ラフな格好になることが増える夏は、存在感のある腕時計がつけたくなる季節です。夏の装いにぴったり合うのが、水や汗に強い「ダイバーズウォッチ」という種類の時計です。そこで今回は、そもそもダイバーズウォッチとは何なのかをおさらいし、さらにおすすめモデル2本をご紹介します。
そもそもダイバーズウォッチってなに?
ダイバーズウォッチとは名前の通り、ダイビングする人に向けて作られた時計です。ただ、防水性に優れているだけではダイバーズウォッチとはいえません。本格的なダイビングにも対応できる腕時計として販売するには、「JIS」(日本工業規格)や「ISO」(国際標準化機構)が定める基準に準拠しなければいけません。
ダイビング時に頼れるツールとして選ぶ際は、これらの基準を満たしているかどうかが重要なポイントになります。どうせ買うなら、厳格な基準に則って設計され、品質が保証された1本を選びたいところですよね。
例えばJISの基準を見てみると、「潜水時間表示」「視認性」「帯磁性」「耐熱衝撃性」「耐塩水性」「耐衝撃性」「防水性」「連結部品強度」「耐ヘリウムガス性」の9つの項目が設定されています。すべてを詳細に解説するのは省きますが、例えば水深200m以上の防水性能が必要であったり、耐衝撃性でいえば、変形、腐食がしにくいステンレススチールやチタン、セラミックなどのタフな素材を外装ケースに使用することが不可欠であったり、といった条件があります。
また、ダイビング時には、ガスボンベの酸素残量があと何分くらい持つのかという潜水可能時間を計測する必要があります。そのため、腕時計の外周に配置された回転するベゼル(逆回転防止ベゼルが基本)で潜水時間が測れるようになっています。さらに、深海は光が少なく、視認性を確保しにくい環境であることから、腕時計の数字や時分針が自ら発光するよう、夜光塗料を使うこともダイバーズウォッチでは一般的です。
より本格的な潜水に特化したモデルでは、腕時計内部にヘリウムガスを排出するためのヘリウムエスケープバブルを採用したものもあります。こうした基準を満たしているかを参考に選ぶことをおすすめします。
街でも似合う本格ダイバーズ2選 - まずはセイコー
ここからは、本格的なダイビングにも最適で街でつけてもカッコいいダイバーズウォッチを2本ご紹介します。まず1本目は、2024年3月に登場したセイコーウォッチ「メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ」です。
1965年に国産初のダイバーズウォッチとして登場したモデルを現代に蘇らせた最新ウォッチ。ブラック(SBDC197)とブルー(SBDC195)の2色展開(限定モデルなどで別カラーもあり)で、300mの空気潜水用防水と70時間パワーリザーブを装備しています。新開発のブレスレットにより装着感も向上。本格的なダイビングに対応していながらモダンなデザインが高く評価されています。もちろんJIS、ISOにも準拠しています。
ステンレススチール製のベゼルにはアルミのプレートが組み合わされていて、レーザー加工によってダイビングスケールが彫り込まれています。そこに塗料を入れることで、長時間の使用でも塗料の剥離を防止するといった丁寧な作り込みがなされています。
防水性能世界一? オメガのシーマスター
2本目はオメガ「シーマスター プラネット オーシャン 6000m」です。最大の特徴は、水深6,000mまでの防水性能を備えていることでしょう。生身の人間ではそこまで深く潜れませんが、ただこのモデル、潜水艇で5つの大洋の最深部を有人で探査するプロジェクト「ファイブ・ディープス探査」(2019年実施)で使われたダイバーズウォッチの市販バージョンなのです。偉業を称えて欲しくなる人もいるのでは?
シーマスター プラネット オーシャンは前述のISOにも準拠しています。ケースサイズは45.5mm、重量は254gと腕時計としてはかなりのビッグサイズですが、6,000mもの防水性能を備えている装備品としては、かなり軽量ともいえます。価格は195.8万円と少々値は張りますが、まだまだ解明されていないことが多い深海へのロマンを買うと思えば安いのかもしれません。
ダイバーズウォッチは腕時計業界で非常に大きなシェアを獲得しており、一大市場を形成しています。そのため、安価でも本格的なダイビングに対応しているモデルから、数百万円クラスの超高級ダイバーズウォッチも存在します。夏に向けて、予算や好みに合わせたダイバーズウォッチを検討してみてはいかがでしょうか。