誰も住まずに放置されてしまった家や、管理がずさんなまま相続された家の処理にお困りではありませんか?周囲から見てもわかるほどゴミや不要なものが溜め込まれているような家のことを、一般的にゴミ屋敷と言います。
ゴミ屋敷のように、自分の力だけではとても片づけが難しいような家は、手放すこともできずに更に放置されてしまうというケースも少なくありません。ゴミ屋敷は売却できないのでしょうか?
結論から言えば、ゴミ屋敷でも売却して手放すことが可能です。しかし、通常の物件の売却とは異なる手順や注意点が多数あるため、正しい知識を身に付けてより慎重に売却をおこなう必要があります。
本記事では、ゴミ屋敷の売却について、その方法や費用・おさえたいポイントなど詳しく解説しています。自分では片づけが難しいような物件を売却する際の参考にしてみてください。
ゴミ屋敷の売却方法
実際にゴミ屋敷を売却する方法を見ていきましょう。ゴミ屋敷を売却するなら、まずはゴミが残っている状態で売却するか、ゴミを処分してから売却するかどちらかを選択しましょう。
ゴミが残っている状態で売却
ゴミを処分するにも大きな時間と費用を要するため、ゴミを残ったままで売却したいと考える方も多いのではないでしょうか。実際、一度ゴミ屋敷の状態になったことのある物件は、通常の不動産会社の仲介で売却をおこなうことは難しいです。
しかし、中にはゴミ屋敷を現状のまま買取する不動産会社や専門業者も存在します。そういった業者はゴミ屋敷を安く買い取ってリフォームや解体をおこなってきれいな状態にし、販売することを仕事にしています。自分で片づけが難しく、ゴミを処分する費用がないような場合には、こういった業者にゴミごと売却してしまうことも選択肢のひとつです。
回復が難しい物件を買い取っている不動産会社や専門業者は、ゴミの処分費用などを負担する代わりに、その不動産を大きく値引きして買い取ります。ゴミ屋敷の売却価格はこのように計算することができます。
ゴミ屋敷ではない通常物件であったとしても、不動産会社による買取で売却すると仲介売却の場合の6~7割程度の価格になります。
そこから再度利用できるようにするための費用や、ゴミ屋敷を掃除するという精神的負担に対する報酬を差し引いて計算するため、状態によっては通常の半額ほどの価格になってしまうこともあります。
仲介業者と買取業者の違い
売主と買主を仲介して、その手数料で収入を得ている不動産業者を仲介業者と言い、対して買主から直接不動産を買い取る業者を買取業者と言います。どちらも並行しておこなっているような業者もあります。
仲介業者 | 買取業者 | |
買主 | 主に個人 | 不動産会社 |
売却期間 | 3~6ヶ月程度 | 最短1週間~1ヶ月程度 |
売却価格 | 相場価格に近い | 相場価格の6~7割 |
仲介手数料 | あり | なし |
ゴミ屋敷だった物件は買い手が見つかりにくいため、仲介売却では大きな時間を要してしまう可能性が高いですが、買取業者では1ヶ月程度で完了することも多く、なるべく早く手放すことができるという点は大きなメリットです。
不動産売却の買取についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめします。


ゴミを処分してから売却
ゴミの処分をおこなってから売却するという方法もあります。自分でおこなっても良いですが、ゴミ屋敷の状態になってしまっていると、もう自力では処分が難しいことが多いのが現実です。
大量のゴミを出すことで近隣トラブルに発展してしまう可能性もあります。ゴミ屋敷のゴミ処分を引き受けてくれる業者に依頼する方が無難でしょう。
ゴミ処理を依頼するなら、一般廃棄物処理業の許可を受けている業者に依頼しましょう。一般産業物処理業者とは、民間事業者のゴミを収集している業者のことで、一般的にコンビニや飲食店などのゴミを回収する業務を担っています。近年のゴミ屋敷問題に取り組むため、一般家屋や事業者のゴミ回収をおこなっている業者も増えました。
