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日本の自動車メーカーで最も米国への依存度が高いスバル、トランプ関税の影響は?

MAY. 16, 2025 09:50
Text : 佃義夫
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日本の自動車メーカーで最も米国市場への依存度が高いのはスバルだ。彼の地でスバルブランドが愛されている証でもあるのだが、今回のトランプ政権による関税政策が同社の業績に及ぼす影響は? 2024年度決算から考える。

  • スバルの新型「フォレスター」

    スバルにとって米国市場の動向とトランプ関税の行方は死活問題だ

日本から米国への輸出台数は30万台強

トランプ関税の影響が注目される自動車メーカー各社にあって、2024年度(2025年3月期)連結決算発表の乗用車上場メーカーのしんがりとなったのがスバルだ。同社は日本車勢の中で米国販売比率が最も高く、収益面でも米国への依存度が大きいメーカーである。

5月14日の決算会見で大崎篤社長は、「主戦場である米国はトランプ政権の関税政策で不透明な状況が続くため、現時点で2025年度業績見通しを未定とした」と発表。これで、日本の乗用車メーカーの中で今期業績予想を非開示としたのはマツダ、日産自動車に次ぐ3社目となった。いずれも販売台数や仕向地別営業利益で米国比率が高い企業だ。

スバルの仕向地別営業利益は米国を中心とする北米で80%と最も高い。世界販売の7割を占めるのが米国市場だ。大崎社長は「スバルの米国販売は昨年2024年が66万台規模。そのうち35万台は米インディアナ(SIA)工場、残り30万台強を日本から輸出している」と説明する。それだけに、スバルにとってトランプ関税の影響は深刻だ。

スバルは群馬県太田市を日本の生産拠点としている。ここへきて、電気自動車(EV)の生産を国内工場で開始すべくラインの改造を進め始めたばかりでもあり、米国市場の動向は部品サプライヤーも含めた群馬県の地域経済を大きく揺るがすことになる。

営業利益1,000億円以上は死守、上積みに全力

スバルが発表した2024年度(2025年3月期)業績は売上高4兆6,857億円(前期比0.4%減)、営業利益4,053億円(同13.4%減)、当期純利益3,381億円(同12.2%減)。売上高は横ばい、損益面では減益となった。大崎社長は「主戦場である米国は32カ月連続で販売が前年同期を上回る好調を持続している」とし、“ドル箱”の米国におけるスバルブランドの堅調ぶりを強調。その一方で「米国市場の販売競争が激化し、インセンティブ(販売奨励金)が増加して減益要因となった」と事業環境の厳しさにも言及した。

今期(2025年度)の業績見通しについては、「トランプ関税の影響は不透明で、何もしなければ営業利益段階で最大3,600億円程度の下押しと試算したが、諸施策を打って軽減していく」とする。今期業績予想の未定はマツダ、日産に続くもので、3社とも米国依存度が高く、トランプ関税の影響対応が最大の経営課題となる。

スバルはトランプ関税の影響を軽減すべく、米SIA工場へのアロケーション強化に向け400億円を投じ、2025年秋から基幹車種「フォレスター」(ハイブリッド車)の米国での増産を決めるなど、「全社一丸となって乗り越えていく」(大崎社長)方針だ。

  • スバルの新型「フォレスター」

    基幹車種「フォレスター」(写真)のハイブリッド車は日米で好評を得ているとのこと。市場動向は気になるところだが、米国ではスバルが「自信作」と胸を張る複数の新型車の発売が控えている。ストロングハイブリッド搭載の「クロストレック」を2025年秋、「アウトバック」を年末年始にも投入する予定とのことだ

群馬の生産体制については「矢島工場での自社開発EVの混流生産に向けた工事で半年間は生産ラインが止まるが、群馬とSIAでの施策により年間90万台の生産レベルを維持し、販売台数90万台もストロングハイブリッド車の強化などで確保していく」(大崎社長)とし、今期も生産・販売90万台のキープを前提とする姿勢を示した。そのうえで「何としても営業利益4ケタ億円台(1,000億円以上)をボトムとし、一丸となって上積みを図りたい」(大崎社長)とする。

スバルは、群馬県太田市を中心とする生産拠点が部品サプライヤー群とともに「スバル城下町」として地域経済に根ざしている。国内の生産・雇用を守りながらトランプ関税にどう立ち向かっていくか、ということになる。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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