空き家査定とは、引っ越しなどの転居や相続がきっかけで空き家となった建物をいくらくらいで売ることができるか評価してもらい、査定額を算出してもらうことです。空き家査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。この記事では、机上査定と訪問査定の特徴とメリット・デメリットを紹介します。
また、空き家を高額査定してもらうためのポイントを3つ挙げています。空き家査定を受ける際の注意点も紹介していますので参考にしてみてください。「空き家の査定は無料でできるの?」などの空き家についてよくある質問にもお答えしています。
空き家の査定方法は2種類ある

空き家を売却したいと思ったときに、まず必要なことは空き家を「査定」してもらうことです。空き家査定には、大きく分けて机上査定と訪問査定があります。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介します。
机上査定
机上査定とは、物件を直接見ずに、物件の情報や市場動向などのデータからおおよその査定額を算出する方法です。メリットとしては、インターネットで簡単に査定することができ、忙しい人でも手軽に査定することができます。遠方に物件がありなかなか行けないという人や、不動産会社に直接会いたくないという人に向いています。
デメリットとしては、直接物件を見ないので、建物の細かな情報や周辺地域の様子などがわからず正確な査定額が出せないという点です。
まずは、売るかどうか迷っていたり、今持っている空き家がいくらくらいで売れるのか知りたいと思っている人は、机上査定をしてみると良いでしょう。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を見て、家の内装や設備、築年数、日当たりや周辺環境などを考慮して査定額を算出する方法です。メリットとしては、直接物件を見るので、机上査定より詳しい査定をしてもらえること、書類の提出など手間がかかりますが、そのぶんより正確な査定額がわかることです。
デメリットとしては、物件に実際に赴かないといけないため査定してもらうのに時間がかかることです。査定の結果が届くのも1週間~10日くらいかかることがあります。
家を売却したいという意思が固まっていて、より正確な査定額を知りたいという人は、訪問査定が向いているでしょう。
空き家査定を受ける流れ

空き家査定を受けるのに、まずするべきことは、必要な書類を準備することです。ここでは、空き家査定に必要な書類についての紹介と依頼する方法について解説します。
空き家査定に必要な書類
空き家を査定する際には、できるだけ正確な査定価格を出すためにいくつかの書類や情報が必要になります。以下に、一般的に不動産会社から求められる主な書類をまとめました。
書類名 | 内容 |
登記簿謄本(登記事項証明書) | 土地や建物の所有者情報や権利の内容など、不動産の登記の情報がわかる重要書類 |
固定資産税納税通知書 | 年に一度、市町村から送られ、固定資産税の金額を確認できる書類 |
図面(間取り図・建物平面図) | 建物と敷地の位置関係や建物の間取りや構造がわかる書類 |
購入時の売買契約書または重要事項説明書 | 不動産に対して必要な情報や、注意点などが記載された書類 |
測量図・境界確認書(あれば) | 隣家や隣地との境界を証明する書類 |
建築確認済証・検査済証(あれば) | 建物が審査や検査を完了して基準をクリアしていることを証明する書類 |
リフォーム履歴(あれば) | リフォームや修繕の内容がわかる書類 |
空き家査定を依頼する方法
空き家査定を依頼する方法には、不動産会社に直接依頼する方法、一括査定サイトを利用する方法、買取業者に依頼する方法の3つがあります。
まず、不動産会社に直接依頼する方法では、地元の不動産会社や大手不動産会社に相談し、査定を依頼します。例えば、地元にある不動産会社であれば空き家があるエリアにも詳しく、より売却価格に近い査定額を出すことができます。
次に、一括査定サイトを利用する方法では、複数の不動産会社に一度に査定を依頼できます。オンラインで簡単に申し込めるため、手間をかけずに相場を知ることができますが、おおよその査定額であることを把握しておきましょう。
最後に、買取業者に依頼する方法です。不動産会社に直接依頼しても、買い手を仲介してもらうことになるため売却に至るまで数カ月またはそれ以上かかってしまうこともあります。その点、買取業者であれば、提示された買取額とこちらの条件が合えば契約することができ、スムーズに売却することができます。
空き家の査定を受けるメリット・デメリット
空き家の査定を受けるとどんなことがわかるのでしょうか? ここでは、空き家の査定を受けるメリット・デメリットを紹介します。
空き家査定のメリット
空き家査定を行う最大のメリットは、所有している空き家の「現在の資産価値」を正確に把握できる点です。市場でどれくらいの価値があるのかを知ることで、売却のタイミングや価格設定の参考になります。適正な価格がわかっていれば、いざ売却を決断したときにスムーズに取引が進む可能性が高くなります。
また、相続や贈与を検討している場合にも、資産価値を明確にしておくことで手続きがしやすくなり、税金対策にもつながります。さらに、査定額が希望に届かなかった場合でも、その結果を参考にして、リフォームして価値を高める、賃貸物件として活用するなど、別の選択肢を検討するきっかけになります。
空き家の今後を考えるうえで、まずは査定から始めることが大きな一歩となるでしょう。
空き家査定のデメリット
空き家査定にはいくつかのデメリットもあります。まず、査定には登記簿謄本や固定資産税の納税通知書など、必要な書類の準備が必要です。また、訪問査定では立ち合いや内見が求められる場合もあり、時間や手間がかかります。
さらに、インターネットの一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社に個人情報が共有されるため、営業電話やメールがしつこく届くケースもあるため注意が必要です。
そして、不動産会社によって査定額が異なることも少なくありません。不動産会社によっては高めの金額を提示して契約を狙うこともあるため、鵜呑みにせず冷静に比較することが大切です。正確で信頼性のある査定を受けるためには、最低でも2~3社から査定を取り、総合的に判断するのが望ましいでしょう。
空き家を高額査定してもらうための3つのポイント