解体業者と混同してしまいがちですが、解体業者は鉄くずなど産業廃棄物を処理する業者で、家庭ごみの処理はおこなっていないことがほとんどです。家屋の解体を依頼するにしても、ゴミの処理が完了してからにしましょう。
マンションならゴミ処分後リフォームして売却
マンションの一部屋がゴミ屋敷になってしまっているような場合、他の部屋もある以上、解体して建て直すことは難しいです。マンションをなるべく相場に近い形で売却したいなら、ゴミを処理した後にリフォームやハウスクリーニングをおこなって売却することで実現できるかもしれません。ゴミ屋敷だった過去があっても、リフォームしてきれいな状態なら買い手が現れる可能性があるからです。
しかし、リフォームやハウスクリーニングには大きな費用を負担しなければなりません。その費用を上乗せする形で売却できることは極めてまれです。
リフォームの規模や箇所によっては費用を抑えることもできますが、どこまでリフォームする必要があるかは、仲介を依頼する不動産会社に相談して慎重に判断することをおすすめします。
戸建てならゴミ処分後に更地にして売却
戸建物件なら、ゴミを処分した後に解体して更地にすることで早く売却できる可能性があります。建物を壊して更地にするなら解体業者に依頼しましょう。
ゴミを一般廃棄物処理業者に依頼して片づけた後、解体業者に依頼して解体します。一般的に解体業者は産業廃棄物の処理のみを担っていますが、一般廃棄物の処理も並行しておこなっているような業者も存在します。そういった会社の場合、両方の利用で割引などの制度が整っている場合もあるため、解体の可能性があるなら事前に調べておくと良いでしょう。
解体することでマイナスになるケース
更地として販売するよりも住居として売ったほうが高額になるようなエリアでは、解体することで売却額が大きく下落し、売却が難しくなってしまう場合があります。
ゴミ屋敷の価格は、更地にしたときの価格からも以下のように計算することができます。
つまり、更地の価格が解体費を下回ってしまうと収益は一切なく、むしろマイナスになってしまうのです。
例えば土地面積が30坪、建物面積が45坪の住宅で、土地単価が1坪7万円、解体に1坪5万円かかるとすると、上の計算式に当てはめると売却価格は、
となり、15万円の赤字になってしまいます。更地にしても売却できるかどうかは、自分で判断せず、不動産会社と相談しながら進めていくことが大切です。
ゴミ処理をしないでの売却とゴミ処理後の売却のメリットとデメリット
ゴミ屋敷の売却はゴミ処理をしないで売却する方法とゴミ処理後に売却する方法の2つに大きく分けることができます。どちらを選ぶのが良いのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットをまとめましたので、売却したい家や家計の状況に合わせて検討してください。
売却方法 | メリット | デメリット |
ゴミが残っている状態 | ・買取が成立すれば早く確実に処分できる ・精神的負担が少ない |
・安い価格での売却になる ・買い叩かれる可能性がある |
ゴミ処分後 | ・マンション:リフォーム後は高額売却の可能性あり ・戸建:更地にすると売却しやすい ・資産価値を回復して売却できる |
・時間と労力が必要 ・ゴミの量によっては費用が高額になる ・費用や時間をかけても売却できないことがある |
ゴミ屋敷を売却するまでの流れ
続いては、実際にゴミ屋敷を売却するときの大まかな流れを解説します。
- 不動産会社・買取業者に相談
- ゴミ処理を行う
- 解体・リフォームで通常物件に近づける
- 不動産会社と媒介契約を結び売りに出す
- 購入希望者と交渉
- 売買契約・物件の引き渡し
それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
1.不動産会社・買取業者に相談
ゴミ屋敷の売却は、何よりも不動産会社や専門業者と連携して相談しながら進めていくことが大切です。ゴミを処理してから売却するのか、リフォームはどこまでおこなうのか、更地にする必要があるのかなど、自分で決めずにまずは専門家と相談することから始めましょう。
