ノスタルジック2デイズにはたくさんのトヨタ車が展示されていたが、個人的に最も目立っていると思ったのがネッツトヨタ富山の1978年(昭和53年)製初代「チェイサー」(MX41型)だった。
どんな個体をどんなイメージでカスタム?
初代チェイサーは1977年に中型高級車「マークⅡ」の姉妹モデルとして登場した。当時、同クラスの大人気車だった日産自動車「スカイライン」のライバルとすべくトヨタが開発したクルマだ。ボディは4ドアセダンと2ドアハードトップの2種類があった。
展示車は2ドアハードトップでボディサイズは全長4,530mm、全幅1,680mm、全高1,415mm、ホイールベースは2,645mm。同時期の「スカイライン・ジャパン」よりわずかに大きい体躯で、長いノーズに収まるのは当然、直列6気筒エンジンの2.0L「M-EU型」だ。最高出力125PS/6,000rpm、最大トルク17kgはスカイラインとほぼ同じである。
展示車は「SGツーリング」グレードで、濃いブルーのボディに白いラインが入り、車高が低い“ちょいワル”スタイル。どんなイメージで仕上げたクルマなのか、レストアを担当したGRガレージ富山の梅沢浩志コンサルタントに聞いてみた。
「このクルマは富山店の会社創立50周年を記念してレストアしたものです。サイドのゼッケン50はその数字です。元々はお客様のオーナーカーで大事に乗ってもらっていたのですが、部品調達の面などもあり、最後はお願いして買い取りさせていただき、それをベースにしました」
買い取った時点で「レストアする必要があるかないか」というほど程度がよかったというが、まずはオリジナルな状態で復元し、「さらにカスタマイズもできますよ」というメッセージも込めて、当時の“街道レーサー”風に仕上げたのだそうだ。
大きな前後スポイラーをはじめ、オーバーフェンダーやワイドタイヤは全て法規内。オリジナルの白いボディーをダークブルーに塗り替え、センターにはレーシングカーっぽい白の2本ストライプを入れている。
「元々アメ車風のデザインだったので、フォードのマスタングに近いものをイメージして制作しました。色も『普通じゃない色にしたい』ということで代表が散々悩んだらしいのですが、たまたま外食したレストランで見た胡椒の缶(分かりますよね?)の色が気に入って、ダークブルーに決まりました」(梅沢さん)
走り出すとV8エンジンの「ゴロゴロ」というサウンドが聞こえてきそうな出立ちだけれど、搭載する直6エンジンに関してはオーバーホールのみでチューニングは施してないとのこと。足回りはワンオフで制作し、車幅が変わっているので3ナンバーで公認をとっているという。インテリアもモモのステアリングとシートカバー以外はオリジナルだ。
現在、このチェイサーはレンタカー登録の社有車になっていて、希望する人には貸し出しも行っている。そのド派手さから「これ、本当にディーラーのクルマなんですか?」とびっくりする人が多いというが、4ATなので扱いやすく、地元の名所にドライブしてインスタ映えする写真をたくさん撮って、という使い方で喜ばれているそうだ