空き家を売却したいと思ったときに、少しでも高く査定してもらいたいと思っている人も多いと思います。ここでは、高額査定してもらうためのポイントを3つ紹介します。
査定依頼の前に相場を調べておく
空き家査定の前に重要なことは、所有する空き家のおおよその相場を調べておくことです。だいたいの相場を把握することで、査定額が妥当であるかどうかを判断することができます。物件の相場は、立地や築年数、リフォーム歴などによっても価格が変動します。
不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’Sなど)で、全国の売り出し中の物件を調べることができます。掲載されている物件は、売り出し価格であるため、実際の取引価格とは違うことがあるので注意しましょう。また、国土交通省の提供する不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)では、実際の取引価格を確認することができます。さらに、地元の不動産会社のチラシなどでも情報を手に入れることができます。
訪問査定の前に最低限の掃除をしておく
訪問査定では、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れて室内や外観の状態を確認するため、最低限の掃除と片づけはしておくのが望ましいです。査定においては、設備の劣化状況や間取り、日当たり、壁や床の傷み具合といった「物件そのものの状態」が重視されますが、家の中が散らかっていたり、ゴミが目立つような状態だと、印象が悪くなる可能性もあります。
大がかりな清掃やリフォームまでは必要ありませんが、ホコリやゴミを取り除き、通路を確保しておくとスムーズにみてもらうことができます。また、不要な家具や私物はできる限り整理しておくと、部屋の広さや使い勝手をよりよく見てもらえるのでおすすめです。丁寧に整えた空間は、信頼感や好印象にもつながります。
物件の情報はもれなく伝える
物件の情報を不動産会社に伝える際に最も大切なのは、正確な情報をもれなく伝えることです。例えば、立地が良い、断熱材を新しく入れた、外壁塗装を最近行ったなどのアピールポイントは積極的に伝えるべきですが、それだけでなく、雨漏り、壁のひび割れ、シロアリ被害、給湯器やエアコンの不具合といったマイナス面も正直に伝えることが重要です。
ネガティブな情報を隠してしまうと、後々買い主とのトラブルに発展する可能性があり、損害賠償や契約解除などのリスクも伴います。
不動産会社は、良い点も悪い点も踏まえて適正な査定をしてくれるので、正直な申告が結果的に自分を守ることにつながります。信頼関係を築くうえでも、誠実な情報提供を心がけましょう。
空き家の査定を受ける際の注意点

