外壁塗装の費用相場はどれくらい?
本項では外壁塗装の内訳項目とその内容、さらに外壁塗装の相場について解説します。
外壁塗装にかかる費用の内訳
外壁塗装の費用は大きく下記の4つに分けることができます。ここではその4つの内訳について詳しく解説します。
材料費
材料費は主に塗装に使用する塗料やコーキング材などに加えてローラーやハケ、養生のための飛散防止ネットや養生テープが含まれます。費用は使用する塗料のグレードによって多少の変動はありますが、塗装費用に全体のおおよそ20%前後を占めます。
施工費
施工費は工事をおこなう職人への人件費として必ず発生する費用です。総額費用のうちの30%程度が施工費に当たる部分とされます。費用は人工で計算されており、1人の職人が1日で作業を行える作業量を1人工として考えます。施工費は地域や会社によって大きく変わることは少なく、1人工=2万円ほどとされています。
足場代
足場代は安全に工事を行うためには必要不可欠なもので、外壁塗装のように高所作業を伴う工事では設置が義務付けられています。塗装費用の20%ほどが足場代にあたる部分で、仮設や撤去だけでなく施工期間のリース費用も含まれます。
足場代のサービスなどと値引の口実として使われることが多い足場ですが、自社で施工をしている会社でも保管場所のことを考えると外注したほうが安くなるケースが多いため本来は値引できるようなものではないことがわかります。
諸経費
塗装費用の最後は諸経費としてくくりましたが材料の運搬費や周囲の駐車場代、廃材処分費、アフターフォローなどの保証、塗装業者の利益などを含みます。工事費用のうち30%程度がこの部分とされますが、極端に高い見積もりではここの割合が多いためであると考えられます。
諸経費が増える要因としては主に中間マージン。前述したように利益部分はここに含まれるので、下請けに施工を依頼する業者に依頼した場合はその分利益の割合が増えるので費用が高くなります。
坪数から見る外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用の中の材料費や施工費の部分は家の大きさによって使用する塗料の量や工期が変わるので変動します。ここでは坪数別に費用相場を解説します。
塗料のグレード以外に塗装を行う前には外壁の状態によって下地処理を行うため、劣化具合によっても変動はありますが、外壁塗装を行う場合の費用目安を下記にまとめました。凹凸が多いなどが理由で延床面積と比べて塗装面積が大きくなる場合もあるのであくまで参考としてください。
坪数 |
塗装面積 |
費用相場 |
10坪 |
40㎡ |
約20万円~40万円 |
20坪 |
79㎡ |
約40万円~70万円 |
30坪 |
119㎡ |
約60万円~100万円 |
40坪 |
158㎡ |
約80万円~130万円 |
50坪 |
198㎡ |
約100万円~160万円 |
60坪 |
238㎡ |
約120万円~200万円 |
70坪 |
277㎡ |
約140万円~230万円 |
100坪 |
396㎡ |
約200万円~320万円 |
塗料別の費用相場
ここでは塗料ごとの性能の差を紹介します。塗料は含まれる材料によって金額が変わるのは当然ですが、劣化への強さも変わるため耐用年数が変化します。耐用年数は日本の平均的な気候で算出されているので日当たりの良い場所や潮風の影響を受けやすい場所など環境によっては劣化は早く進みます。
DIYや外壁塗装で使用されやすい塗料ごとに平米単価と耐用年数をまとめました。塗料の性能が高くなるにつれて費用は上がっていきますがここで注目しておきたいのは耐用年数です。家は長く住むものなので10年後、20年後先を見据えて塗料を選びましょう。20年に1回50万円の塗装をするのか、それとも5年ごとに4回20万円の塗装をするのかでは総額費用に大きな差が生じます。
塗料の種類 |
1㎡あたりの費用相場 |
耐久年数 |
アクリル塗料 |
1,000円~1,800円 |
3年~8年 |
ウレタン塗料 |
1,400円~2,500円 |
5年~10年 |
シリコン塗料 |
1,800円~3,500円 |
7年~15年 |
ラジカル塗料 |
2,200円~2,800円 |
10年~13年 |
フッ素塗料 |
3,000円~5,000円 |
15年~20年 |
セラミック塗料 |
3,500円~5,000円 |
10年~25年 |
無機塗料 |
3,500円~5,500円 |
15年~20年 |
外壁塗装の流れはどんな感じ?
