世界的な大手VPNサービスの一つである、NordVPN。日本でも多くの利用者を抱えるVPNサービスですが、実際の使い勝手はどうなのでしょうか?
今回は、NordVPNのコンプリートプランを実際に契約し、使用してみた感想を生の口コミとしてご報告します。
また、実際に利用している方たちからの評判についても、Twitterの口コミを参考に傾向を分析。それらを参考に、NordVPNがどのような方におすすめで、どのような方に向いていないのかといった点についても言及しています。

NordVPNの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
NordVPNの基本情報
NordVPNは、ヨーロッパ企業が運営する大手VPNサービスです。本格的なグローバル展開が行なわれており、サーバー設置国の数も非常に多く、安心できます。
まずは、NordVPNのサービスの特徴を簡単にとまとめてみました。
- 安定した利用が可能な大手VPNサービスの一角
- 付加機能が大きなプランも選べるサービス展開
- 長期契約でとてもお得な価格設定
- 30日までの返金保証あり
安定した利用が可能な大手VPNサービスの一角
NordVPNが世界的なVPNサービス大手の一角に挙げられる点は、特筆しておくべきポイントでしょう。サーバー設置国、サーバー台数、回線などのバックボーンの強さから、安定した接続が期待できるVPNサービスです。

各国ごとに設置されたサーバー台数も豊富で、万が一どこかのサーバーがダウンしても安心。事実上のバックアップサーバーが多数あるため、VPN通信が行えなくなってしまうリスクは低いです。
付加機能が大きなプランも選べるサービス展開
NordVPNのプラン構成はユニークで、以下のように機能違いの3コースが用意されています。
プラン名 | 機能 |
スタンダードプラン | 一般的なVPNサービスを一通り利用可能 |
プラスプラン | 情報漏えいスキャナー、パスワードマネージャー機能を追加で利用可能 |
コンプリートプラン | プラスプランの内容+1TBのクラウドストレージ利用権が付属 |

ちなみに、情報漏えいスキャナーはノートン 360のダークウェブモニタリング的な機能です。個人情報の漏えいをNordVPNがウォッチし続けてくれます。
長期契約でとてもおトクな価格設定
NordVPNで1年・2年などの長期契約を行なうと、最初の契約期間の利用料金は大幅に割安となります。
具体的には、スタンダードプランの2年契約なら、1月あたり470円相当で利用可能です。

NordVPNの価格は為替レートの変動の影響を受けやすく、頻繁に変化します。契約前には、しっかり最新情報を確認するようにしましょう。
30日までの返金保証あり
NordVPNには無料トライアル期間は用意されていないものの、各プランに「30日間の返金保証」が付いています。
先に支払い手続きをする必要はありますが、実質的に返金対応期間を擬似的なトライアル的にも使える仕組みです。
何らかの理由で利用に適さないと判断した場合は、この返金保証を利用しましょう。
【実機レビュー】速度は?NordVPNの使用感を口コミ
では早速、以下2の項目に関するNordVPNの使用感を共有します。
- 接続可能なネットサービスについて
- 実効通信速度と遅延について
NordVPNの導入方法、接続方法などについては以下の記事に詳細をまとめていますので、併せて参考にしてください。
接続可能なネットサービスについて
ネットのサービスの中には、接続可能な地域・国を限定したものがあります。特に、ゲームや動画配信サービスなど、著作権が深く関わるコンテンツには厳しめの制限がかけられる傾向があるようです。
この点についてNordVPNのVPN通信を有効にした状態で確認してみましたが、動画配信サービス以外ではサービスが利用できないケースにはぶつかりませんでした。

この点における使用感は、良好と言えそうです。
VODサービスの接続状況は?
動画配信サービスについても、著者が契約している範囲で接続状況を確認してみました。
結果は以下の通りです。
Amazonプライムビデオ | OK |
Hulu | OK |
Netflix | OK |
dアニメストア | NG |
dアニメストアはかなりサーバーのチェックが厳しいようで、NordVPN以外のVPNサービスもすべて弾かれてしまっています。(海外からのアクセスと見なされる)

