スズキが「ジムニー」の5ドア仕様「ジムニーノマド」を日本に導入する。発売は2025年4月3日の予定だ。このニュース、すでに日本で「ジムニー」あるいは「ジムニーシエラ」を注文済みで、今も納車を待っている人たちをざわつかせたかも? そういう皆さんの役に立ちそうな情報をジムニーノマド発表会で集めてきた。
注文の切り替えは可能?
ジムニーノマドの生産はインドのグルガオン工場で行う。日本には5速MT(265.1万円)と4速AT(275万円)を導入する。月間販売目標は1,200台だ。
2018年7月に日本で発売となった現行型(4代目)「ジムニー」および「ジムニーシエラ」(どちらも静岡県の湖西工場で生産)は大人気で、注文したもののまだ手元に届いていない「納車待ち」の購入者もたくさんいると聞く。こういう人たちの中には、「ノマドが発売になるならノマドを買いたい」とか「少しでも早く手に入れたいので、ジムニー/シエラの注文をキャンセルしてノマドを買いたい」と考える人もけっこういるはずだ。
その点についてスズキ 日本営業本部の玉越義猛本部長は、「ジムニー、ジムニーシエラのバックオーダーがある中で、お待ちいただいているお客様に対しては、意向を確認しつつ、ノマドへの移行のご要望があれば注文の切り替えをするなど、丁寧に寄り添って進めていきたい」との考えを示した。なので、ジムニー/シエラの納車待ち状態になっている人は、ノマドへの注文切り替えについて販売店に問い合わせてみるといいかもしれない。ノマドに注文を切り替える人が出てくれば、ジムニー/シエラのバックオーダーが減ることになるので、こちらの納期も短くなるはずだ。
ちなみに、スズキの鈴木俊宏代表取締役社長によると、ジムニー/シエラのバックオーダーがある中で日本にノマドを導入することについて社内では侃侃諤諤の議論があり、当の社長も反対の立場をとっていたそうだが、営業側から「お客様にご迷惑をおかけしないよう、注文の切り替えなどもしっかりとやっていく」という話があったことから、この時期の日本導入を決めたそうだ。
インド生産でも品質に差はない?
ノマドに注文を切り替えるかどうかを考えるにあたっては、インド生産と日本生産でクルマの品質に差があるかどうかが気になる人がいるかもしれない。その点についてチーフエンジニアの佐々木貴光さんは、品質の差は「ございません」と言い切った。
ノマドについては開発の段階からインドに技術陣、生産部隊、品質検査、営業などを派遣し、実際にクルマ作りの現場を見て、日本品質でクルマを作れるかどうかを確認済みであるとのこと。インドから海路で輸入する際にクルマにダメージや不具合が発生する可能性もあるが、スズキではインドから持ってきたノマドをいったん湖西工場に運び、最終的な品質チェックを行ったうえで顧客に納車していく方針だという。「どこで作ろうがスズキ品質」だと鈴木社長も品質を保証していた。
月間1,200台は目標? 輸入台数?
5ドアのノマドは3ドアのジムニー/シエラに比べ使い勝手がよく、購入の敷居が低そう。家族でクルマを購入する際、3ドアだと誰かから反対意見が出ても無理からぬことだが、5ドアであれば「家庭内稟議」(玉越さん)も通しやすいはずだ。そういう意味では今後、ジムニーシリーズの中でノマドに注文が集中するかもしれない。
そうすると、1,200台という月間目標台数が気になり始める。「目標」とのことだが、1,200台というのはスズキとして売りたい台数なのか、それとも、日本への割り当て台数が1カ月あたり1,200台で、それ以上は売れないという数字なのか。
その点について佐々木さんに確認すると、1,200台というのは売りたい数字であり、日本では月に1,200台しか売れないという数字ではなく、もっと多くの注文が入れば1,200台以上の販売も可能であるとの話が聞けた。
佐々木さんによれば、これまでジムニーには3ドアしかなかったため、例えば家族の中の1人(特に運転を担当する人?)が「ジムニーに乗りたいな……」と思ったとしても、ほかの家族(主に後席に乗る人?)から使い勝手や乗降性に対する不安が出てしまい、結果としてコンパクトなミニバンに顧客が流れてしまう、という話もあったという。ノマドを投入することで、そうした機会損失が減らせるかもと佐々木さんは期待を示していた。