タレントマネジメントシステムとは?その必要性を徹底解説

タレントマネジメント

「タレントマネジメントシステム」とは、従業員がもつ経験や能力を一元管理し、企業の人事戦略を支援するシステムです。大勢の従業員をかかえる大企業やグローバル企業だけでなく、中小企業やベンチャーにも導入の動きが進んでいます。

そこで今回は「タレントマネジメントシステムがなぜ今求められているのか」タレントマネジメントシステムの必要性について解説していきます。

タレントマネジメントシステムおすすめ15選比較記事はコチラ→タレントマネジメントシステム比較15選【2021年版】|選定ポイントも解説

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タレントマネジメントシステムとは

そもそも「タレントマネジメントシステム」とはどのようなものか、ご存じない人もいるのではないでしょうか。最初に、タレントマネジメントシステムの概要と、タレントマネジメントという考え方が誕生した背景についてご紹介します。

1.タレントマネジメントシステムとは

「タレントマネジメントシステム」は、従業員の情報を適切に管理し、人事・経営戦略を支援するシステムのことです。管理する情報は従業員の個人情報、経歴や能力、育成計画など、多岐にわたります。これらの情報を適切に管理することで、従業員の適材適所の配置、リーダー候補の育成などで活用できます。

タレントマネジメントシステムがもつ具体的な機能を見ていきましょう。タレントマネジメントシステムには非常に多くの機能が備わっており、主に以下のような機能があります。

  • 従業員情報管理
  • 組織管理
  • 目標・人事評価管理
  • スキル・経歴管理
  • 要員・育成計画管理
  • アンケート機能

タレントマネジメントシステムを用いることで、従業員だけでなく組織全体の管理も可能です。また、従業員の人事評価や育成計画も一元管理することで、人事業務の効率化にもつながります。さらに、従業員に対して現在の勤務状況やモチベーションを確認するためのアンケートをとり、きめ細かいフォローをしていくことも可能です。

2.タレントマネジメントの背景

タレントマネジメントとは、社員の基本情報やスキルを把握し、社員の能力を最大限活用する考え方です。1997年にアメリカのコンサルティング会社「マッキンゼー&カンパニー」が提唱した『War for talent』(人材育成競争)から広まりました。当時のアメリカの労働者では、自身をより活かせる環境で働くために、転職を繰り返しており、企業はいかに自優秀な人材を確保するかが重視されていました。

日本でも、多様な働き方が広がり始めた2011年頃からタレントマネジメントが注目されるようになりました。日本でなぜタレントマネジメントが注目されるようになったのか、次の章で解説していきます。

タレントマネジメントはなぜ必要か

アメリカから誕生したタレントマネジメントが、なぜ日本で広がり始めたのか。日本でもタレントマネジメントが必要とされた背景について解説していきます。

1.終身雇用や年功序列が崩壊

日本ではそれまで、企業から「終身雇用」「年功序列」を保証されていました。つまり、一度入社すれば最後までその企業にいることになり、企業内で知識・経験を積んで育成されます。評価も年功序列によって決められるため、従業員の能力よりも就業年数が重視される傾向にありました。

しかし、バブル崩壊やリーマンショックなどにより、それまで大企業であっても終身雇用・年功序列が保証されなくなり、成果主義へと考え方が変化していきました。つまり、企業は成果をあげるために優秀な人材を確保するようになり、新卒だけでなく中途採用や派遣社員が積極的に活用されるようになりました。

これにより、それまで終身雇用・年功序列を重視した従来の人事管理の仕方では、成果主義の考え方に合わず、困難な状況となっています。

2.人材の流動化やグローバル化

変わっていったのは企業だけではありません。労働者の考え方も変化し、人材の流動化やグローバル化が進んでいくようになりました。このような変化が起こったのは、以下のような背景があります。

  • 少子化により労働人口が減少
  • 労働者の価値観の変化
  • 正社員・契約社員・フリーランスなど、働き方の多様化

労働者の変化により、企業には様々な能力や経験、立場の人が入るようになりました。このような人材を適切に管理するために、タレントマネジメントという考え方が重要視されるようになっています。

3.消費者ニーズの激しい変化

経済の発展と共に、消費者ニーズや行動形態が激しく変化しました。たとえば、1990年以降インターネットが普及し始め、2000年代から携帯電話が普及、2010年代からはスマートフォンが普及し、消費者ニーズも大きく変化しています。そして今では新型コロナウィルス感染症が広まり、テレワークが急速に普及しています。 このような流れにあわせ、企業は様々な課題に対して柔軟に対応する必要が生じていくため、従業員の適材適所の重要性が注目されるようになりました。

