片手仲介とは?メリット・デメリット、不動産売買で失敗しない5つの方法を解説!

家を売却したいけれど、不動産の知識がないため取引が不安」「もし損をしてしまったらどうしよう」など、悩みを抱える方は多くいます。

不動産を売買する際に、できるだけ不利益を被らない方法で取引をしたいとは、誰もが思うことではないでしょうか。

不動産の売買で損をしないためには、どういった仲介方法で契約するかが重要だと言われています。その中でも「片手仲介」は比較的公平性の高い取引ができる仲介方法として近年注目されています。

しかし、片手仲介にもメリット・デメリットが存在するため、仕組みを正しく理解したうえで取引することが大切です。本記事では片手仲介について詳しく説明し、不動産売買で失敗しないためのポイントを徹底解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

片手仲介とは?

片手仲介とは、不動産売買において売り主と買い主にそれぞれ別の不動産会社が仲介することをいいます。ここでは片手仲介の仕組みを詳しく解説します。

また、もうひとつの仲介方法である「両手仲介」との違いについても確認していきます。

片手仲介の基本情報と仕組み

不動産を片手仲介で売却する場合、以下の順序で進めていきます。

  • 売り主は不動産会社Aと媒介契約を交わす
  • 売り主の不動産会社Aはレインズや広告などさまざまな方法で買い主を探す
  • 買い主は気になった不動産を取り扱う不動産会社Bを経由して物件を選んでいく

片手仲介は不動産会社A、Bがそれぞれ違う会社である場合を言います。不動産取引が成立した際には、売り主は不動産会社Aへ、買い主は不動産会社Bへ仲介手数料を支払います。

仲介手数料とは

仲介手数料は、不動産会社が売買契約を成立させた際に、依頼者である売り主あるいは買い主から受け取る報酬のことです。なお、この仲介手数料には上限額があり、法律によって決められています。

仲介手数料の上限

不動産業者が、依頼者の一方(売主もしくは買主)から受領できる仲介手数料(税込)は、「物件価格に応じて一定の料率を乗じて得た金額を合計した金額」以内

※料率は以下表の通り

200万円以下5.5%
200万円超~400万円以下4.4%
400万円超3.3%

引用:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省

このように、物件価格が高くなるほど仲介手数料の金額も大きくなるため、負担を抑えるために、料率(手数料の割合)は低めに設定されています。

仲介手数料の額で契約後にトラブルが起きるのを防ぐためにも、不動産会社への仲介の依頼(媒介契約の締結)の際は、あらかじめ上限額の範囲内で合意しておくことが重要です。

両手仲介と片手仲介の違いとは

不動産売買では売り主と買い主の間に仲介業者が入りますが、仲介の形態には「片手仲介」と「両手仲介」の2種類があります。

両手仲介と片手仲介の違いは、不動産会社が売り主または買い主のどちらと契約するか、また手数料をどのように受け取るかによって決まります。

両手仲介は、不動産会社が売り主・買い主の両方と契約し、仲介手数料を受け取る仕組みです。両手仲介で不動産会社が得る仲介手数料は単純に片手仲介の2倍になるため、収益性が高い仲介方法と言えるでしょう。

また両手仲介は、同じ不動産会社が売り主と買い主の間に立つため、価格交渉がスムーズにできる可能性が高いです。

しかし両手仲介では、高く売りたい売り主と安く買いたい買い主の間に立って交渉をしなければならないため、売り主や買い主のどちらかが不利になる条件で取引が進む可能性があります。

そのため、両手仲介では利益相反(一方の利益がもう片方の不利益になること)の問題が指摘されています。

また、片手仲介より両手仲介のほうが一度の取引で得られる手数料が増えるため、「囲い込み」という問題が起きるおそれがあると言われています。

囲い込みとは

囲い込みとは、売り主から依頼を受けた不動産会社が、他の不動産会社へ不動産情報を公開せず、自社のみで買い主を探そうとする行為です。

囲い込みは、両手仲介による仲介手数料の最大化を目的としておこなわれることが多くあります。

囲い込みをおこなっていると、売り主の物件情報をみた不動産会社から問い合わせがあったとしても、毎回「すでに商談中」や「内見の予約が埋まっている」などと理由をつけて断ります。