できるだけ早く売却して手放したいなら、買取をおこなっている業者に相談して、価格を相談してこの時点で売買契約を結ぶことも可能です。もちろん、価格を提示してもらうだけにとどめて、それをもとに他の方法を検討することもできます。
不動産会社や専門業者への相談する段階で解決したい事柄は以下の通りです。
- 現状で買取してもらえるか
- ゴミを処理してから売却するか
- 戸建→更地にしてからor建物のままリフォーム
- マンション→どの程度までリフォームするべきか
また、不動産会社に相談にいく前に不動産一括査定サイトを利用して、通常物件だった場合に相場がどの程度であるかを把握しておくと、買い叩かれてしまうようなトラブルを避けることができます。
一括査定サービス利用者が選んだおすすめサービスTOP3
※クラウドワークス、クロスマーケティング調べ(2021/4/9~2021/4/13実施 回答数380人)
こちらは、サービス利用者のアンケート結果による「おすすめの不動産一括査定サービスTOP3」です。実際の利用者の声と編集部の知見が合わさったできたランキングですので、ぜひ参考にしてください。
なお、不動産一括査定サービスは、それぞれ対応するエリアや提携する不動産会社が異なるため、1つだけでなく複数のサービスを利用することをおすすめします。
次の記事ではより多くのサービスを含めたランキングや「査定結果の満足度TOP3」や「親族・友達におすすめしたいTOP3」などカテゴリ別にもランキングを紹介しています。さらに詳しく知りたい方は読んでみてください。

2.ゴミ処理を行う
不動産会社との相談でゴミ処理をしてから売却することに決まったら、なるべく早くゴミ処理をおこないましょう。
- 複数のゴミ処理業者に見積もりを依頼する
- 見積もりを比較して契約
- ゴミ処理の実行
- 処理後の状況を見てリフォームの範囲を判断(不動産会社に相談)
ゴミの量によっては見積もりの時点で負担が厳しいことがわかることがあります。そういった場合には、ゴミを処理せず買い取ってもらえる買取業者を探す方法に切り替えることも視野に入れましょう。
3.解体・リフォームで通常物件に近づける
ゴミを処理できても、落としきれない汚れや臭いがついてしまって自分ではきれいにできないことが多いです。戸建物件で更地にしても売却が見込める場合には解体業者に依頼して解体し、マンション物件ならリフォームをおこなって通常物件として売却できるよう努めましょう。
- 不動産会社とリフォーム範囲や解体するか否か相談
- 複数のリフォーム会社・解体業者に見積もりを依頼
- 見積もりを比較して契約
- リフォーム・解体を実行
解体やリフォームには費用も時間も大きくかかるため、不動産会社と相談しながら無理のない範囲で余裕を持った計画を立てましょう。
4.不動産会社と媒介契約を結び売りに出す
リフォームや解体を終えたら、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産業者によって得意分野や査定額が異なるため、1社に絞ってすぐに契約してしまうと損をする可能性もあります。比較検討して選んだ不動産業者と媒介契約を結んだら、インターネット広告やチラシなどで物件の宣伝活動がはじまります。
リフォームや解体をし終えた段階で、仲介ではなく不動産業者による買取での売却を選ぶことも可能です。しかし、手間や費用をかけたにもかかわらず更に価格を下げてしまうことになるため、慎重に判断しましょう。
- 複数の不動産会社に査定を依頼
- 査定額・売却活動、担当者の質などを比較して検討
- 選んだ不動産会社と媒介契約を締結
- 宣伝開始
5.購入希望者と交渉
宣伝活動が実を結び、購入希望者が見つかったら、不動産会社に連絡が来ます。内覧をおこなったり、詳しく物件の情報を伝えることになります。
この際、ゴミ屋敷であったことや、リフォームをした旨、直しきれなかった部分などの瑕疵(かし)はすべて伝えなくてはなりません。また、引き渡し日などの交渉に加えて値下げの交渉をされることもあります。
