイクロソフトオフィスの方はプルダウンメニュー形式での表示になります。
Polaris WORDの使用感レビュー
WORDは日本語ワープロとしての機能は非常にしっかりしており、Microsoft Wordでできることは基本的に実現できると考えて問題ありません。動作も軽快で、一般的な文書作成で困ることはまずないでしょう。

ただし、見出しを設定した行に分かりやすいマーカーが表示されない点や、文章の自動校閲機能が簡易的である点は、長文を作成する際に少し不便を感じるかもしれません。
表計算「SHEET」(Excel互換)
続いては、Excelと互換性のある表計算ソフト「SHEET」についてまとめます。
リボンUIのビジュアル比較
Polaris SHEETとMicrosoft ExcelのUIを比較した結果は、下記の通りです。
▼▼▼「ホーム」▼▼▼

▼▼▼「挿入」▼▼▼

▼▼▼「レイアウト」▼▼▼

▼▼▼「数式」▼▼▼

▼▼▼「データ」▼▼▼

▼▼▼「校閲」▼▼▼

▼▼▼「表示」▼▼▼

こちらもアイコンのデザインを含めてコマンドボタンの内容に大きな差はありません。

Excel経験者であれば機能選択で迷うことはないでしょう。
Polaris SHEETの使用感レビュー
SHEETの操作感はExcelと非常に似ており、TabキーやEnterキーでのセル移動も完全に再現されています。また、アクティブセルがハイライト表示される工夫は、Excelよりも見やすいと感じました。
しかし、前述したデメリット項目でも触れた通り「TEXT関数」や「XLOOKUP関数」が実装されていないため、既存のExcelファイルの関数がエラーになる場合があります。

関数の互換性が100%ではない点は注意すべきポイントですので、普段Excelで関数を使用している人は、その関数がPolarisでも使用できるかを必ず確認してください。。
プレゼンテーション「SLIDE」(PowerPoint互換)
最後に、PowerPointと互換性のあるプレゼンテーションソフト「SLIDE」についてまとめます。
リボンUIのビジュアル比較
Polaris SLIDEとMicrosoft PowerPointのUIを比較した結果は、下記の通りです。
▼▼▼「ホーム」▼▼▼

▼▼▼「挿入」▼▼▼

▼▼▼「デザイン」▼▼▼

▼▼▼「画面の切り替え」▼▼▼

▼▼▼「アニメーション」▼▼▼

▼▼▼「スライドショー」▼▼▼

▼▼▼「校閲」▼▼▼

▼▼▼「表示」▼▼▼

▼▼▼「ペン」▼▼▼

SLIDEの「ペン」機能は、PowerPointの「描画」に相当すると思われます。また、PowerPointには操作手順を保存できる「記録」機能がありますが、これに相当する機能はPolaris Officeにはありません。

この他では、機能面の大きな差異はありません。
Polarisプレゼンテーションの使用感レビュー
資料作成に必要な機能は、十分に備わっています。図形の挿入や整列、アニメーション効果など、一般的なプレゼン資料であれば不足を感じることはありませんでした。

他のアプリ同様、AIによるデザイン提案のような補助機能はありませんが、自分でレイアウトを組み立てるユーザーにとっては、シンプルで扱いやすいと言えるでしょう。
Polaris Officeはどんな人におすすめ?
最後に、これまでのレビューを踏まえ、Polaris Officeがどのような人におすすめできるのかをまとめます。
おすすめな人
- とにかくコストを抑えてオフィスソフトを導入したい学生や個人事業主
- 基本的な文書作成、表計算、資料作成がメインで、高度な機能は不要な人
- オフライン環境でOfficeソフトを使いたい人
- AIなどの補助機能がない、シンプルなソフトを求めている人
Polaris Officeは、「純粋なオフィススイートの機能」を求める人にとって、しっくりとはまるソフトになると思われます。より今風のサポート機能を実装して規模が肥大化しつつあるマイクロソフト系のアプリよりもシンプルでコンパクトにまとめられている点が、Polarisのメリットです。
また、価格面ではPolaris Office側に圧倒的とも言えるアドバンテージがあり、メーカーのサポートがある本格オフィススイートを手軽な価格で利用できるのは、大きな魅力と言えるでしょう。
おすすめできない人(Microsoft Officeを選ぶべき人)
- 仕事でAccessや最新のExcel関数(XLOOKUPなど)が必須な人
- AIによる作業効率化や、クラウドでの共同編集を頻繁に行う人
- 常に最新の機能を使いたい人
もっともに気になったのが、Excelの一部関数との互換性です。仕事で高度な関数を使用している人は、引き続きMicrosoft Officeを使用した方が安心できるのではないでしょうか。
また、プラスαの最新機能に価値を見い出し、そこへの期待度が高い人も、Microsoft Officeの方が向いています。
まとめ
Polaris Officeは、一部の高度な機能を割り切ることで、圧倒的な低価格を実現したオフィススイートです。ご自身の使い方に合致すれば、これ以上ないほど満足度の高い選択となるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、あなたに最適なオフィスソフトを選んでください。