このように自社で買い主が見つかるまで意図的に情報を制限しているため、売り主にとってはなかなか買い手が見つからず、売却の機会が狭まることになります。

このような問題を受け、囲い込み規制を強化するために、宅地建物取引業法施行規則が改正され2025年1月から施行されます。

不動産会社が物件情報を共有するためのデータベースである、レインズ(RAINS)の登録内容に虚偽があったり、問い合わせ拒否をおこなうなど不正をした業者は、指導や処分の対象になります。悪質な業者は業務停止処分や指名停止処分が下されることもあります。今後、不動産取引の透明性が確保されることに期待が高まっていくでしょう。

片手仲介の3つのメリット

片手仲介は下記の3つのメリットがあります。1つずつ解説していきましょう。

  • 依頼者の利益が優先される
  • 取引の透明性が確保される
  • 依頼者と業者の信頼関係が構築される

1 依頼者の利益が優先される

片手仲介では不動産会社は売り主または買い主のどちらか一方のみを担当するため、利益相反が起こりにくいことがメリットと言えます。

例えば、売り主の仲介を担当する場合、売り主の要望にしっかり向き合い、利益を最大化することに専念できます。一方、買い主の仲介を担当する場合は買い主にとって有利な条件で交渉を進められます。

また、もう一方の依頼者の不動産会社が限定されないため、複数の不動産会社から買い主が現れる可能性があり、適正な価格での売買をサポートしやすいのもポイントです。

2 取引の透明性が確保される

仲介業者が特定の依頼者だけの利益を優先できるため、依頼者が知っておくべきマイナスの情報を隠して契約をすすめることが起こりにくくなります。

例えば、買い主の仲介業者は、売り主の利益については追及しないため、マンション付近の渋滞情報や、騒音問題などを買い主にすべて開示しようとします。その結果、買い主にとって情報が隠蔽されることなく、与えられた情報をもとに購入を検討することができ、購入後のトラブルが発生しにくくなります。

このように、売り主と買い主に対して取引の透明性を保ちやすくなります。

3 依頼者と業者の信頼関係が構築される

片手仲介では、依頼者の利益を最優先に考えてくれる不動産会社に対して、依頼者は安心感をもって取引できます。

例えば、売り主側の仲介業者は買い主が価格を下げてほしいと要求があったときに、理由なく価格を下げることはしません。買い主の要求を不必要に受け入れることはせず、できるだけ適正価格で売買できるように働きかけてくれます。

このように片手仲介では依頼者と仲介者の関係がよりシンプルであり、依頼者の利益が最大化するよう親身にサポートしてくれる傾向にあります。片手仲介は比較的安心して不動産会社と契約することができる仲介方法といえるでしょう。

片手仲介の2つのデメリット

商談イメージ画像

片手仲介では下記の2つのデメリットがあります。

  • 取引のスピードが遅くなる場合がある
  • 業者にとっては仲介手数料が少なくなる可能性がある

1つずつ解説していきます。

取引のスピードが落ちることがある

片手仲介は両手仲介に比べて、取引のスピードが落ちることがあります。これは、売り主と買い主の間に仲介業者が2社存在することから、業者間の調整が必要になるためです。

例えば、売り主の仲介業者は買い主を見つけるために、他の不動産業者と協力して買い主を探す必要があります。担当者が他の案件を多く抱えて忙しい場合も、すぐに対応できず時間がかかる可能性があります。

また両手仲介を優先したい不動産会社の場合、片手仲介の案件は仕事の優先順位を後回しにするケースもあり、売却に至るまで長期化する要因といえるでしょう。

手数料の収益が下がる

不動産会社は売り主または買い主の一方から手数料を受け取るため、売り主と買い主の両方から手数料を受け取る両手仲介に比べて収益が減少する可能性があります。これは、不動産会社にとってのデメリットとなります。

