有料のパスワード管理アプリを検討する際、有力な候補として挙がるのが「1Password」と「Keeper」です。どちらも世界的に評価の高いツールですが、機能が似ているため「結局どちらがお得で安全なのか」と迷ってしまう方は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、そんな1PasswordとKeeperの料金、セキュリティ、使い勝手の違いを徹底比較します。
公式サイトの料金を比較するとKeeperの方が安く見えますが、ソースネクスト経由で購入すると1Passwordの方がコストパフォーマンスが良いです。その点についても詳しく解説しますので、どちらが良いか迷っている方はぜひ参考にしてください。
1Password vs Keeper 徹底比較！日本で使うならどっち？
まずは、1PasswordとKeeperのどちらがおすすめか？という結論からお伝えします。
日本での利用を前提とした場合、おすすめなのは1Passwordです。その理由を、解説します。
1Passwordのコスパとセキュリティは秀逸
日本在住のユーザーにとって1PasswordがKeeperよりも優れている理由は、以下の2点です。
- 日本限定の「円建て固定価格」：ソースネクスト版を利用することで、円安の影響を受けるKeeperよりも大幅に安く利用できる。
- 「Secret Key」による鉄壁の防御：マスターパスワードに加え、端末固有の秘密鍵を併用する独自技術により、万が一サーバーが攻撃されてもデータ解読が不可能。
Keeperも高機能ですが、後述するように「必要な機能を追加していくと割高になる」という料金構造の注意点があります。対して1Passwordは、全てのセキュリティ機能が標準搭載されたオールインワン型です。
1Passwordの機能や使い勝手については、下記の記事で詳しく解説しています。
用途別のおすすめ（個人／家族／ビジネス）
利用シーンに合わせて選ぶなら、以下の基準を参考にしてください。
- 個人・家族・フリーランス：1Password
「ソースネクスト3年版」が最もコスパが良いです。ファミリープランを選べば家族間でのパスワード共有も直感的で、ITに詳しくない家族でも迷わず使えます。 - 大企業・官公庁：Keeper も検討の余地あり
米国政府のセキュリティ基準「FedRAMP」認証を取得しており、部署ごとの細かいアクセス権限設定（RBAC）が必要な大規模組織には適しています。
一般の個人ユーザーやご家庭であればコストパフォーマンスに優れた「1Password」がおすすめ。特に、「ソースネクスト版」の価格メリットは非常に大きなアドバンテージです。
ソースネクスト公式HPへ
【料金比較】日本円だと「1Password」が安い理由
多くの比較サイトや英語圏のレビューでは「Keeperの方が月額料金が安い」と書かれていることがありますが、これはドル建て定価での話です。日本円で支払う場合、この常識は逆転します。
1Passwordはソースネクスト経由が安い
Keeperはドルベースのサブスクリプションであり、円安の影響をダイレクトに受けます。一方、1Passwordには日本の販売代理店「ソースネクスト」が販売する日本独自の「3年版ライセンス」が存在します。
これは為替レートに関わらず価格が固定されており、実質的な「為替ヘッジ」としても機能します。
| 比較項目 | 1Password （ソースネクスト版） |
Keeper （公式サイト） |
|---|---|---|
| 契約形態 | 3年買い切り（円建て） | 1年更新（ドル建て変動） |
| 個人プラン | 約12,800円／3年 （月換算 約355円） |
約18,000円以上／3年 （月換算 約500円以上）※ |
| ファミリープラン | 約21,480円／3年 （月換算 約596円） |
約30,000円以上／3年 （月換算 約850円以上）※ |
※※Keeper価格は、基本プランに必須級のアドオン（後述）を追加し、1ドル150円換算で試算した場合の目安です。
Keeperは「オプション課金」に注意
Keeperの料金が「表示価格は基本機能のみ」である点にも、注意が必要です。
例えば、ダークウェブへの情報流出を監視する機能（1Passwordでは標準搭載の「Watchtower」）を利用するには、Keeperでは「BreachWatch」という有料アドオン（年額約20ドル程度）を追加購入する必要があります。
これらを積み上げていくと、結果としてランニングコストが高額になってしまうのです。
1Passwordは「全部入りの定食」、Keeperは「おかずごとの単品注文」というイメージですね。セキュリティ機能をフルに使いたいなら、1Passwordの方がお財布に優しい設計になっています。
ソースネクスト公式HPへ
【セキュリティ比較】決定的な差は「Secret Key」の有無
両社ともにAES-256ビット暗号化とゼロ知識証明を採用しており、基本的な安全性は高水準です。
しかし、暗号化の「仕組み（アーキテクチャ）」と、第三者による「信頼性の担保（認証・監査）」には、両社の設計思想の違いが色濃く反映されています。
