人事評価システムの機能とは?種類別の特徴も紹介

人事評価システム

人事評価システムにはどのような機能があるでしょうか。製品選びの際は、基本的な機能や提供形態別の特徴も把握しておきたいポイントです。本稿では、人事評価システムの基礎知識として、基本的な機能と提供形態別の特徴、製品の選び方についてまとめました。

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人事評価システムとは

人事評価システムとは、人事評価業務を効率化するためのITシステムです。システム内では、従業員の評価や、評価の根拠となる目標、実績などの情報を管理し、従来では難しかった過去データを利用した分析なども可能とします。人事評価システムを導入することにより、透明性の高い人事評価や賃金制度を実現できます。

人事評価システムにはどのような機能があるかについては、以降で詳しく説明します。

    人事評価システムのイメージ

人事評価システムの基本機能6つ

人事評価システムにはさまざまな機能がありますが、知っておきたい基本的な機能は以下のとおりです。

1、目標管理・進捗管理機能

従業員や組織の業務目標を設定し、その目標に沿って業務を遂行、実績を管理する機能です。従業員と上司の面談内容はシステムに記録します。従業員が実績をシステム入力すると、自動的に集計されるので、部門ごとや全社での進捗管理も可能です。評価過程や評価結果の可視化や、評価シートの一括管理も行えます。

2、業務目標(MBO)評価機能

業務目標(MBO)評価機能とは、会社の企業理念や経営目標を各部門・各従業員の目標に反映させ、効率的に全社目標を達成するという評価手法のことです。多くの人事評価システムは、MBOを標準の評価手法として採用しています。

3、ソーシャルおよび多面的(360度)評価機能

多面的(360度)評価とは、1人の被評価者に対して、上司・部下・同僚など複数の評価者が人事評価を行う評価手法の一種です。360度評価に対応している人事評価システムは多く見られます。

360度評価によって、複数の視点・立場での評価を行い、またお互いに評価し合うことで、個人の主観に影響されにくい評価ができます。

360度評価は、評価する人が多く実施が大変ですが、人事評価システムを利用することで、オンラインで評価の自動集計が可能になり、効率良く評価を進められます。

4、人事評価のワークフロー管理

人事評価システムには、目標管理シートや評価シートのワークフロー管理機能もあります。従業員の評価者として上司を設定し、目標・評価の入力や承認状況などを行えます。

進捗状況は一覧表示が可能なため、評価者や人事部門は一覧から状況を確認し、必要に応じて進捗が遅れている人に対してフォローします。

5、紙やExcelへの出力

従業員に1人1台のパソコンが割当たっていない場合は、評価内容をフィードバックする際の面談時に紙への出力が必要になります。人事評価システムの多くは、目標管理シートや評価シートを紙やExcelに出力する機能を提供しています。

6、他システムとの連携

人事評価は、給与や昇給などに反映されます。すでに給与計算システムを導入している場合は、そのシステムと連携できる機能があると、データ連携がスムーズになり、より一層の業務効率化が可能です。

これらの基本的な機能は、多くの人事評価システムに標準で搭載されています。ただ、操作性や細かな機能に関しては製品ごとに違いがあるため、製品の仕様はよく確認することが重要です。

また、人事評価システムは、提供形態によって機能に違いがあるため、次で詳しく説明します。

人事評価システムの提供形態別:機能の特徴

人事評価システムは、提供形態としてクラウド型・オンプレミス型・パッケージソフトの3種類があります。それぞれ、機能的にどのような特徴があるか解説します。

1、クラウド型

クラウド型の人事評価システムは、サービス提供者がクラウド上に環境構築を行い、インターネット上からサービスとして利用する仕組みです。自社にサーバマシンを設置するなど環境構築を行う必要はありません。そのため初期コストがかからず、契約をすればすぐに利用できる点が大きな特徴です。

インターネット上から使えるため、社外からスマートフォンなどのモバイルデバイスを利用してシステムが使える点も大きなメリットとなります。現在、人事評価システムもクラウド型で提供される製品が主流です。

クラウド型を利用する場合の注意点は、インターネット接続できる環境でなければ使えない点、セキュリティ面、拡張性が低い点などがあります。

2、オンプレミス型

オンプレミス型の人事評価システムは、自社内にサーバマシンなどを導入して環境を構築し、サーバにシステムをインストールして使用します。自社内に環境を構築するため、クラウド型に比べればセキュリティ面での安全度は高くなります。

ハードウェア機器やソフトウェアのライセンス料がかかるため、初期コストは高額になりますが、自社で自由にカスタマイズできる拡張性の高さは大きなメリットです。ただし、自社環境の保守運用業務が必要になる点は、オンプレミス型のデメリットとなります。

オンプレミス型の人事評価システムは、従業員規模が大きい企業にメリットのある提供形態です。

3、パッケージソフト

パッケージソフトの人事評価システムは、メーカーが販売しているソフトウェアを購入して、自社パソコンにインストールして使います。手軽に導入でき、中小企業に向いている提供形態です。

