高級時計は上を見ればキリがありません。「少なくても100万円は出さないと!」という声が聞こえてきそうな昨今の腕時計界隈ですが、その半分、50万円台でも十分に楽しめるモデルがあります。2024年6月にリニューアルされたタグ・ホイヤーのダイバーズウォッチ「アクアレーサー」なら、お値段が倍以上の高級時計にも負けない満足感が得られるはずです。
高精度と低価格を両立する名門
タグ・ホイヤーは1860年にスイスで創業したスポーツウォッチの名門です。創業から165年を迎える老舗でありながら、同時期に誕生した時計メーカーの中では比較的、リーズナブルなモデルを数多く生み出しています。就職記念や結納返しなどで選ばれることでも有名で、シンプルな3針モデルからスポーティーなクロノグラフ、ダイバーズ、スマートウォッチなどラインナップが幅広いのも特徴です。多くの老舗時計メーカーが機械式時計の開発に注力している中では、非常に珍しい存在といえるでしょう。
タグ・ホイヤーは人気のダイバーズウォッチ「アクアレーサー プロフェッショナル300」を2024年6月にリニューアルしました。従来のケース径43mmを42mmへと小径化し、装着感の向上を図りました。たかが1mmと思うかもしれませんが、円形である腕時計の場合、1mm異なるだけでも見た目の印象や装着感に大きな影響を与えます。さらに、分目盛りを見やすいようにアップデートし、時針をシールド型に変えて視認性を確保しています。それでいて300mという高い防水性を持たせることで、過酷な環境でも耐えられるように設計しています。
デイト表示機能が付いたシンプルな「アクアレーサー プロフェッショナル300 デイト」には、COSC認定(スイスの公式クロノメーター検定機関が精度を保証する認定制度)のマニュファクチュールキャリバー「TH31-00」を搭載。パワーリザーブは約80時間という長時間駆動です。高精度と実用性を両立させた1本と言えます。
価格はステンレスブレスレットで58万3,000円、ラバーで55万円となっています(2025年3月時点)。正規店の販売員によると「業界全体で年に何度も価格改定が行われています。アクアレーサーも、50万円台で買えるのは今のうちかもしれません」とのこと。ただ、仮に60万円台になったとしても、「新型アクアレーサーは非常にコスパに優れている。一度実機を見てみたい」といって来店する客が多い状況は変わらないだろうとも話してくれました。
通年で活躍するダイバーズウォッチ
アクアレーサーを選びたい理由は、50万円台とは思えないそのクオリティーの高さにあります。100万円以上するダイバーズウォッチに引けを取らない質感を備えています。
例えばダイヤルのデザイン。水面の揺らぎを表現した立体感のある文字盤にセラミック製のベゼルが、過酷な水中でも耐えられる時計の強靭さを物語っています。人間工学も追求していて、フォールディングバックル(容易にはずれない)やダブルセーフティプッシュボタン(誤って押してしまうことを防止)など、本格ダイビングにも通用する高度な調整システムを備えたブレスレットを採用しています。
筆者もいくつかのダイバーズウォッチを所有していますが、機能面でも質感においても、100万円を超えるモデルと同等か、さらにその上をいっていると感じました。
回転ベゼルを回したときのクリック音も改良されています。腕時計を装着したときの感覚体験をより豊かにする工夫ですね。このアクアレーサー プロフェッショナル300 デイトは、装着したあとの楽しみや満足感も追求したモデルになっているのです。
本格ダイバーズウォッチではありますが、海やプールに入らなくても、汗をかきやすい夏の屋外、家族や友人との海水浴、ちょっとした水場での作業といった場面で安心して装着することができます。もちろん、手洗いも問題なしです。ダイバーズウォッチは夏のイメージが強いですが、シックなカラーなのでオフィスカジュアルなどに合わせてもよいでしょう。季節を問わず通年で活躍してくれる1本ではないでしょうか。