1Password独自の「Secret Key」とは？
1Passwordの最大の発明とも言えるのが「Secret Key（シークレットキー）」です。
一般的なパスワード管理アプリは「メールアドレス」と「マスターパスワード」で認証しますが、1Passwordはそこに「端末内に保存された34桁の秘密鍵（Secret Key）」を組み合わせないと復号できない仕組みになっています。（参照：1Password Secret Keyについて）
この「2つの鍵」の仕組みにより、万が一1Passwordのクラウドサーバーからデータが盗み出されたとしても、ハッカーは総当たり攻撃（ブルートフォースアタック）を仕掛けることができません。ハッカーは、ユーザーの端末内にあるSecret Keyを持っていないからです。
これは数学的に極めて強固な保護メカニズムです。
Keeperのセキュリティも堅牢だが「標準的」
対するKeeperには、Secret Keyのような追加の秘密鍵はありません。その代わり、マスターパスワードから暗号化鍵を生成する際の計算回数（PBKDF2反復回数）を「100万回」に設定することで強度を高めています（1Passwordは650,000回＋Secret Key）。
Keeperのアプローチも業界標準を大きく上回る安全なものですが、「サーバーからのデータ漏洩耐性」という観点では、構造的な壁を持つ1Passwordに軍配が上がります。
透明性と監査体制の違い
信頼性の面では、Keeperは米国政府調達基準である「FedRAMP」認証を取得しており、コンプライアンス重視の組織から厚い信頼を得ています。
（参照：Keeper Compliance Reports）
一方、1PasswordはSOC2 Type2やISO27001の取得に加え、セキュリティ設計のホワイトペーパーを詳細に公開するなど、透明性の高さ（Openness）でユーザーの信頼を獲得しています。
どちらも第三者機関の監査を受けており、信頼性は非常に高いです。一般的に、個人レベルでは「Secret Key」の安心感が大きく、政府系プロジェクトでは「FedRAMP」が重視される傾向にあります。
【機能・使い勝手】日常利用で差が出る3つのポイント
パスワード管理アプリは毎日何度も使うものだからこそ、ストレスのない操作性（UX）が継続利用のポイントです。
ここでは、カタログスペックだけでは分かりにくい「UIの洗練度」「無料版の実用性」「共有機能の違い」といった、日常利用で差が出る以下3つのポイントを深掘りします。
- UIの洗練度と自動入力の精度
- 「無料版」の有無（Keeperの強み）
- 家族共有 vs ビジネス権限管理
UIの洗練度と自動入力の精度
1Passwordのユーザーレビューにおいて特に評価が高いのが、「使い心地」です。特にMacやiPhoneなどのApple製品との親和性が高く、生体認証（Touch ID / Face ID）と連携したログイン体験は非常にスムーズです。
「ブラウザ拡張機能の挙動が安定している」「ストレスなく入力される」という点では、1Passwordが頭一つ抜けていると考えて良いでしょう。
また、1Password独自の機能として、海外渡航時に機密情報を一時的に端末から隠す「トラベルモード」があり、プライバシー保護の観点で優れています。
「無料版」の有無（Keeperの強み）
Keeperの強みとして「無料プラン」の存在が挙げられます（1Passwordには無料トライアルはあるものの、無料版はない）。
ただし、この無料版は「モバイル端末1台のみ」「同期不可」という厳しい制限があります。
現代においてPCとスマホでパスワードを同期できないのは実用的とは言えず、実質的には「あくまで体験版」という割り切りが必要と言えるでしょう。
家族共有 vs ビジネス権限管理
複数人でパスワードを共有する場合、両者の「管理の仕組み」は対照的です。
- 1Password（シンプル重視）：「共有フォルダ」に入れるだけで完了。家族やチームでの手軽な共有に最適。
- Keeper（管理重視）：パスワードごとに「閲覧のみ」「編集可」などを細かく指定可能。厳格なルールが必要なビジネス利用に最適。
1Passwordは「保管庫（Vault）」単位での共有を基本としています。「家族共有用」という箱を作成し、家族を招待すれば、その箱に入れたパスワードは自動的に全員に共有されます。直感的で分かりやすく、ITリテラシーが高くない家族でも迷わず使えるのがメリットです。
一方、Keeperは「レコード（個別のパスワード）」単位での詳細な権限設定が得意です。「このパスワードはAさんには閲覧のみ許可、Bさんには編集も許可」といった細かい制御が可能で、組織階層に合わせた柔軟な運用ができます。
口コミ・評判から見る「リアルな評価」
実際に長く使っているユーザーはどのように感じているのでしょうか。
SNSやレビューサイトでは、両者の「価格に対する納得感」と「管理機能の差」に関する意見が多く見られます。
「1Password」ユーザーの声
