仮想環境で求められるバックアップソリューションの要件とは?

では仮想環境のバックアップソリューションについて、具体的にどのように考えていけばよいのだろうか? 各種バックアップ製品が発売されている中、一般環境と異なる仮想環境ゆえの問題点も多い。もちろん仮想化ソリューションにも、標準的なバックアップ機能は付いている。しかし、これらは専用でバックアップに注力して開発しているわけではないためオマケ的なものが多く、機能性や使い勝手の面で微妙であることは否めない。

そこで最近では、仮想マシンのバックアップに特化した製品もいくつか出回っている。たとえば、個々の物理サーバを高速にバックアップするイメージング技術を、仮想環境に適用させた「イメージイング・バックアップソリューション」がある。佐藤氏は「ボリュームシャドウコピーサービス(Snapshot)技術が登場して何年か経ちますが、データベースなどもSnapshotに対応するようになってきました。以前のようにOSのみをイメージング対象とし、残りをテープ・バックアップするケースから、すべてのデータをまるごとディスク・イメージングするケースに変わってきています」と説明する。

バックアップやリストア時のスピードも大きなポイントの1つだ。データが肥大化し、まるまる1日以上もバックアップ時間に取られるようでは管理者の負担も大きすぎる。そのため「重複排除機能」によって圧縮率を高め、ストレージ利用率を向上させる製品もある。圧縮率が高まれば、データ容量もコンパクトになり、そのぶん処理も速くなる。また、仮想化ソリューションの高度な機能をベースに、それらと連携をとりながら仮想環境をバックアップ/リストアしたり、現場での使い勝手を重視した製品も用意されている。

特に仮想環境でのバックアップ対象は複雑で多岐にわたるため、どうしてもバックアップ/リストアの対象を把握しにくい傾向がある。日々のバックアップから復旧時のリストアまで、十分に配慮された扱いやすい操作インターフェイスが肝要だ。データベースやアプリケーションも含めたバックアップ、ボリューム全体、またはファイル単位・フォルダ単位での細かいリストア、仮想マシンを他の物理サーバに迅速に展開できるような機能も求められる。

「やはり誰もが簡単に利用できる使いやすさは重要です。日々の運用はもちろんですが、何か障害が起きたとき迅速に対応できるかどうか。実際の現場では、いちいちマニュアルを読んだり、多くのメディアを用意したりする余裕すらないでしょう。テクノロジーが進化し複雑になっても、使い方はどんどんシンプルにしていかなければなりません」(佐藤氏)。