本項では外壁塗装を行う際の流れについて順序立てて解説していきます。
外壁塗装の流れ
- 見積もりを依頼する
- 比較・検討して業者を決める
- 工事請負契約を締結する
- 近隣へ挨拶を行う
- 足場の仮設・養生
- 下地処理・塗装工事
- アフターフォロー
見積もりを依頼する
はじめに行うのは見積もりの依頼です。評判やホームページ、チラシなどを見て良さそうだなと感じた塗装業者に連絡をして見積もりを取得しましょう。
見積もりは1社から取るのではなく3社ほどを目安に相見積もりを行いましょう。相見積もりをすることで複数の業者から意見を聞くことができるのはもちろんですが金額や対応を比較して依頼先を決めることができます。無料で見積もりを作成してくれる業者が多く、見積もりを依頼したのに断りにくいと感じる方も少なくありませんが、相見積もりをせずに業者を決めるのは危険なので必ず相見積もりをするようにしましょう。
優良な業者であれば相見積もりであることを伝えても嫌な顔をせずに丁寧に見積もりを作成し、アドバイスをくれることが多いです。このように相見積もりは金額比較以上に大きな役割があります。
比較・検討して業者を決める
相見積もりを取得したらその中から依頼する業者を選びます。選ぶ基準は人それぞれ異なるので自分が何を重要視するのかで選択しましょう。
仮に金額を重視するのであれば安い業者を、アフターフォローを重視するのであれば手厚いサポート体制があるところを選ぶなど自分の中で明確にしておくことが重要です。ここで注意をしたいのは同条件で比較するという点です。極論ですが全工程100万円の業者と足場抜きで80万円の業者では一見すると後者のほうが安く感じますが、総額費用で比較すると後者のほうが高かったということもあります。費用が同じでも塗料のグレードが違うなど正しく比較できるように同条件で見積もりをお願いしましょう。
工事請負契約を締結する
依頼する業者が決まったら契約を結びます。契約書は隅々まで目を通して自分の要望通りの工事が行われるかなどを確認してからサインをしましょう。
契約書に関するトラブルでは付帯物の塗装が含まれていないために追加料金が発生してしまったようなケースや、アフターフォローに関する内容が記載されてなかったためにサポートを受けられなかったなどのケースがあり得ます。後々のことまで考えて必要な情報が記載されているか確認をし、すり合わせをしておくことが重要です。
多くのケースでは施工前に着手金のような形で3割~5割ほどの金額を前払いで支払うことがあります。期日を遅れると施工日程に響くこともあるので遅れずに支払いをしましょう。
近隣へ挨拶を行う
工事が始まると日中は音が鳴ることもありますし、塗料の臭いが周囲の住宅にも影響を与えます。特に足場を建設していることで隣家の室内が見えてしまうなどプライバシーの観点でも配慮が必要です。可能であれば周囲の家に挨拶をしておくとよいでしょう。
住民トラブルとして騒音被害や職人のポイ捨てなどが原因で住みづらい環境になってしまったという話も少なくはありません。あらかじめ一言声をかけておくことで良好な関係を築けるよう工夫してみてください。
足場の仮設・養生
塗装工事を行う前に足場の仮設を行います。足場は職人が安全に作業をするためには必要不可欠なものです。特殊な立地によって仮設ができない状態を除いて基本的に作業は行われます。
足場と同時に行われるのが養生です。外壁塗装の現場では家を囲うように組まれた足場と、それを覆うようにネットのようなものがかかっているのを見たことはないでしょうか。塗料が風に乗って飛んでしまうと周囲の家や車、洗濯物に付着してしまうのでこれを防ぐために養生ネットも同時に必要です。
下地処理・塗装工事
足場の仮設が終わったら下地処理をしていきます。外壁塗装では塗料の性能を最大限に引き出すために下地処理を行います。施工後は見えなくなってしまう部分ではありますがここを怠ると塗料が浮いてしまったり、ひび割れが起こったりなど施工不良に繋がります。家の劣化状態を見ながら適切な下地処理を行うことで塗料本来の性能で塗装をします。
下地処理のあとは塗装です。塗料によって塗り方や塗る回数が異なりますが一度塗装をし、乾燥してから再度塗ります。こうすることで色をはっきりとさせるだけでなく塗料に厚みを持たせて保護効果を得ます。
アフターフォロー
工事が完了したら足場を撤去して工事は完了です。施工後に気になることがあれば塗装をした会社の担当に相談をするようにしましょう。
また、施工後の定期点検は可能な限りお願いするようにしましょう。普段から家を見ていると色褪せていたとしてもあまり気付きづらく、屋根など見ることが少ない場所に至ってはわざわざ見るのは危険です。定期的な点検をアフターサポートとして用意している会社に依頼したのであれば日程を合わせて点検をお願いし、なにか不具合があったときに早期対応ができる体制を整えておきましょう。
