路線価に付いている「200D」「400C」などのアルファベットが何を意味しているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、路線価のアルファベットが示す借地権割合の意味をはじめ、路線価図に記載されている地区区分の図形記号の読み方、国税庁サイトでの路線価の調べ方、そして評価額の具体的な計算方法まで網羅的に解説します。
相続や贈与で土地を受け取る予定のある方は、ぜひ参考にしてください。
- 路線価のアルファベットは、土地に対する借地権割合を示しており、A(90%)からG(30%)まで7段階で定められている
- 路線価図にはアルファベットのほかに地区区分を示す図形記号も記載されており、奥行価格補正率などの補正を行う際に必要となる
- 借地権割合は相続税評価額の計算に使われるもので、借地権・貸宅地(底地)・貸家建付地の評価に影響する
路線価にあるアルファベットの意味とは

路線価に付記されたアルファベットは「借地権割合」を示す記号です。まずは路線価の基礎知識とあわせて、アルファベットの意味を確認しましょう。
路線価とは
路線価とは、道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格を千円単位で表したものです。
たとえば路線価図に「400C」と記載されている場合、「1平方メートルあたり40万円」を意味します。数字の「400」は千円単位の価格、後ろの「C」は借地権割合を示すアルファベットです。
路線価は主に相続税や贈与税の算出基準として使われており、国税庁が毎年7月1日に公表しています。
アルファベットは借地権割合を表す記号
路線価の数字の後ろに付くアルファベット(A〜G)は、その地域における借地権割合を示しています。借地権割合とは、土地全体の価値のうち借地権(土地を借りる権利)が占める割合のことです。
| 記号 | 借地権割合 |
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
この借地権割合は、自分の土地に自分で住んでいる場合(自用地)には使いません。借地権や貸宅地(底地)、貸家建付地の評価額を計算する際に使用します。
都会ほど借地権割合が高い傾向がある
借地権割合は全国一律ではなく、地域の土地需要に応じて設定されています。
- 東京都心部の商業地:A(90%)やB(80%)が多い
- 都市部の住宅地:C(70%)やD(60%)が一般的
- 郊外・地方:E(50%)〜G(30%)が多い
土地の需要が高い地域ほど借地権の価値が高く評価されるため、都心部ではアルファベットがAやBに近く、地方に行くほどF・Gに近づく傾向があります。
路線価図の見方と調べ方
路線価のアルファベットの意味がわかったところで、実際に路線価図を調べる方法を解説します。路線価図にはアルファベット以外にも重要な記号が記載されています。
国税庁の路線価図を調べる手順
路線価は国税庁の「路線価図・評価倍率表」サイトで誰でも無料で確認できます。具体的な手順は以下のとおりです。
- 国税庁の「路線価図・評価倍率表」ページにアクセスする
- 調べたい年度を選択する
- 都道府県を選択する
- 「路線価図」を選択する
- 市区町村を選択する
- 該当する地名(町丁名)を選択する
- 表示された路線価図で、対象地の前面道路に記載された路線価を確認する
路線価図には道路上に「400C」のような数字とアルファベットが記載されています。対象の土地が面している道路の路線価を読み取りましょう。
路線価図の地区区分(図形記号)の意味
路線価図には、アルファベットのほかに丸・六角形・八角形などの図形記号が記載されています。これは「地区区分」を表しており、奥行価格補正率などの補正率を適用する際に必要となる重要な情報です。
地区区分は以下の7種類に分かれ、それぞれ固有の図形で表されます。
| 図形の形状 | 地区区分 | 主な特徴 |
| 横長六角形 | ビル街地区 | 大都市の中心部、高層ビルが建ち並ぶ地域 |
| 楕円 | 高度商業地区 | 繁華街やターミナル駅周辺の商業地域 |
| 八角形 | 繁華街地区 | 飲食店・小売店が集中する地域 |
| 丸(正円) | 普通商業・併用住宅地区 | 商店と住宅が混在する地域 |
| 記号なし | 普通住宅地区 | 一般的な住宅地(最も多い) |
| ひし形 | 中小工場地区 | 中小規模の工場がある地域 |
| 長方形 | 大工場地区 | 大規模工場がある地域 |
さらに、図形の塗り方によって地区区分の適用範囲が変わります。
- 黒塗り:黒塗り側の道路沿いのみに適用
- 斜線:斜線が入っている側には適用されない
- 白抜き:道路の全域に適用
地区区分によって奥行価格補正率が異なるため、同じ奥行距離でも地区区分が違えば評価額が変わります。路線価図を確認する際は、アルファベットだけでなく図形記号とその塗り方もあわせて確認しましょう。
路線価の公表時期
相続税路線価と固定資産税路線価では、公表の主体や時期が異なります。
| 項目 | 相続税路線価 | 固定資産税路線価 |
| 主体機関 | 国税庁 | 市町村(東京23区は都) |
| 評価基準日 | 毎年1月1日 | 前年の1月1日 |
| 公表日 | 毎年7月1日 | 毎年3月〜4月頃 |
| 価格水準 | 公示地価の約80% | 公示地価の約70% |
| 見直し頻度 | 毎年 | 3年ごと(下落時は例外修正あり) |
一般的に「路線価」と言う場合は相続税路線価を指すことがほとんどです。本記事でも、特に断りがない限り相続税路線価について解説しています。
路線価を使った土地の評価額の計算方法