- 購入希望者から不動産会社に連絡
- 内覧をおこなう
- 瑕疵やアピールポイントを説明する
- 価格・引き渡し日など条件交渉をおこなう
6.売買契約・物件の引き渡し
購入希望者と売主の相互合意が得られたら売買契約を結びます。引き渡しや登記申請をおこなったら、売却活動が終了します。
- 契約書をしっかりと確認し、売買契約を締結する
- 決済・抵当権抹消、所有権移転などの登記をおこなう
- 物件を引き渡す
ゴミ屋敷のゴミ処理に必要な費用
ゴミの処理には大きな費用がかかります。業者に頼むのが一般的ですが、仮に自分でおこなったとしても粗大ごみの処分費用は負担しなければなりません。ゴミ屋敷のゴミ処理費用について詳しく解説します。
ゴミ屋敷のゴミ処理を専門業者に依頼した場合
ゴミ処理を一般廃棄物処理業者に依頼した場合、費用は業者によってももちろん、ゴミの量・部屋の広さ・作業員の数・トラックの車両費などで大きく変動します。
以下は間取り別のゴミ処分費用の目安です。
間取り | 処分費用の目安 |
1R、1K | 3~8万円 |
1DK | 5~12万円 |
1LDK | 7~20万円 |
2DK | 9~25万円 |
2LDK | 12~30万円 |
3DK | 15~40万円 |
3LDK | 17~50万円 |
4LDK以上 | 22万円~要見積もり |
このように、間取りが同じでも費用に大きく開きがあるのは、ゴミの量によって作業員の数・必要時間・トラックの数が異なるためです。
これらの費用に加えて、粗大ごみの処理などで追加の費用が発生する可能性もあります。見積もりを出してもらい、それよりも余裕を持った資金を持っておくことをおすすめします。
また、業者によって、処分と共に買取できるものがあれば買取してくれるようなところもあります。少しでも料金を安くするために、そういったサービスを利用するのも良いでしょう。
自分で行う場合の粗大ゴミの処理費用
一般家庭ごみを処分するには費用はかかりませんが、粗大ごみを処理するには処理手数料を支払う必要があります。この価格は、粗大ごみの種類と各自治体によって異なります。東京都世田谷区の粗大ごみ処理費用を例として見てみましょう。
品目名 | 収集費用 |
テーブル(最大辺80cm超160cm以下) | 800円 |
タンス・食器棚(最大辺とその次に長い辺の合計=200cm超270cm以下) | 1,200円 |
シングルベッド | 1,200円 |
ソファー(横幅70cm超150cm以下) | 1,200円 |
布団(敷き・掛けそれぞれ) | 400円 |
ホットカーペット・敷物(2畳以下) | 400円 |
世田谷区を始め多くの自治体では、持ち込みによる割引がおこなわれています。量によっては所定の場所に持ち込んで処理するのも良いでしょう。
また、清掃でエアコンやテレビなど不要な家電用品も多く出ますが、それらは家電リサイクル法によって粗大ごみとして処理することを禁止されています。買ったお店に相談するか、不明な場合は家電リサイクル受付センターを利用する、もしくはメーカー指定場所に運搬して処理しましょう。
ゴミ処分後のリフォーム費用の目安
ゴミの処分が終わって、通常物件に近づけるためのリフォームを実施する場合、費用はどの程度かかるのでしょうか?リフォーム費用は依頼する部位や広さによっても異なります。マンションの部位別リフォーム費用の相場を表にまとめました。
マンション部位 | リフォーム費用相場 |
キッチン本体交換 | 80~150万円 |
トイレ交換 | 15~40万円 |
ユニットバス交換 | 80~150万円 |
洗面台交換 | 20~40万円 |
給湯器交換 | 20~30万円 |
壁紙の張替え | 50万円 |
フローリング張替え | 100万円 |
上記のような料金形態以外にも、パック料金が設定されている業者や、売却保証をおこなっている業者などさまざまあるため、複数社に見積もりを依頼すると安心です。
