いつかはハーレーダビッドソンに乗ってみたい、だけど、最初から新車を購入するのはハードルが高い……。そんなバイク乗りも多いのではないかと思ったので、ハーレーの中古車事情を調べてみた。話を聞いたのは、ハーレーの認定中古車を取り扱う「ハーレーダビッドソン サーティファイド埼玉」のショップマネージャー・大塚秀樹さんだ。

  • ハーレーダビッドソンの中古車

    ハーレーの祭典「Blue Sky Heaven2024」(場所:横浜・山下ふ頭特設会場、会期:6月1日~2日)で中古車事情を調べてみた

認定中古車と中古車の違いは?

ハーレーダビッドソン サーティファイド埼玉は埼玉県深谷市にあるハーレーダビッドソンの正規ディーラー。認定中古車のみを取り扱う専門店だ。

  • ハーレーダビッドソンの中古車

    「BLUE SKY HEVEN2024」にハーレーダビッドソン サーティファイド埼玉が出展した認定中古車

「認定中古車」とはハーレーダビッドソン ジャパンが定める初年度登録8年以内、走行距離8万km未満、一定の点検と整備を受けているといった条件を満たした車両のこと。厳しい基準をクリアしているため通常の中古車よりも概して状態が良好な上、1年間の車両保証(走行距離無制限)やH.O.G.(ハーレーオーナーズグループ)メンバーシップ初年度無料などの特典がついている。

これで価格が安ければ認定中古車は間違いなくお買い得と言えるわけだが、そのあたりはどうなのか。中古車のリアルを大塚さんに聞いてみた。

認定中古車は実際のところ売れている?

――ハーレーダビッドソンのディーラーには新車も中古も取り扱っている店舗があります。なので、バイクを売る時は買った店舗で、となりそうなものですが、他店で買ったオーナーが売りに来ることもありますか?

大塚さん:そういうケースは多いです。そこは、専門店ということが大きいかもしれません。当店は中古車しか取り扱っていないので、新車も中古車も置いているディーラーと比べると、圧倒的に入りやすいんです。いい意味で、敷居がすごく低いのが強みと言えます。

――日本では発売から間もない「X350」や「X500」といった最新モデルも、すでに認定中古車として入荷されていたりしますか?

大塚さん:もう出てきていますね。X350は1台販売しました。

――ハーレーダビッドソン サーティファイド埼玉では、月に何台くらいの認定中古車が売れていますか?

大塚さん:月だとだいたい10台~20台くらいですね。「883」や「1200」の空冷スポーツスターが圧倒的な人気ですが、「ソフテイル系のクルーザー」「ブレイクアウト」「ローライダーS」「ストリートボブ」なども人気が高いです。

  • ハーレーダビッドソンの中古車

    2018年式の「XL883N」(アイアン883)は走行距離1万5,935kmで164万2,950円

  • ハーレーダビッドソンの中古車

    2022年式の「FXBRS ブレイクアウト」は走行距離1,549kmで334万2,950円

――新車と比べて価格の違いはいかがですか?

大塚さん:本当にモデルによりけりで、100万円以下のものもあれば新車と大差ないものまであります。逆に、空冷スポーツスターなどは定価の倍くらいの値段になっています。

安くしすぎてしまうと、ブランド価値が下がってしまいます。正直なところ、当店が扱う認定中古車が安いかと言われれば、むしろ高いと思います。その分、お客様の好みに合わせてカスタムをしたり、整備内容をより充実させるなどして車両に付加価値を与えて、他店との差別化を図っています。

――とにかく安く売ろう、というわけではないんですね。

大塚さん:安いから認定中古車を選ぶという方は少なくて、どちらかといえば、値段よりも車種にこだわりのある方が多いです。例えば、フォーティーエイトに乗りたくて免許を取ったという方はよくいらっしゃいます。

  • ハーレーダビッドソンの中古車

    2022年式の「XL1200X フォーティーエイト FE」は走行距離1,024kmで274万2,950円

  • ハーレーダビッドソンの中古車

    2018年式の「XL1200XS フォーティーエイト SP」は走行距離1万1,296kmで311万4,160円

――空冷スポーツスターの場合は、すでに生産が終了しているので、中古車でしか入手できないわけですからね。

大塚さん:新車では売っていないし、けっこうな金額を出して買うのなら、ちゃんとしたところで買いたいという方が圧倒的に多いですね。ネットオークションなどで多少は安く買えたとしても、後が大変です。だから、金額がちょっと高くても程度がよくて、保証もついた安心して乗れる車両が欲しいという方には、当店を選んでいただけているのかなと思います。

――認定中古車のクオリティーに店舗によって差はあるのでしょうか?

大塚さん:正直に言えば、あります。もちろん、ハーレーダビッドソン ジャパンが定める基準はクリアしている車両ですから、どこで購入しても一定の水準は保証されますが、そこから先は販売店次第です。当店は、好みのカスタム車両が最初から手に入れられるということをメリットとして売り出していますが、その上で、販売する時には新車以上のコンディションだと自信を持っておすすめできるように、手間暇をかけて整備しています。

認定中古車のトレンドは?

新車よりも安く買えるのが中古車のメリットかと思っていたが、価格よりも、すでに生産が終了している車両やカスタム済みの車両が購入できるところが魅力としては大きいようだ。理想の車両でハーレーデビューを飾れるのであれば、認定中古車という選択肢も悪くなさそうに思える。

最後に、これから人気が出そうな認定中古車について大塚さんに聞いてみると、「認定中古車として販売できる期間が限られるので、近い将来という意味であれば、引き続き空冷スポーツスターだと思います。ただ、それ以降であればミルウォーキーエンジンが定番中の定番なので、ブレイクアウト、ローライダーS、ストリートボブが人気の中心になっていくのではないでしょうか」とのことだった。