しかし、物件をより高く売れば仲介手数料も増えるため、不動産会社はより高く売るために積極的に動いてくれるようになります。したがって、売り主にとってはそれほどデメリットにはならないでしょう。

片手仲介で不動産取引を成功させるための5つの方法

片手仲介は、依頼主にとって透明性の高い取引が可能になりますが、不動産売買を成功させるためにはポイントを押さえて取引することが重要です。あらかじめ知識をもって不動産取引をすることで、知らずに損をすることを防ぎましょう。ここでは片手仲介で不動産取引を成功させるための5つの方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。

囲い込みをしないよう担当者に念を押す

不動産会社との契約をする前に「片手仲介で取引をしてほしい」と担当者に確認しておきます。

契約に対して直接なんらかの効力を及ぼすわけではないため、万全の対策とは言えないものの、一定の効果を見込める方法です。この一言で依頼主に知識があることがわかります。囲い込みをすれば、依頼主との信頼関係に響く可能性について考えてもらうこともできるでしょう。

また、「片手仲介で取引をしてほしい」と伝えることで、不動産会社の反応も見ることができます。質問に答えてくれない、あいまいに濁すといった不動産会社とは取引をしないほうがよいかもしれません。

大手だから大丈夫と思わない

知名度のある大手不動産会社は信頼と実績があるため、依頼主の不利益になるような取引はしないだろうと思いがちです。しかし、顧客を多く抱えている大手不動産は、自社で売手と買手を見つけることができるため両手仲介になりやすい傾向にあります。

もちろん、両手仲介が必ずしも依頼主にとって不利になるとは限りません。すぐ売りたい、買いたい方にとっては、顧客が多いからこそのスピーディーな対応が良い方向に働く場合もあります。しかし、大手不動産会社は両手仲介の割合が高い分、囲い込みがおこなわれている可能性も考えられるので注意が必要です。

また営業がノルマに追われていたり、顧客を多く抱えており一つの案件に時間をかけることができなかったりするケースもあるようです。早く売るために担当者から上手に持ちかけられた場合に、大手だからという理由だけで契約することがないようにしましょう

レインズの登録をこまめに確認する

レインズは不動産会社が共有できる不動産情報サイトのようなシステムです。不動産会社は専属媒介契約、専属専任媒介契約で契約した場合、不動産情報をレインズ登録することが義務付けられています。

レインズは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しており、不動産業界のインフラサービスと呼ばれるほど重要なシステムです。不動産会社によって登録された情報は、他のすべての不動産会社に提供されるため、最適な買い主を探すことができます。

専属媒介契約、専属専任媒介契約を結んでいながらレインズに登録していない場合は、違法になります。しかし、レインズに登録していても、内容によっては実質的な囲い込みとみられる下記のようなケースもあるようです。

  • 物件情報の状況に「一時紹介停止中」や「商談中」と記載し、他社が問い合わせできないようにしている
  • 土地の形状や物件の写真を記載せず、他社が問い合わせをしてみようとする気をなくす
  • 図面自体を掲載していない

売り主としてできることは、悪質な囲い込みを見抜けるようにすることです。そのためには、こまめにレインズで自分の物件をチェックし、物件状況を確認することが大切です。図面が「有」になっているか、さらに登録されている図面が詳細なものかも見ておくとよいでしょう。

売却活動内容を確認する

片手仲介を成功させるには、売れるための戦略を立てて、積極的に売却活動をしてくれる会社と仲介契約をすることが重要です。しかし、契約しようとしている不動産会社が本当に熱心に営業活動をしてくれるのかどうか事前に判断することは難しいことも少なくありません。

そこで、どのウェブサイトに掲載するか、物件情報の公開の方法などを確認して、どの程度回答が得られるかなどで信頼できる不動産会社か見極めることができます。

また、どのような営業活動をおこなったか、仲介業者は売り主に対して定期的に報告書を提出しなければなりません。報告の頻度も定められており、専属専任媒介契約の場合は1週間に1回、専任媒介契約では2週間に1回報告する必要があります。報告書には営業活動の内容や反応など記載するようになっています。