路線価を使って土地の相続税評価額を計算する方法を「路線価方式」と呼びます。ここでは以下の条件を例に、パターン別の計算方法を解説します。
【計算例の前提条件】
- 土地面積:150平方メートル
- 路線価:200D(1平方メートルあたり20万円、借地権割合60%)
- 借家権割合:30%(全国一律)
更地(自用地)の評価額
自分の土地に自分で住んでいる場合や、利用していない空き地の場合は、シンプルに「路線価×面積」で計算します。
評価額 = 路線価 × 面積
20万円 × 150平方メートル = 3,000万円
自用地の場合、アルファベット(借地権割合)は計算に使用しません。
借地権の評価額(借地人の場合)
他人の土地を借りて建物を建てている場合、借地人が持つ借地権の評価額は以下のとおりです。
借地権の評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合
3,000万円 × 60%(D) = 1,800万円
借地権は売買が難しいことなどから、更地よりも評価額が低くなります。
貸宅地(底地)の評価額(地主の場合)
土地を貸している地主側の評価額は、自用地評価額から借地権の評価額を差し引いて計算します。
貸宅地の評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合)
3,000万円 ×(1 − 60%)= 3,000万円 × 40% = 1,200万円
なお、貸宅地は「底地」とも呼ばれます。底地は借地権が設定されているため利用に制限があり、実際の売買価格は相続税評価額よりもさらに低くなる傾向があります。
貸家建付地の評価額
自分の土地にアパートやマンションなどの賃貸物件を建てて貸している場合は「貸家建付地」として評価されます。
貸家建付地の評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
賃貸割合100%(満室)の場合:
3,000万円 ×(1 − 60% × 30% × 100%)= 3,000万円 × 82% = 2,460万円
貸家建付地は、更地よりも評価額が下がるため、相続税対策としてアパート経営が活用される理由の一つです。
路線価が設定されていない地域の評価方法(倍率方式)
路線価はすべての道路に設定されているわけではありません。市街化が進んでいない地域や、道路に面していない宅地などには路線価が定められていないケースがあります。このような地域は「倍率地域」と呼ばれ、倍率方式で土地の評価額を計算します。
倍率方式の評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率
評価倍率は国税庁の「路線価図・評価倍率表」サイトで確認できます。路線価図を調べるときと同じサイトの「評価倍率表」から、該当する市区町村・地名を選択すると倍率が記載されています。
たとえば、固定資産税評価額が1,000万円で評価倍率が1.1の場合:
1,000万円 × 1.1 = 1,100万円
路線価図を確認して対象地に路線価が記載されていない場合は、倍率地域に該当していないか確認しましょう。
路線価の役割と公示地価との関係

日本には土地の価格を表す指標が複数あり、「1物5価」とも呼ばれます。路線価がどのような位置づけにあるのかを整理しておきましょう。
相続税路線価と固定資産税路線価の違い
「路線価」と呼ばれるものには、相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があります。
相続税路線価は、相続や贈与によって取得した土地の相続税・贈与税を計算する際に使われます。国税庁が毎年公表しています。
なお、該当年度の路線価発表前に相続や贈与が発生した場合は、7月の国税庁の発表を待ってから計算しましょう。毎年変動するものなので、前年発表の相続税路線価を使用すると正確な額の算出ができなくなってしまいます。
固定資産税路線価は、市町村(東京23区は都)が公表する数値で、以下4つの税額算出に用いられます。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税
路線価と公示地価の関係(1物5価)
土地の価格を表す5つの指標とその関係は以下のとおりです。
| 指標 | 決定機関 | 公示地価との目安 | 主な用途 |
| 公示地価 | 国土交通省 | 100%(基準) | 土地取引の指標 |
| 基準地価 | 都道府県 | ほぼ同水準 | 公示地価の補完(7月1日時点) |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 約80% | 相続税・贈与税の計算 |
| 固定資産税路線価 | 市町村 | 約70% | 固定資産税等の計算 |
| 実勢価格 | 市場 | 変動あり(110〜120%程度) | 実際の売買価格 |
相続税路線価は公示地価の約80%を目安に設定されています。そのため、路線価から概算の時価(実勢価格)を推計したい場合は「路線価 ÷ 0.8」で計算する方法が一般的です。
相続税路線価は補正が必要なケースと補正方法
路線価は道路に面する標準的な宅地を前提として設定されています。しかし、実際の土地は形状や接道状況がさまざまであるため、個々の土地の特徴に応じた補正を行い、公平な評価額を算出します。
土地の形状や条件による補正
以下のような特徴を持つ土地は、路線価に補正率を掛けて評価額を調整します。
- 奥行が長いまたは短い土地
- 宅地の形状がいびつになっている土地
- 間口が狭い土地
- 間口に対して奥行きが長い土地
- 宅地内に崖がある土地