4.「HR Tech」の発展

タレントマネジメントが進んだアメリカでは、2010年頃から「HR Tech」が普及し始めました。HRTechとは、「Human Resource」(人事・人材)と「Technology」(テクノロジー」を組み合わせた造語です。

具体的には、AIやIoT、ビックデータといった技術を用いて、人事・人材に関する情報を管理する仕組みです。この仕組みを利用したシステムのことを「タレントマネジメントシステム」といいます。

この発展から、それまで従来の方法では難しいとされていた人事管理を、HR Techを利用したツールを活用することで、今までの課題に対応する流れが進んでいます。この流れを受けて、タレントマネジメントという考え方とともに、タレントマネジメントシステムが日本でも急速に普及していきました。

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タレントマネジメントシステム導入の必要性

タレントマネジメントの考え方を実現するのに、なぜタレントマネジメントシステムが必要なのでしょうか。タレントマネジメントシステムを導入する必要性について解説していきます。

1.最適な人材配置を行うため

最適な人材配置をしていくためには、従業員の経験や能力といった情報が必要です。たとえば、新しい事業を起こしたい場合や、ポストを用意して人を配置したいといった場合、情報がなければ誰が適切であるかがすぐに判断できません。これが大企業やグローバル企業のように、従業員数が増え、組織が大きくなればなるほど、従業員の個々の経験・能力は把握しにくくなります。

従来のやり方では就業年数で考えればよかったものが、多様な人材がいる昨今では従業員の能力が把握できないため、従業員の情報を一元管理するシステムが必要となっています。

2.必要な人材を確保するため

企業の経営方針をもとに、必要な人材を集めるにあたり、現在どういう人材が不足しているかを分析する必要があります。このような場合でも、企業内の従業員情報が必要です。従業員情報から企業内にいる人材を分析し、足りない人材は採用していかなくてはなりません。

どのような能力を持った人材を、何名採用すればよいか。具体的な採用方針を決めるにあたり、従業員情報を管理するタレントマネジメントシステムがあれば、必要な人材を直ちに特定することができます。

また、企業は、将来の経営者となりうるリーダーを必要としています。タレントマネジメントシステムは、採用だけでなく育成においても役立ちます。タレントマネジメントシステムには育成計画管理の機能をもっているため、従業員の中からリーダーとなる人材を見極め、育成計画を進めていくことが可能です。

必要な時に必要な人材を確保する、そのためにタレントマネジメントシステムは必要とされています。

3.従業員の満足度向上につながる

企業はできる限り優秀な人材を確保し、離職を避けることが課題です。しかし、従業員の能力をきちんと把握しないまま組織で部署配置をしてしまうと問題です。従業員の能力と現場で求められる能力でミスマッチが発生し、企業に対して不信感を抱き、最悪離職することにもなりかねません。

従業員満足度を向上させるには、従業員の能力をきちんと把握し、適材適所の配置を行うことで、従業員を自身のもつ能力をフルに発揮できる環境に置くことが大切です。また、定期的にアンケートをとるなど従業員の状況を随時把握し、細かなフォローをしていくことでも、従業員満足度向上につながります。

タレントマネジメントシステムはそうした従業員に対する細かなフォローができる機能が備わっているため、従業員満足度を向上させ優秀な人材を定着させることに役立ちます。

4.人事業務の効率化

従業員に関する情報は数多くあります。能力や経験など現在備わっているものから、未来を見据えた目標・育成計画まで、管理していかなければなりません。これらの情報が散在していては、きちんと人事業務を効率よく回すことができません。

タレントマネジメントシステムを導入することで、従業員に関する情報を一元管理し、必要な情報がすぐに取り出せます。これにより、使いやすさが向上し業務全体を効率よく進めることができるようになります。

タレントマネジメントシステムを導入し、従業員を適切に管理しよう

今回は、タレントマネジメントシステムの必要性について、ご紹介しました。元々は、タレントマネジメントという考え方が、以下の理由により広まったことがきっかけです。

  • 終身雇用や年功序列の崩壊
  • 人材の流動化やグローバル化
  • 消費者ニーズの激しい変化
  • 「HR Tech」の発展

そして、技術の発展と共にタレントマネジメントを実現するための仕組みとして誕生したのが、タレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステムは、以下の理由から必要性が高まっています。

  • 最適な人材配置を行うため
  • 必要な人材を確保するため
  • 従業員満足度向上
  • 人事業務の効率化

現在タレントマネジメントシステムは、大企業やグローバル企業だけでなく、中小企業も導入が進んでいます。ぜひこの機会にタレントマネジメントシステムを導入してみてはいかがでしょうか。

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