長い間ゴミ屋敷の状態で放置されていると、壁や床に臭いがこびりついてしまっている場合があります。臭いが気になる場合は消臭リフォームという臭い消しに特化した消臭リフォームも検討しましょう。その相場は1㎡あたり4,500円程度です。しかし、消臭効果が持続するかどうかなど、その結果を保証するものではないため、注意が必要です。
解体に必要になる費用
続いては、戸建物件を解体する際の費用についてご説明します。先ほど述べたように、解体費用が大きく、更地の売却金額を超えてしまうようではマイナスになってしまうため、解体するか否かについては慎重に検討しましょう。
戸建て解体工事費用の目安
家の解体費用は一般的に100~300万円かかると言われています。これは主に坪数によって決定されますが、他にも構造・立地・付帯工事費用・解体業者などにも影響されます。坪数別、構造別の費用の目安を見てみましょう。
20坪 | 30坪 | 40坪 | |
木造 | 80~100万円 | 120~150万円 | 160~200万円 |
軽量鉄骨造 | 120~130万円 | 180~195万円 | 240~260万円 |
重量鉄骨造 | 130~140万円 | 195~210万円 | 260~280万円 |
鉄筋コンクリート | 120~160万円 | 180~240万円 | 240~320万円 |
このように、木造など比較的柔らかい構造の建物は壊しやすく、作業効率が良いため費用も安く、鉄筋コンクリートなど壊しにくいものは費用が高くなる傾向があります。
また、解体費用には廃材の処理や整地費用なども含まれるため、それらの作業が困難になればなるほど費用も高くなります。木くずは1㎥で10,000円ほどで処理できるところ、コンクリート片は25,000円かかるなど、鉄筋コンクリート構造の建物は廃材の処理にも費用がかかることがわかります。
解体には付帯工事費用も必要
解体して更地にするには、アスベストの撤去やブロック塀や樹木の撤去費などの付帯工事が必要になることが多いです。主な付帯工事とその費用目安を表で見てみましょう。
内容 | 費用 |
アスベスト撤去費用 | 1㎡あたり2~8.5万円(処分面積300㎡以下の場合) |
外構撤去 | 樹木1本:1~5万円 ブロック塀:1㎡あたり2,000~3,000円 |
浄化槽撤去 | 5~10万円 |
作業・工程追加のための人件費 | 1日あたり1~2万円 |
上記のような費用を通常の費用に追加する形で支払うことになるため、家を解体するなら余裕のある資金計画が必要です。
ゴミ屋敷についての注意点
ゴミ屋敷の売却には多くの費用や手間が必要なことがご理解いただけたのではないでしょうか。最後にゴミ屋敷を売却する前に気を付けておきたい注意点を総ざらいしておきましょう。
売却にはゴミ処理費用以外も必要
ゴミを処理するにも費用がかかりますが、通常の物件と同じように不動産売却に必要な費用がかかることも忘れてはいけません。不動産売却に必要な主な費用は以下の通りです。
- 登記費用:1~5万円
- 印紙税:1,000円~1万円
- 仲介手数料:売却価格×税率で計算
- 譲渡所得税:譲渡所得額×税率
- 測量費:50~80万円程度
この中でも、不動産会社に支払う仲介手数料は大きな出費です。仲介手数料は、不動産会社がおこなう購入希望者を見つけるための売却活動の報酬として支払うものであり、買取で売却した場合には必要ない費用です。仲介手数料はその上限が法律によって定められており、売却価格によってかかる税率が異なります。
取引額 | 仲介手数料 |
200万円以下の金額 | 取引額の5%以内 |
200万円超400万円以下の金額 | 取引額の4%以内 |
400万円超の金額 | 取引額の3%以内 |
売却にかかる費用のほとんどは、査定額が提示されたら計算して概算することができるので、事前に計算して支払えるかどうか検討しておくと安心です。
ゴミ屋敷にも固定資産税は発生
ゴミ屋敷は売却するにもゴミを処分するにも費用がかかるため、どう処理しようか判断に迷って長時間そのままになってしまったり、放置されてしまうケースも少なくありません。