補正率は国税庁のサイトで公開されており、誰でも確認することが可能です。
奥行価格補正
道路からの奥行距離が標準的な宅地と比べて長すぎる、または短すぎる場合に適用されます。奥行価格補正率は地区区分(前述の図形記号で確認)と奥行距離によって決まり、国税庁の「奥行価格補正率表」に定められています。
補正後の路線価 = 路線価 × 奥行価格補正率
不整形地補正
正方形や長方形ではなく、いびつな形状の土地に適用されます。計算の流れは以下のとおりです。
- 不整形地を囲む最小の長方形(想定整形地)を設定する
- 想定整形地の面積に対する不整形地の面積の割合(かげ地割合)を求める
- かげ地割合と地区区分に応じた補正率を適用する
間口狭小補正
道路に接している間口(道路に面する幅)が一般的な宅地より狭い場合に適用されます。間口が狭いと出入りがしにくく利便性が低いため、評価額が減額されます。
奥行長大補正
間口の幅に対して奥行が長すぎる土地(奥行距離÷間口幅=2以上)に適用されます。旗竿地(はたざおち)のような細長い土地が該当することが多いです。
がけ地補正
宅地の一部にがけ地を含む場合に適用されます。がけ地割合(がけ地面積÷総面積)が10%以上のときに補正の対象となり、がけ地の方角(東西南北)によって補正率が異なります。北向きのがけ地が最も評価額が低くなります。
接道状況に応じて行われる補正
利便性が高い土地は、逆に評価額が増額されます。
- 交差点の角または曲がり角にある土地(角地・準角地)
- 宅地の裏側にも道路がある土地(二方路地)
側方路線影響加算
角地(2つの道路が交差する角にある土地)や準角地(L字型の道路に接する土地)は、出入口を2方向に設けられるため利便性が高く評価されます。
評価額 =(正面路線価 × 奥行価格補正率)+(側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率)
二方路線影響加算
表と裏の両方が道路に接している土地(いわゆる二方路地)に適用されます。
評価額 =(正面路線価 × 奥行価格補正率)+(裏面路線価 × 奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率)
借地権割合と相続税の関係で知っておくべきポイント
路線価のアルファベットが示す借地権割合は、相続税に大きく関わります。ここでは相続の際に知っておくべき重要なポイントを3つ解説します。
小規模宅地等の特例で最大80%減額が可能
相続した土地が一定の要件を満たす場合、「小規模宅地等の特例」を適用することで相続税評価額を大幅に減額できます。
| 用途 | 限度面積 | 減額割合 |
| 特定居住用宅地(自宅) | 330平方メートル | 80% |
| 特定事業用宅地(事業用) | 400平方メートル | 80% |
| 貸付事業用宅地(賃貸用) | 200平方メートル | 50% |
たとえば、借地権の評価額が1,800万円の土地(居住用・330平方メートル以下)に特例が適用されると:
1,800万円 × 20%(80%減額後) = 360万円
この特例は借地権にも適用できるため、相続税額に大きな差が出ます。適用要件は複雑なので、相続が発生した際は税理士に相談することをおすすめします。
使用貸借と借地権の違いに注意
親の土地に子どもが家を建てて住んでいる場合など、地代を払わずに土地を使っている場合は「使用貸借」に該当します。使用貸借は借地権とは異なり、借地権割合を使った評価は行いません。
- 借地権(賃貸借):地代を支払っている → 借地権割合で評価
- 使用貸借:地代を支払っていない(無償) → 借地権の評価額はゼロ
使用貸借の場合、土地は「自用地」として100%の評価額で相続税が計算されます。相続の際に借地権と使用貸借を混同すると評価額を誤る原因になるため注意しましょう。
借地権割合は相続税評価用であり実勢価格とは異なる
路線価図に記載された借地権割合(A〜G)は、あくまで相続税の評価額を計算するための割合です。実際に借地権を売買する際の価格とは一致しません。
実務上、借地権の売買価格は更地価格の50〜60%程度になることが一般的ですが、立地条件・契約内容・地主との関係などによって大きく変動します。
借地権の売却や相続を検討している場合は、路線価図の数値だけで判断せず、不動産鑑定士や税理士など専門家に相談することが重要です。
路線価に関するよくある質問
まとめ
路線価のアルファベットは、A(90%)からG(30%)までの借地権割合を示す記号です。自用地の評価には使用しませんが、借地権・貸宅地(底地)・貸家建付地の相続税評価額を計算する際に必要となります。
路線価図にはアルファベットのほかに地区区分を示す図形記号も記載されており、奥行価格補正率などの補正を行う際に必要です。路線価が設定されていない地域では倍率方式で評価する点も覚えておきましょう。
相続が見込まれる場合は、以下のステップで土地の評価額を把握しておくことをおすすめします。
- 国税庁の路線価図で路線価・借地権割合・地区区分を確認する
- 土地の形状・接道状況に応じた補正を行う
- 小規模宅地等の特例の適用可否を検討する
土地の相続税評価は補正や特例によって結果が大きく変わります。正確な評価額を知りたい場合は、相続税に詳しい税理士への相談を検討しましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm
・https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
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