積極的な売却活動が書かれていない場合や、進展がない報告が多い場合には、囲い込みも疑われます。報告内容が気になる時は不動産会社に確認しましょう。

売り主が報告内容についてよく確認してくる場合は、不動産会社側も気を抜かず、積極的に売却活動をするようになるかもしれません。
囲い込みをして買い主が見つからない場合には、売り主が営業活動をもう少し積極的におこなうよう何度も伝えると囲い込みをやめる可能性もあります。

一般媒介契約にする

そもそも囲い込みを物理的にできなくする契約方法を選ぶという方法があります。それは、一般媒介契約です。一般媒介契約は他の媒介契約と違い、他社と契約することに制限がないため、複数の不動産会社と当時に媒介契約を結ぶことができます。複数の会社と契約することで、一社が物件を囲い込むことは不可能になります。

ただし、一般媒介契約は、レインズへの登録義務が特にありません。レインズに登録しなくてもよい一般媒介契約を不動産会社からすすめてきた場合は要注意です。あえてレインズに登録せず、囲い込みをし自社のみで売ろうと考えている可能性も考えられます。

一般媒介契約を結ぶ際には、必ず複数の不動産会社と契約を結ぶことが必要不可欠です。また、レインズに登録してもらうように確認することも忘れてはいけません。

特に人気エリアや築浅物件など、買い主がすぐに見つかりそうな場合は、一般媒介契約がおすすめです。不動産会社間の競争が働き、より良い条件で売ることができる可能性があるからです。囲い込み対策で片手仲介を選ぶ場合にも、契約方法は物件によって向き不向きがあります。契約方法の種類をまとめましたので参考にしてください。

契約方法の種類

不動産会社との契約は次の3種類があります。契約の仕方によってそれぞれメリット・デメリットがありますが、依頼者に自社のとって都合の良い契約方法をすすめてくる場合もあるので注意が必要です。

専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
契約社数1社1社複数可能
買い主を自分で見つけた場合不動産会社の仲介が必要仲介無しで販売可能仲介無しで販売可能
契約期間最長3か月※延長時は再契約最長3か月※延長時は再契約規定なし※3か月が一般的に多い
レインズへの登録契約から5日以内の登録義務がある契約から7日以内の登録義務がある登録義務はない
販売状況報告7日に1回以上必要14日に1回以上必要規定なし
メリット不動産会社が売却に力を入れてくれる
不動産会社だけでなく自分でも買い主を見つけられる
人気エリアなど条件次第で買い主候補が現れやすい
デメリット・成果は担当者個人の営業力に影響されやすい
・囲い込みのリスクが発生する
・売り主の自由度がもっとも低い
・成果は担当者個人の営業力に影響されやすい
・囲い込みのリスクが発生する
報告義務がないため不動産会社とのコミュニケーションが希薄
おすすめな人・物件・早く売りたい
・都心から離れている
・相場より高く売りたい
・自分で買い主を見つけられるかも知れない
・手間をかけたくない
・どの契約がよいか迷っている
・人気エリアにある
・売却に手間がかかってもかまわない

売却を急いでいる場合でも、その場で契約せず、わからないことや気になることは調べてから契約するようにしましょう。

まとめ

片手仲介とは、依頼者にとってデメリットの少ない仲介方法です。片手仲介によって透明性のある取引が期待でき、不動産会社も売り主の要望や利益を最優先して不動産売買をおこなう可能性が高まります。

一方、両手仲介だからと言って必ずしも不利益を被るとは言い切れません。どちらの仲介方法にもメリット・デメリットがあり、両手仲介をしたほうが依頼主が利益をより得ることができる場合もあります。しかし、不動産取引を検討している方は、不動産会社が自分の利益を最優先するために両手仲介をすることがあることを知っておくと、自分で確認しながら安心して取引を進められるでしょう。

不動産売買をおこなう際には、片手仲介・両手仲介の特徴を理解し、契約書に書かれている内容をよく読み、信頼できる不動産会社と取引することが大切です。


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この記事を書いた人

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