Q
部下の報告の仕方に困っています。一生懸命話をしているのはわかるのですが、お世辞にもうまい報告とは言い難く、話を聞いているうちにイライラしてくる自分に気付いて反省することもあります。そんな気持ちを抑えて指導してはいるのですが、なかなかうまくいかず、どうすればいいのかなぁ……と考えているうちに部下の報告が終わってしまう、ということを繰り返しています。報告下手な部下に対するいい指導方法はあるのでしょうか?(埼玉県 TYさん)
報告以外が目的の"報告"も
「ほう・れん・そう」が大切、ということは、新入社員研修などで耳が痛くなるほど聞いたのではないでしょうか。報告、連絡、相談を的確にしなさい、ということに異論はないでしょうが、実際に「望ましい形で機能している」と自信を持って言うことができる職場がどれほどあるでしょう。実は、部下は「ほう・れん・そう」をしたくてもできないことが意外に多いということを、上司であるあなたは認識しているでしょうか。
報告が長くなってしまう人の話を横で聞いていると、「本来は相談をしたいのだな」ということがあります。多忙な上司に気を遣い、なかなか自分の仕事の連絡や相談をすることができず、いよいよ事態が複雑になってきてからやっと声をかける、というケースが多いものです。部下が「○○の件で報告したいことがあるので、お時間をいただけますか?」と言ってきた時、単なる報告ではなく、「相談がしたい」という意味が含まれていることもあることを知っておきましょう。
コミュニケーションが充分にとれている職場では、短い結果の報告だけで済むかもしれませんが、なかなか話す時間のない上司と部下の関係だと、そうはいきません。場合によっては、オフィシャルな業務時間も貴重なコミュニケーションの場として機能するかもしれないのです。
「部下が話したがってる」ということを察した場合は、「報告は簡潔に」などと切り捨てるのではなく、話し合うきっかけにするという柔軟な対応もあっていいでしょう。逆に、コミュニケーションが部下ととれており、日頃から多くの情報を共有することができていれば、各々の報告時間は短くすることができます。
報告のタイミング
では、報告はどのようにするのが望ましいのでしょうか。まずはタイミングの問題がありますね。例えば、
- 任された仕事の終了時
- 進行状況の中間時期(長期プロジェクトの場合)
- 仕事の進め方などに変更の必要性が生じた時
- 新情報が入った時(特にプロジェクトに対するマイナス情報)
- 業務に関する改善方法を見つけた時
- ミスをした時
上記のような場面ごとに上司に報告が入れば、プロジェクトは比較的スムーズに進行することでしょう。そのためには、部下に総括的な最終報告をさせるのではなく、ピンポイントの報告を確実に行う習慣付けを行います。そうすれば上司としても、事態が手遅れになる前に状況を把握したり対策を講じたりすることができるはずです。
執筆者プロフィール
佐藤高史 (Takashi Sato)
株式会社コラージュ』代表取締役。ビジネスコンサルタントとして人材教育・研修などで活躍する傍ら、実はプロのミュージシャンとしても活動中。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。