外壁塗装で失敗しないための業者の選び方
外壁塗装は決して安い買い物ではないので失敗は絶対に避けたいものです。ここでは外壁塗装で後悔しないためにできる業者を選ぶときのポイントを解説します。
業者を選ぶときに見ておくべきポイント
- 相見積もりを取って適正費用を知っておく
- アフターフォローが充実した業者がおすすめ
- 施工実績が豊富で経験がある職人がいる
- 職人が持つ資格や許認可はあるか
- 担当者の対応は親切かどうか
相見積もりを取って適正費用を知っておく
すでに塗料が決まっている場合では同条件で見積もりを作成してもらうことで業者ごとの費用の違いがわかります。また、詳細が決まっていない場合にはその会社の考える最適な塗装プランで見積もりをしてもらうことで工事内容の比較ができます。
アフターフォローが充実した業者がおすすめ
実際に外壁塗装を依頼する際には金額も重要ですがアフターフォローにも重きを置いて業者を選ぶのがおすすめです。外壁塗装は頻繁に行うものではなく、塗装から10年近くは再塗装をしない前提で依頼します。施工直後に不具合が出るようなケースも多くはなく、たいていは数年が経ち、劣化が早いことで不具合に気づきます。そのためその時期までアフターフォローとしてサポート体制のある会社であれば安心できます。
地域に根付いた業者であれば環境も把握していることから施工不備となるケースも避けやすく、次回の塗装までメンテナンスを任せて再度依頼をすると行ったおうちのかかりつけ医のような関係を目指すこともできるでしょう。
施工実績が豊富で経験がある職人がいる
職人の勘などという言葉があるように、長年塗装業界で活躍している職人であれば現場を収める能力も高いのが事実です。経験が豊富であれば施工前の点検時にも確かな目で最適なプランを提案してくれますし、劣化に対して正しい対処をしてくれることに期待ができます。
塗装会社のホームページで「創業n年の実績!」などと書かれているのはそれだけ長く安定して依頼を受けている証拠でもあるので業者選びの参考としてみてもよいでしょう。
職人が持つ資格や許認可はあるか
職人の腕や会社のことを知るのは経験だけでなく資格で見るという方法もあります。たとえば塗装工事では必須ではありませんが建設業許可を受けている会社であれば大きな工事を請け負っている可能性もあり信頼感としては高めです。特に注目したい資格や許認可は下記のようなもの。一つの指標として参考にしてください。
資格や許認可の例
- 足場の組み立て等主任者:足場が自社施工なら必須
- 一級塗装技能士:高い塗装技能を認められている証拠
- 外壁劣化診断士:必要な工事やメンテナンス計画を理解している
- カラーコーディネーター:色選びの相談で心強い…かも?
担当者の対応は親切かどうか
最後にお伝えしたいのは担当者の対応です。業者によってサービスや費用に差はあれど優良業者であれば大きな差はありません。そこで大事になってくるのは担当者の対応です。
たとえば同じ工事費用であれば親身になって相談に乗ってくれる担当の方が安心して工事の依頼もできるでしょう。外壁塗装は費用が高い分不安も大きいため小さな疑問でもきちんと答えてくれる担当の方が今後のアフターフォローなども考えると安心できるのではないでしょうか。最後は人と人の付き合いなので自分がここなら大丈夫と思った業者に依頼するようにしましょう。
坪数 |
塗装面積 |
費用相場 |
10坪 |
40㎡ |
約20万円~40万円 |
20坪 |
79㎡ |
約40万円~70万円 |
30坪 |
119㎡ |
約60万円~100万円 |
40坪 |
158㎡ |
約80万円~130万円 |
50坪 |
198㎡ |
約100万円~160万円 |
60坪 |
238㎡ |
約120万円~200万円 |
70坪 |
277㎡ |
約140万円~230万円 |
100坪 |
396㎡ |
約200万円~320万円 |
塗料の種類 |
1㎡あたりの費用相場 |
耐久年数 |
アクリル塗料 |
1,000円~1,800円 |
3年~8年 |
ウレタン塗料 |
1,400円~2,500円 |
5年~10年 |
シリコン塗料 |
1,800円~3,500円 |
7年~15年 |
ラジカル塗料 |
2,200円~2,800円 |
10年~13年 |
フッ素塗料 |
3,000円~5,000円 |
15年~20年 |
セラミック塗料 |
3,500円~5,000円 |
10年~25年 |
無機塗料 |
3,500円~5,500円 |
15年~20年 |
悪質な外壁塗装業者の手口や特徴を知って予防しよう
外壁塗装にまつわる悪徳業者の被害は消費者庁からも注意喚起が出るほどで明日は我が身であることを忘れてはいけません。ここではそんな悪徳業者の手口や特徴を知って対策する方法を解説します。