ブラウザにパスワ保存は危険
ソースネクスト(株価167円)の株主優待ポイントで1password3年版を購入しました!（なぜかソースネクストが公式より安い）
ログインめちゃ便利だしフィッシング詐欺対策にもなるのでがっちり!!#がっちりマンデー #株主優待 #ソースネクスト #1password pic.twitter.com/Rh2NtjkrCp— まにっくまっくでー(manicMACD) (@manicMACD) May 25, 2025
@1PasswordのWatchtowerセキュリティスコアは1061です（すばらしい）🤩 🏖️ ✅ https://t.co/TuMw5zHa5I
— ぐっち (@gucchi2_7) August 27, 2025
多くのユーザーが「ソースネクスト版の安さ」と「UIの美しさ」を挙げています。
また、Watchtower機能が標準で使えるため、情報漏洩のニュースがあった際にすぐに自分の状況を確認できる安心感も評価されています。
ソースネクスト公式HPへ
「Keeper」ユーザーの声
パスワードマネージャーあれこれ使っていたけど、ご縁があってKeeperメインにして今のところ正解だなと思っている(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ
— HERO1008(Hiroaki Tamura)@ITコンサル/トレーナー (@HERO1008) August 21, 2025
ChromeのパスワードマネージャでMFA管理追加してくれないかなー。このあたりKeeperはアカウントとパスキーとか二要素コードをリンクしてくれてとても便利。ちょっと高いのが難点だけど、小さな会社ならおすすめしたいパスワードマネージャです。
— あおぞう (@yanappo555) May 27, 2025
こちらも多くのユーザーから管理機能の高さが評価されていますが、やはり価格面に関しては高いと感じているユーザーも一定数いるようです。
どっちを選ぶ？タイプ別おすすめ診断
ここまでの比較を踏まえ、それぞれのツールがどのようなニーズを持つユーザーに適しているかを整理しました。ご自身の環境に当てはめて検討してみてください。
こんな人は「1Password」がおすすめ
- PC、スマホ、タブレットなど複数端末で快適に同期したい人
- 家族全員をお得に、かつ強固に守りたい人（ソースネクストファミリー版）
- 「Secret Key」による最高強度のセキュリティで安心感を得たい人
現代のデジタルライフにおいて、PCとスマホの連携は必須です。1Passwordならデバイスを問わずシームレスにパスワードを呼び出せます。
また、日本国内では「ソースネクスト版」の価格優位性が圧倒的であり、家族5人で使っても月額ワンコイン程度に収まるコストパフォーマンスは他社にはない魅力です。
ソースネクスト公式HPへ
こんな人は「Keeper」がおすすめ
- スマホ1台だけで管理できれば十分な人（無料版利用）
- 大規模組織の管理者で、極めて詳細なアクセス権限設定が必要な場合
- 学生・医療従事者など、Keeper独自の割引プログラムの対象者
Keeperは「完全無料（制限あり）」で使い始められる点が最大のメリットです。PCを使わずスマホだけで完結する方にとっては、コストをかけずにセキュリティ対策が可能となります。
また、組織構造が複雑な大企業において、部署や役職ごとに細かくアクセス権を制御したい場合は、Keeperの強力な管理コンソールが役立ちます。
よくある質問（FAQ）
最後に、1PasswordとKeeperの比較でよくある疑問と回答をまとめました。
Q. Keeperから1Passwordへの乗り換えは簡単ですか？
はい、非常に簡単です。
KeeperからエクスポートしたCSVファイルを、1Passwordのインポート機能で読み込むだけで完了します。公式ガイドも用意されており、複雑な手順は必要ありません。（参照：Keeperから1Passwordへの移行ガイド）
Q. Keeperの無料版はずっと使えますか？
使い続けることは可能ですが、機能制限が厳しいため注意が必要です。
無料版はモバイル端末1台のみ利用可能で、PCとの同期ができません。パスワード管理の利便性を実感するには、有料版または1Passwordへの切り替えをおすすめします。
まとめ
本記事では、1PasswordとKeeperを比較解説しました。
結論として、日本にお住まいの個人・家族ユーザーには、価格・機能・セキュリティのバランスが取れた「1Password（ソースネクスト版）」が最も合理的な選択肢となります。
- 圧倒的なコストパフォーマンス：3年版ライセンスで長期的な出費を抑制。
- 最高レベルの安全性：Secret Keyによる防御とWatchtowerによる監視。
- 優れたユーザー体験：ストレスのない自動入力とマルチデバイス連携。
セキュリティ対策は「導入して終わり」ではなく「使い続けること」が重要です。
使い勝手が良く、コスト負担も少ない1Passwordで、安全で快適なデジタルライフを始めてみてはいかがでしょうか。