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部下の報告の仕方に困っています。一生懸命話をしているのはわかるのですが、お世辞にもうまい報告とは言い難く、話を聞いているうちにイライラしてくる自分に気付いて反省することもあります。そんな気持ちを抑えて指導してはいるのですが、なかなかうまくいかず、どうすればいいのかなぁ……と考えているうちに部下の報告が終わってしまう、ということを繰り返しています。報告下手な部下に対するいい指導方法はあるのでしょうか?(埼玉県 TYさん)

「事実」と「意見」を混在させない

わかりにくい報告を部下から受けている時、ぜひやってみていただきたいことがあります。それは、話している内容に「意見」「感情」が過度に混在してないかどうかをチェックするということです。

報告というのは、必要以上に自分の意見や感情が多く入り込むべきではないのですが、わかりにくい報告の多くにこれらが混ざっています。

例えば、「○○という事が起きたのですが、正直に言うと、その時私は△△だと感じました。しかし、●●という選択肢があったな、と私は思うのです」といったケースです。

本来は、○○という事実に関する部分を掘り下げるべきであり、その結果どうなったのかを伝えることが重要です。「△△だと感じた」という「感情」や、「●●すべきだと思う」といった「意見」は、ひと通り「事実」の報告が終わった後に話す方が"スリムな報告"になります。

「感情」や「意見」は必要ない、ということではなく、これらについては、「報告」とは別に話す場を持った方が効果的ということになります。

部下に発言を求めた時に、「私の意見といたしましては」「私は○○のように感じました」など、個人の意見や推測であることをはっきりさせ、事実と区別して発言するようになれば大きな進歩です。事実以外の個人的な「思った」「感じた」という意見は、上司に誤った判断をさせる原因にもなります。意見は報告の際に混在させないということも、上司と部下で共通認識として確認しておきます。

手法やツールを最適化する

急を要する場合は、口頭だけでの報告になることが多いでしょう。このような時は、常に結論から述べるよう指導しましょう。そして、結論の後に「チームや会社にとってどのような意味を持つのか」ということを確認します。それから経過や状況・原因について述べます。「それはどういう意味を持つのか」と問いかけることで、上司の関心を意識させるのです。

緊急ではない報告については、ツールを有効に活用するように指導しましょう。時間・数量などを明確にする習慣を定着させた上で、こうした数値などは書類での確認も行います。書類があれば、すべてをいちいち口頭で報告する必要はなくなりますので、要点だけを伝えればよいということになります。

さらに、記述報告の併用を求めると、部下は一度書類準備の際に頭の中を整理することができるので、口頭での報告にもプラスの効果が出るようになります。あえてPowerPointなどを使ったプレゼン形式の報告を求めることで、時間配分を計算する習慣を身に付けさせることも可能です。

また、対面での報告を受ける前に、メールでの報告を事前準備として併用させることも、時間のムダを省くという意味で有効でしょう。

執筆者プロフィール

佐藤高史 (Takashi Sato)
株式会社コラージュ』代表取締役。ビジネスコンサルタントとして人材教育・研修などで活躍する傍ら、実はプロのミュージシャンとしても活動中。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。