悪質な業者の手口と対策
悪質な塗装業者の手口を知っておけば万が一出くわしたときに対処することも難しくありません。まずは手口について詳しく解説します。
悪徳業者の手口
- 安すぎる工事費用
- 不安を煽って契約を急かす
- アポイントのない急な訪問
- 工事費用の全額前払い
安すぎる工事費用
まず先に説明するのは工事費用が相場と大きく異なる点です。金額が高いようなケースではわざわざその業者に依頼することは少ないため安すぎる業者について解説をします。
他の業者よりも明らかに金額が低い業者は必要な工事を削って安く見せているだけの場合があります。たとえば三度塗りが必要な塗料でも二度塗りしか行わないことで材料や人件費を削減しているなどのケースがあり、この場合は正しく施工をされていないことでしばらくしてから施工不備として再度工事が必要になります。住宅の劣化を早めることにもなるので非常に危険です。
また、契約後に足場の工事は含まれていないので別料金が必要などと追加で費用を請求されてしまう可能性があるので必要な工事が含まれているのかの確認も怠らないようにしましょう。
この地域では件数が少ないからモニター価格で、今契約すれば足場代を無料にしますなどの大幅値引きも注意が必要です。本来どの工事にも原価があり、塗装業者もボランティアではないので利益を確保できる金額で施工をします。安く済ませようと無理な値引きで施工を依頼するのはそれ以上のリスクがあることを忘れてはいけません。
不安を煽って契約を急かす
「劣化が進んでいるので今すぐ工事をしないと手遅れになる」などと契約を急かすような行動や言動にも注意をしておきましょう。もちろん雨漏りのように緊急性の高い被害が出ていることもありえますが、相見積もりをさせない、考える時間を与えずに契約を迫るのは悪徳業者の有名な手口です。
医療でもセカンドオピニオンが推奨されているように、住宅でもセカンドオピニオンは大事です。本当にすぐ工事が必要なのか、どのような対処が最適なのか別の業者に見てもらってから判断をしてもよいでしょう。ここで大事なのはすぐに契約をするのではなく一度落ち着いて判断をするということです。正しい処置が行えるよう専門家の意見を多く取り入れて判断しましょう。
アポイントのない急な訪問
アポイントのない急な訪問は住宅トラブルの中でもかなり多い事例です。屋根の瓦が割れているなどと親切を装って契約を結ばせようとしてくるので情報提供にお礼だけを伝えて帰ってもらい、後日相談をするのがよいでしょう。
このケースで気をつけたいのが実際に屋根に登らせてしまうこと。別の家の写真を今撮ったかのように見せるケースもありますが、最悪のケースでは自ら屋根の瓦を破壊するような悪徳業者もいます。現在はドローンを利用して調査をすることもできるので安易に家に触らせないのも有効な対策です。
工事費用の全額前払い
通常、工事費用は着手金と完工金の2回払いで支払うことが多いです。大きな工事では中間金を含めた3回払いもありますが、工事前の全額支払いはほぼありえません。お金だけ受け取って施工をしない業者の被害も実際に報告されているので支払方法の変更はできるのか確認をし、少しでも不安であれば契約をしないのがベストでしょう。
悪徳業者に引っかからないための予防方法
ここからは悪徳業者の被害に遭わないために今からできることを紹介します。今日から実践してみてください。
今日からできる!悪徳業者の対策方法
- 必ず相見積もりを取りましょう
- 不審な業者を近づけない
- 他の業者にも相談してみましょう
- 納得できない状態で契約しないようにしましょう
必ず相見積もりを取りましょう
外壁塗装では必ず相見積もりを取るようにしましょう。金額の違いで悪徳業者を除外できるのはもちろんですが、多くの施工提案を受けられたり、いろいろな会社の対応を知るきっかけにもなります。とはいえ時間もかかるため3社程度、多くても5社くらいに留めて依頼するとよいでしょう。
不審な業者を近づけない
前述通り悪徳業者の中には自らの手で劣化状態を作り上げるような業者もいるので不用意に近づけないのも大事なポイントです。特に屋根は日頃から見ているわけではないので証明が難しいです。被害を受ける前に対処しておきましょう。
他の業者にも相談してみましょう
本当にすぐに対処したほうが良いのか、この対処方法が正しいのかなどプロではない方は判断するのは難しいです。焦って判断をするのではなく別のプロから意見を取り入れて判断するのが家のためにも重要です。
納得できない状態で契約しないようにしましょう
やはり納得していない状態で契約するのはおすすめできません。優良業者であれば不安な点がある状態で契約を迫ることもないですし、不安があれば解消のための努力をしてくれます。少しでも気になることは相談をし、払拭してから契約をすすめましょう。