空き家の査定を受けるにあたって、注意したい点を挙げています。査定を受ける上で、重要になってきますので、詳しくみていきましょう。
査定額は過信せず参考程度にしておく
不動産会社が出す査定価格は、このくらいで売れるだろうという見込みで算出された額です。実際の売却価格は、買い手の需要や交渉次第によって変わってくることがあります。査定価格に影響する要素は、駅が近い、日当たりが良いなど立地や周辺環境や、築年数や老朽化の程度など建物の状態によっても変わってきます。
最終的な売却価格は「市場」が決めることになり、実際に売り出してみて、反応を見ながら価格を調整することも多いです。
査定額をあまり過信せず、あくまで「売却を考えるための材料」として捉えておくようにしましょう。
建物の劣化が進むと価値が下がる
長期間手入れをされず放置された空き家は、雨漏りや木材の腐食、カビの発生などの劣化が進行してしまいます。そうなると、修繕が必要になりコストもかかるため、買い手からの評価もマイナスになってしまいます。
また、放置期間が長くなると、ゴミの不法投棄や不審者の侵入など近隣トラブルのリスクにもなりかねず、土地の評価にまで悪影響が及ぶこともあります。
もし売却を考えているなら、放置せず定期的なメンテナンスと早めの査定相談をしましょう。
名義変更が必要な場合は事前に済ませる
空き家の売却をスムーズに進めるためには、名義が適切に整理されていることが重要です。もし相続した空き家を売却する際、名義が故人のままになっていると、売却手続きを進めることができません。
また、令和6年(2024年)4月より、相続してから相続登記などの手続きを何もしないで放置した場合、10万円以下の過料が課されることがあります。(相続登記の義務化)
相続登記の手続きをするには、 戸籍謄本、遺産分割協議書、不動産の登記簿謄本などの書類が必要となります。また、複数の相続人がいる場合は、全員の同意が必要となるため、書類の準備や手続きに時間がかかってしまい、せっかくの売却のチャンスを逃してしまう恐れがあります。
名義変更には時間がかかることが多いため、相続した空き家を売却したい場合は、意識して早めに手続きを進めていくことが大切です。
空き家査定に関するよくある質問

空き家の査定を受けようと思ったときに、皆さんがよく疑問に思うことを紹介しています。
空き家を放置するとどうなる?
空き家を長期間放置していると、思わぬトラブルや経済的な負担につながる可能性があります。
まず、建物は使われないまま放置されることで急速に老朽化し、倒壊や外壁の落下といった危険性が高まります。また、不法侵入や不審火のリスクもあり、放置された空き家は犯罪の温床になるケースも少なくありません。
さらに、雑草の繁茂や害虫の発生、悪臭などにより近隣住民から苦情が寄せられ、地域全体の景観や治安にも悪影響を及ぼします。
このようなリスクのある空き家は特定空き家と呼ばれます。特定空き家に指定されると、行政から指導や勧告を受け、最終的には解体命令や費用の負担を求められることもあります。
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、早めに査定を受け、売却や活用方法を検討することが大切です。
空き家の査定は無料でできるの?
空き家の査定は、多くの不動産会社で基本的に無料で対応していることが一般的です。これは不動産会社にとって、査定が最初の営業活動の一環であるためです。
なぜ費用がかからないのかというと、不動産会社は実際に物件の売買契約が成立したときに「仲介手数料」という報酬を得る仕組みになっているからです。つまり、査定はあくまでその第一ステップに過ぎません。査定を通じて所有者に会社の存在やサービス内容を知ってもらい、信頼関係を築くことが目的となっています。
そのため、「査定だけでもOK」というスタンスの会社も多く、売却を急かされる心配も少ないのが特徴です。
安心して相談できる環境が整っているため、空き家の活用や処分を検討する際の第一歩として、無料査定を活用するのがおすすめです。
空き家を売らずに活用する方法とは?
空き家は、売却以外にもさまざまな活用方法があるため、すぐに売るのが難しい場合は 他の選択肢を検討することも考えましょう。
例えば、賃貸物件として貸し出す方法があります。一般的な賃貸だけでなく、シェアハウスや民泊として運用することで収益を得ることも可能です。また、一部の自治体では「空き家バンク」という制度を運営しており、移住希望者などに安価で貸し出すことができます。
さらに、リフォームやリノベーションを施し、カフェやオフィス、ゲストハウスとして再利用することも選択肢の一つです。補助金制度を活用すれば、初期費用を抑えて空き家を活用できる可能性があるため、自治体の支援策を確認してみると良いでしょう。
まとめ

空き家を所有している場合、放置していると維持費がかかるだけでなく、建物の老朽化が進み、売却や活用が難しくなるリスクがあります。特に、固定資産税の負担が重くなることや、倒壊リスクによる責任問題が発生する可能性もあるため、早めの対応が重要です。
まずは、空き家の現在の価値を把握することから始めましょう。無料査定を受けることで、売却や賃貸、活用方法の選択肢を広げることができます。また、査定を受けることで、相場感を掴み、最適な売却タイミングを見極めることも可能になります。
「まだ売却を決めていない」という方も、査定だけでも受けておくことで、今後の選択肢を明確にすることができます。まずは専門家に相談し、あなたの空き家をどうするのがベストなのかを検討してみましょう。
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