数ある動画配信系の中でも、例外的にVPNに対して厳しい設定となっているようですね。
dアニメストア以外のAmazonプライムビデオ、Hulu、Netflixは、いずれも高画質版・フルHDの再生が非常にスムーズにできました。
また、Netflixのように国によって配信している動画を分けている動画配信サービスの場合は、経由するサーバーを海外に指定することで日本では視聴できない動画も視聴できるようになります。

この点に関しては別記事にまとめますので、そちらも併せて参考にしてください。
実効通信速度と遅延について
著者自宅の光回線環境にて、実効通信速度と遅延(Ping値)を簡単に測定してみました。
通信環境はNTT東日本のフレッツ光ギガファミリー経由で、NTT-MEのプロバイダを利用。通信はIPv6です。ルーターは、NTTからレンタルしたものをブリッジモードでバイパス。ヤマハのSOHO向けルーターを使っています。

速度測定サイトには、上下方向の速度とPing値が計測できる「ブロードバンドスピードテスト」を利用しました。
ちなみに、NordVPNを経由しない通常の通信では、以下のような速度が出ています。
下り | 569.83Mbps |
上り | 337.03Mbps |
Ping値 | 29ms |
これに対し、NordVPNのVPN通信を有効化すると以下の速度に留まる結果となりました。
下り | 3.43Mbps |
上り | 36.32Mbps |
Ping値 | 29ms |
どうも、著者宅の通信環境もNordVPNとはあまり相性は良くない模様です。
ネットワークトポロジーなどの関係で速度測定を行なってくれるサーバーとNordVPNのVPNサーバーとの相性問題もあるかもしれません。
別の速度測定サイトで下り方向の速度を測ると以下の速度が出ていて、こちらはなかなか優秀な数字です。
方向 | 接続先 | 速度 |
下り | SAKURAサーバー | 65.88Mbps |
WebAreanaサーバー | 61.33Mbps |
通常のネットの使い方なら、下り通信速度が10Mbps以上出ていればほぼストレスフリーです。ただし、大量のデータをクラウドストレージとやりとりする場合など、一部の操作をする場合は作業完了までの時間が延びる可能性はありますが。

実際、上記の接続状況でも動画配信サービスでの高解像度・高画質モードでの視聴に問題は出ませんでした。
遅延の方も非VPN通信と比較しても劣化の度合いは小さく、こちらもほとんどすべての用途で問題になることはありません。
実使用感に関しても、「Webページのアクセスでほんのわずか最初のページ表示にウェイトがかかるような雰囲気もなきにしもあらずかな?」程度で、ストレスはありません。

利用可能なサービスの制限度合い・通信速度ともに、快適なVPNサービスと言って良いでしょう。
NordVPNのネット上の評判
続いて、Twitterの口コミを参考にNordVPNの評判を確認していきます。
ただ、注目を集めつつあるVPNサービスではありますが、まだまだ日本での知名度と言いますか実際の普及率の方はこれからのようです。Twitterの口コミの数も、セキュリティソフトに比べてまだまだ少ない様子でした。
好意的な口コミ
まずは、NordVPNに好意的な口コミからご紹介します。
「怖い」フリーWi-FiにこそVPNサービスを
ホテルWi-Fiはこの時間帯でこんな感じ。ただ、これNordVPN経由しているので、実際はもう少し速度出るかも。でも問題は、
オープンネットワークでパスワード不要なこと
とてもじゃないがそのままじゃ安心して使えない… pic.twitter.com/IA3y57SS2y
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) August 21, 2022
こちらのユーザーが宿泊したホテルにはネット接続サービスが準備されていたものの、なぜか暗号化されていないWi-Fiサービスだったようです。これは正直「非常に怖い」ものですね。
Wi-Fiの電波を傍受することで、通信内容は簡単に盗まれてしまいます。