提供形態による機能の違いについて解説しました。次に、人事評価システムの選定ポイントについて紹介します。

機能以外にも確認したい人事評価システムの選定ポイント9つ

人事評価システムを選定する場合は、機能を把握することはもちろん、他にも確認したいポイントがあります。人事評価システムの選定ポイントは、以下の9点です。

1、提供形態

提供形態は、人事評価システムの製品選定時に必ず確認したいポイントです。低コスト・短期間で導入したい場合や、社外からも利用したい場合、保守運用コストを抑えたい場合はクラウド型が適しています。

自社の人事評価制度が複雑でカスタマイズが必要な場合や、利用人数が多くクラウド型では割高になる場合などは、オンプレミス型がおすすめです。中小企業で、社内でのみ利用する場合は、パッケージソフトも検討の余地があります。

2、対象としている従業員規模

人事評価システムによっては、対象としている従業員規模に違いがあります。主に中小企業向けの製品と、大企業向けの製品があるため、自社の規模に適した製品を選びましょう。

中小企業向けの製品は、シンプルな機能で低コストという特徴があります。大企業向けの製品は、複雑な組織構造への対応や、複数拠点・グループ企業対応など、大企業にとって便利な機能を提供している点が特徴です。

3、システム化を希望する範囲

人事評価業務だけを効率化すればいいのか、人材育成や適切な人材配置など人材管理業務全般のシステム化を希望するかにより、候補となる製品は異なります。

人材管理業務全般をシステム化したい場合は、人事評価や目標管理などの機能も含む、タレントマネジメントシステムの導入も検討しましょう。

4、対応する評価の種類

人材評価システムは、製品によって対応する評価方法の種類が異なります。MBOはほとんどのシステムで標準提供していますが、コンピテンシー評価・360度評価・OKR・1on1など、自社で利用したい評価手法をサポートしているかどうかチェックしましょう。

また、自社の人事評価制度との相性も重要です。現在の人事評価制度をそのままシステム化したい場合は、評価シートや目標管理シートは自由にカスタマイズできるかどうかを確認します。

5、部署の統廃合や人事異動に対応できるか

部署の統廃合や人事異動に対応できる機能があるかどうかも製品を選ぶ際の確認ポイントです。人事異動は、従業員の所属を変えれば済むようになっているかどうかを確認します。

部署の統廃合など多くの従業員データを更新する場合は、CSVファイルなどを利用して一括でデータを更新できる機能があるかどうかもチェックしましょう。

6、料金体系

料金体系は、主に提供形態によって大きく異なります。クラウド型は、初期コストが少なく、利用人数に応じた月額料金がかかります。

オンプレミス型は、初期コストとして、サーバにインストールするライセンス料と、自社に構築するハードウェア機器の購入費用が必要です。さらに、運用コストとして自社環境の保守運用業務にかかる人件費や年間保守費用がかかります。

導入候補の製品を絞り込んだ後、初期コスト・運用コストを試算して総コストを比較して、製品選定の判断材料としましょう。

7、操作性

人事評価システムは全従業員が利用するため、操作性も重要な確認事項です。使いにくいシステムでは、運用に支障が生じます。操作性を確認するには、無料トライアルや無料プランを利用するのがおすすめです。

従業員が利用する目標管理シートの記入や申請機能はもちろん、評価者や人事部門の利用する機能も、使いやすさを確認しましょう。

8、他のシステムとの連携(データ入出力方法)

自社に既存システムがある場合は、他システムとの連携が可能かどうか、データの入出力方法についても確認しましょう。

評価結果を利用する給与計算システムや勤怠管理、日報管理や会計システムなど、連携したいシステムを洗い出して、それぞれ連携できるかどうかを確認してください。

9、サポート

人事評価システム導入直後は、従業員も管理する人事部門もシステムに慣れないため、支援サポートのある製品を選ぶと安心です。運用が軌道に乗ってからも、トラブル発生時に問い合わせが必要になる場合もあります。継続してサポートを受けられるかどうかも確認しましょう。

人事評価システムを選ぶ際のポイントについて解説しました。最後に、システム導入後に確認したいポイントを紹介します。

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人事評価システム導入後の確認ポイント

人事評価システムを導入した後、順調に運用するために確認したいポイントを解説します。

1、導入の前後で評価に大幅な変化がないか

人事評価システムを導入した後、以前の評価と大きな差が出た場合は、その原因を確認し対応しなければなりません。以前の評価方法と違う部分があったせいか、妥当な評価なのかを慎重に確認します。

評価が大きく下がってしまった従業員に対しては、具体的検証を行った後フォローアップを行い、誤解が生まれないようにする必要があります。

2、評価結果をデータとして活用できているか

人事評価のデータは、運用を継続することで蓄積されます。評価データを活用できているかどうかも確認したいポイントです。従業員の過去データを分析して今後のキャリアアップに活用する、評価の高いスキルを活かして適切な人材配置に利用するなど、人事評価以外の業務にも活用することで人材の活用に役立てられます。

人事評価システムの機能を知り自社にはどこまで必要か検討を

人材評価システムの機能は、主に目標管理や進捗管理、さまざまな種類の人事評価など、人材評価業務の効率化をサポートします。人材評価だけでなく、人材育成や人材配置にも利用できるタレントマネジメント機能を持つ製品もあるので、どこまでシステム化するかも検討しましょう。

人事評価システムを導入する際は、さまざまな製品を比較したうえで選定してみてください。

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