マセラティの新グローバルコンセプトを採用した国内最大級のショールーム「マセラティ横浜港北」が2月14日にグランドオープンを迎えた。新CI(コーポレトアイデンティティ)を採用した店舗は国内3カ所目となる。見逃せないのが、期間限定で展示される3台の特別なクルマ。中には世界に1台のレア車も? いったい、どんなクルマが並んでいるのか。メディアプレビューで取材してきた。
マセラティにとって日本市場の重要性は?
「マセラティ横浜港北」はショールームとワークショップが一体となった大型ストアだ。敷地面積は424.8平方メートル。マセラティのオフィシャルディーラーとして日本最大級になる。
これまでマセラティは、正規ディーラーとして神奈川県内で「横浜店」と「みなとみらい店」の2店舗を展開していたが、今回のグランドオープンを機に「マセラティ横浜港北」に店舗を集約。今後は好立地をいかし、都心部も含めたエリア一帯をカバーする旗艦店として運営していくという。
日本におけるマセラティの販売台数は2024年で約1,100台。シェア的にみれば日本はイタリアに次いで世界2位、ボリューム的にはアメリカ、中国、イタリアに次ぐ世界4位になる。
マセラティ ジャパン代表取締役の木村隆之さんに聞くと、「私どもはラグジュアリーブランドなので、そこまで台数やシェアなどを見ているわけではありません。今回の新ストアは、最新の設備・サービスを通じ、お客様にイタリアンラグジュラリーの真髄を体験していただけること、都心型のブティック店舗とは異なる特別な価値をもたらすことを確信しております」とのことだった。
新ストアの中身は?
新CIを採用するマセラティの店舗は国内3カ所目。ショールームの内装は、イタリアの古い田舎町を想起させるアース調のカラーパレットで統一した。カッシーナのカスタマイズプログラム「カスタム・インテリア」で制作したコンテンポラリーなルース・ファニチャーやディスプレイなどが目を引く作りとなっている。
マセラティが力を入れているカスタマイゼーション・プログラム「フォーリセリエ」にも対応する。洗練された「サルトリア」(仕立屋)と「オッフィチーナ」(工房)を融合させることで作り出した特別な空間により、顧客の創造力を形にし、究極のグランツーリズモやスポーツカーをオーダーメイドできる環境を整えた、とのことだ。
最先端の「MXE 3Dデジタルコンフィギュレーター」を備える個室のコンサルテーションルームでは、カスタム後のイメージを反映したデジタルデータを大型スクリーンに表示させることができる。同時に、ストア内で実物のサンプルも確認できるので、カスタマイズイメージをより鮮明にしながら商談が行えるようになっている。
ワークショップには顧客の多様なニーズに対応するための最新設備を配置。例えば3基を導入した最新のリフトは最大3.7tの重さに対応可能で、重量のある電動車両であっても作業が行える。また、カーポートに設置した太陽光パネルによって日中の店舗消費電力の一部を賄うなど、環境面に配慮した作りとなっている。
限定車3台が集結! 間近で確認する大チャンス
そんな「マセラティ横浜」では現在、「MC20 Leggenda」「MC20 Cielo Limited Rosso Vincente」「Pureness of Asia」の限定車3台を展示している。
世界限定20台の特別モデルで日本には1台だけという「MC20 Leggenda」。かつてのレーシングカー「MC12GT1ヴィタフォン」からインスピレーションを得た特別仕様で、ボディカラーにはヴィタフォンレーシングチームのMC12GT1を踏襲したネロエッセンツァとデジタルミントマットを採用している。販売価格は4,150万円
レースへのオマージュから誕生した日本専用限定車「MC20 Cielo Limited Rosso Vincente」。1950年代に活躍した「350S」からインスピレーションを受け、当時と同じオープントップを継承した「MC20 Cielo」で再現。イタリアの勝利の赤を基調に、「350S」と同様の青と白の3色ストライプを採用している。ボンネットからエンジンフードに続くソリッドホワイトとブルーパステルのトリプルストライプが印象的だ。販売価格は4,886万円
なかでも注目なのが「グレカーレトロフェオ」の特別仕様車「Pureness of Asia」だ。今回が日本初公開となる。
KEN OKUYAMA DESIGN代表の奥山清行さんとの約20年ぶりのコラボによって誕生したこのクルマ。マセラティオーナーでもある奥山さんによれば、「私だったらこういうマセラティが欲しいという顧客目線で開発したクルマ」だという。
外装の特徴は、アジア圏に根付く陶器や磁器の質感を塗装で表現しているところ。奥山さんは「陶器のような質感を表す色とマセラティのすばらしい塗装工程の技術や職人技を味わっていただきたい」と話す。
奥山さんが「最も見てほしい」ポイントに挙げたのは内装だ。
シート皮には「MC12」にも使われるアルカンターラ(スエード調の人工皮革)を採用。V字グラフィックをモチーフとするデザインを落とし込んだ。インテリアの随所には、マセラティのコーポレートカラーであるブルーをあしらった。
「Pureness of Asia」はショーカーではなく、あくまで「フォーリセリエ」でここまでオーダーできることを示すひとつのサンプルであると奥山さんは強調する。そのため、車両価格2,550万円(車両本体価格1,520万円、オプション装備1,030万円)を支払えば全く同じクルマを作ることもできるし、「Pureness of Asia」が採用する塗装や内装などの一部を自分のクルマに取り入れることもできるというわけだ。
これら3台の限定車は2月28日(金)まで展示する予定であるとのこと。以降は全てを同時に入れ替えるのか、それとも1台ずつ徐々に入れ替えていくのか、そのあたりは未定だというが、展示車両は将来的にマセラティの現行のフルラインアップに切り替えていくという。つまり、限定車3台を確実にチェックするチャンスは今しかないということだ。