そんな時こそ、安心と安全確保のためにVPNサービスを、と言うわけですね。
ちなみに、実効通信速度に関してはホテルが引いている回線の太さが大きく影響するため、こういったケースではNordVPN側のパフォーマンスの影響は少なくなります。
海外から日本限定のネットサービスを利用するのに有効
シドニーではパソコンから日本のテレビ番組(見逃し配信)、ティーバやGYAOを見られません。
VPN (ソフト) をパソコンにインストールして、日本のサーバーを選べば、番組を見ることができます。
VPNは有料で、ネット探して自分にマッチした会社と契約をします。私はNordVPNを使っています。
— リリィ|シドニー暮らし豆知識 (@KateMatsunobu) August 23, 2022
こちらは、海外の出先から日本国内限定のネットサービスを利用するための使い方です。
TVerやGYAOなど、日本限定の動画配信サービスへの対応ができるのも嬉しいところです。
不満を感じる口コミ
続いて、不満を感じているユーザーの口コミも2つご紹介します。
日本国内のサービスでも対応しないものがある
@happy_25chan お久しぶりです。
台湾に到着し、NordVPNに登録したのですが、昨日は見れていたのですが今日はDAZNが見れてない状況です。何か対策などはありますでしょうか?— ソーダ@市丸の人 (@_soda_gamba_10) August 25, 2022
こちらは、台湾から日本の国内限定の動画配信サービスに接続しようとしてできなかったユーザーの体験談です。NordVPN経由で前日まで接続できていたのに、翌日になると接続できなかったというパターン。
恐らくクイック接続で設定される接続先サーバーが変わったのが原因ではないかと思われます。同じNordVPNの日本サーバーでも接続できたりできなかったりがあるとしたら、確かにちょっと不安要素にはなりますね。
実効通信速度のバラツキ
ダウンロード459kbpsでアップロード84mbpsなんだ?????最近nord vpnの速度が出ない pic.twitter.com/cY49hGZ9S0
— holmes (@Holmes4869pc) April 9, 2022
こちらユーザーは、かなり極端な下りの通信速度低下を経験したようです。0.5Mbpsというのは非常に厳しい状況ですね。画像が少なく静止画しか張られていない静的なWebサイトでも、閲覧は厳しいと思います。
こういった場合には、切断/接続を繰り返して接続先サーバーを切り替えてみると状況が改善するかもしれません。
口コミから伺えるNordVPNの評判
NordVPNに関する口コミとしては、上記のようなものが代表的なものでした。これらの口コミから、NordVPNの評判をまとめてみたいと思います。
VPNサービスとしての基本部分の安定性
まず、好意的な意見の多くで「NordVPNのVPNサービスとしての基本機能の確実性」が評価されています。
特に、日本から海外の、海外から日本のWebサービスを利用するためにNordVPNを利用してきた方は昔から多くいたようで、この点における安心感の高さが評価されています。
また、フリーWi-Fi利用時など回線に対するセキュリティ向上を意識するユーザーも増えてきている印象です。取り上げた口コミにもありましたが、パスワードなしでWi-Fi通信が行なえるサービスなどは、セキュリティ面からは本来考えたくないレベルのものですからね。
Wi-Fiは電波で通信を行ないますから、当然、部屋や自宅の建物以外にも通信の電波は漏れているのです。自宅で利用可能なWi-Fiアクセスポイントを検索すると、自宅のもの以外のSSIDもたくさん見えますよね?

電波自体は簡単にアクセスできるものですので、よりセキュリティを高めるためにVPNサービスを検討する人も増えています。
実効通信速度にばらつきアリ?
ややネガティブにも捉えられかねないのが、実効通信速度のバラツキです。
条件の良いユーザーはVPN通信を行なっている状態でも数百Mbpsという高速でやりとりが可能なようなのですが、速度が極端に出ないユーザーもいるようです。
ただ、実効通信速度にはさまざまな要素が絡みます。すべてのユーザー環境で数字を揃えるのは実際にはなかなか難しいのかもしれません。