しかし、そうしている間にもゴミ屋敷の所有者には固定資産税の納税義務が発生します。固定資産税は数十万円かかることも一般的です。住んでいない土地に支払うにはとても多い金額だと言えます。
また、売却せずにそのままにしておくことで、次のような条件に当てはまる場合は特定空き家の指定を受け、通常は受けられるはずの固定資産税の軽減措置が受けられなくなってしまうというデメリットもあります。
- 建物・門・看板が破損や老朽化で倒壊のおそれのある状態
- 汚物やゴミで衛生上有害になるおそれのある状態
- 景観が損なわれている状態
- 近隣の生活環境に不適切な状態
ゴミ屋敷は放置してしまうと、特定空き家に指定されやすい物件のひとつです。費用がかかるから、住んでいないからと言って放置していると、多額の税を納めなければならないことになってしまいます。
不動産売却時の固定資産税ついてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめします。

ゴミ屋敷を長く放置すると行政代執行
ゴミ屋敷を放置することによって生じるデメリットとして、行政代執行の対象になりかねないことが挙げられます。行政代執行とは、行政による指導に従わない場合、強制的に義務者のなすべき行為を行政がおこない、その費用を義務者が負担する制度です。
ゴミ屋敷が特定空き家に指定されるなどすると、行政からゴミを処理するように所有者に指導が入ります。その指導や勧告を無視していると、最終手段として行政代執行の措置が取られ、強制的にゴミの処理をおこない、その費用を請求されてしまいます。
なかには、ゴミ屋敷について特筆したゴミ屋敷条例を定めているような自治体もあります。次のような条件に当てはまると、ゴミ屋敷条例の対象になり、強制的に清掃がおこなわれます。
- 害虫・ねずみ・悪臭の発生
- 火災やゴミの崩落、不法投棄の恐れがある
- 景観を著しく損ねている
行政代執行措置を取られてしまうと、費用を負担することに加えて近隣トラブルや訴訟に発展してしまう場合もあるため、ゴミ屋敷は放置せずに早めに対処する必要があります。
ゴミ屋敷は相続放棄しても管理責任が残る
遺産の相続時、借金など負の遺産があった場合に相続を放棄することがあります。ゴミ屋敷の所有権も同じように相続放棄することは可能ですが、たとえ相続を放棄したとしても民法上は、ゴミ屋敷の管理責任は相続人に課せられることとなっています。
相続放棄したゴミ屋敷が原因で近隣住民が怪我を負ったり、火災が発生したなどのトラブルがあった場合、相続を放棄していても、管理責任があるため損害賠償を求められてしまいます。
このようなことを避けるため、ゴミ屋敷の相続権を持っていた場合には、一度所有者になって買取業者に売却してしまうことをおすすめします。この際、売主に課せられる契約不適合責任が買取業者に移るため、その後何かトラブルがあっても責任を問われずに済みます。
契約不適合責任とは何か
不動産を売却後に、契約内容に記載されていない不動産の不具合や不備、傷が発覚した場合に、「契約の内容に適合していない」として、売主は買主による契約解除や損害賠償請求に応じなければならないという責任を負います。それを契約不適合責任と言います。
売却する際にゴミ屋敷であったことを伝えなければならないのも、この契約不適合責任が課せられていることに由来しています。
まとめ
ゴミ屋敷の売却には費用や時間が大きくかかってしまいます。他にも近隣への配慮や、相続問題など、心労も絶えません。人の目を気にし、できればひとりで解決したいと思う方も多いかもしれませんが、ゴミ屋敷の売却では通常物件よりも特に判断することが多く、素人ひとりでの判断には危険が伴います。
不動産業者はさまざまな物件とその事情を見てきたスペシャリストたちが集まっています。ゴミ屋敷は放置せず不動産会社と相談しながら、慎重に売却に向けて進んでいきましょう。
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