ちなみに、日本サーバーをチョイスしても利用できない日本限定のネットサービスが存在する状況は、NordVPNに限らずどのVPNサービスにも共通する課題です。各社、ぜひもう一段頑張っていただきたいですね。
NordVPNのメリット・デメリット
実際にNordVPNを利用した体験、ならびにTwitterの口コミ情報という2つの要素を参考にしつつ、NordVPNの特徴をメリット・デメリットという2つの観点でまとめたいと思います。
NordVPNのメリット
まずは、NordVPNのメリットからです。
(比較的)広いネットサービス対応の幅
さすがに大手VPNサービス会社ということでしょうか。NordVPNを経由しても利用できるネットサービスの幅は、かなり広いです。
有料の動画配信サービスも普通に利用可能なケースが多く、海外旅行などの際に国外から日本の動画配信を利用したい場合も安心して使えると思われます。
機能が豊富
NordVPNの上位プランには、単にVPNサービスの範囲には留まらない豊富な機能が付帯しています。
クラウドストレージサービス、パスワードマネージャーなどは、使い始めるとなくてはならない機能になりますよね。
これらの機能がわずかな追加料金で利用可能になる点は、とても魅力的と言えるのではないでしょうか。

万が一NordVPNの機能が使用目的にマッチしなかった場合には、30日までなら返金保証を利用できます。実質的なお試し期間として捉えることもできるため、気になる方は上位プランを試してみると良いでしょう。
3つの料金プランに応じたオプション機能の詳細については、下記の記事で紹介しています。
NordVPNのデメリット
次に、NordVPNの弱点となりそうなポイントについてです。
環境により変動が大きい実効通信速度
NordVPNのサーバーやデータセンターの通信環境、ネットワーク的な位置関係の影響かもしれませんが、ユーザーの通信環境により実効通信速度のバラツキはかなり大きいように見えます。
Twitterの口コミによるとVPN通信を行なっても数百Mbpsという高速な通信が可能な環境もあるようですが、著者の環境では比較的低めの数字となりました。
また、速度測定のテストを行なった際も、使用したサーバーごとにかなりのばらつきが見られました。

一般的な利用で困ることはない通信速度は確保されていますが、使い方の工夫が必要になるケースもあるかもしれません。
中国からの接続状況
NordVPは中国からの接続にも対応したVPNサービスですが、最近はVPNサービス自体への規制強化により、中国からの接続が難しいケースも見られているようです。
とは言え、中国政府の規制を受けている点は他のVPNサービスについても同様ですので、中国での利用を考えている方は複数のVPNサービスに加入しておくなど、必要な手を打っておきましょう。
NordVPNはこんな方におすすめ
ここまでの内容を踏まえ、NordVPNおすすめのユーザータイプを下記にまとめました。
- 海外旅行、海外への出張の際に、日本国内限定のネットサービスを使い続けたい方
- 日本から海外限定のネットサービスを利用したい方
- フリーWi-Fiなどの利用時のセキュリティアップを図りたい方
VPNサービス利用で考えられるごく一般的な内容にはなりますが、VPNサービスに期待される機能を「当たり前に」「安心して」利用できる点が、NordVPNの最大の強みと言えるかもしれません。

特定の国限定の各種ネットサービスへの対応度の高さが、上記の強みを実現しています。
こんな方には向いてないかも
NordVPNは機能等の穴が少なく、多くのユーザーにマッチしやすいサービスです。ですが、弱点がないわけではありません。
- クラウドストレージとの同期、Windows等の大規模更新時の利用目的
NordVPは環境によって実効通信速度にバラツキがあります。大容量のデータのやりとりが必要なクラウドストレージとのデータの同期や、OSの大規模アップデートを行なう際には、VPN通信を無効化するなどの使い方の工夫が必要になるかもしれません。
どのブランドでもVPN通信を有効化すると程度の差こそあれ実効通信速度は低下しますので、この手間を面倒と感じるユーザーはVPNサービス導入自体をじっくり検討した方が良いかもしれません。
まとめ
NordVPNは、一般的なVPNサービスの機能を安定的に提供しつつ、上位プランにおいては幅広い機能をカバーしたサービスです。
幅広いサーバーロケーション対応や多くのサーバー台数、バックボーンの強さで安定したVPN通信を実現。ネットサービスへの対応度合いも高く、多くの人が安心して使える機能性を持ちます。

環境によって実効通信速度にバラツキはありますが、30日間の返金期間も用意されていますので、まずはご自身の環境で快適に利用できるか試してみてはいかがでしょうか。