大リーグ(Major League Baseball)の薬物汚染は相当に深刻で、表に出てこないケースのことを想像すると、いったい完全に"シロ"と言える選手は果たしてどのくらいいるのだろうと、少し怖くなる。今回紹介する"QUATATION OF THE DAY"は、過去の薬物使用を認めた"渦中の人"、Alex Rodriguez - 通称「A・ロッド」がヤンキースのキャンプ地・フロリダにて行った釈明会見でのひとことだ。

I knew we weren't taking Tic Tacs.

-- Alex Rodriguez

オレたちはTic Tacを摂っているんじゃないことくらいはわかっていた

オリジナルはこちら → As Team Looks On, Rodriguez Details His Use of Steroids

ここでA・ロッドは「we」と複数形を使っているが、どうも従兄弟のひとりと一緒に怪しげな薬に手を出していたらしい。その薬物が何か、当時の彼は知らなかったと主張している。でもキャンディのように問題ないものじゃないことも、わかっていた。「良くなさそうなブツだとは思っていたけど、そんなにダメだとも知らなかったんだ」と、おのれの無知を嘆く。そして「注射すればパワーが出るクスリ」の誘惑に勝てなかった自分を「若くて、おろかだった」と振り返っている。

彼は会見で、"boli"という、あんまり聞いたことがないクスリを2001年から2003年にかけて、注射器を使って摂取していたと言っている。専門家は、「彼の言うboliとは"Dianabol(ディアナボル: ステロイドの一種)"のことではないか。ただ、Dianabolは通常、口から摂取するものなのだが…」と疑問を呈している。いったい、何を摂っていたのやら。

ネイティブじゃないとわからない単語 - Tic Tac

Tic Tac? なんで時計の音が出てくるの?? と一瞬意味がわからなかったが、実は欧米で人気のお菓子の名前で、シナモンやオレンジなど、いろんなフレーバーがある。複数形を使っているところに注意。

ナマの英語で困るのは、こういう純日本人にはわからない固有名詞がぽんぽん出てくるときだ。会話ならできるだけ聞き返すことを心がけたいが、そういうシチュエーションにないときはあとから調べるしかない。

ビジネスで使うには微妙な表現 - I knew

「お菓子じゃないよ、クスリだよ」とわかっていた、なのにやめなかった。いくら頭で理解していても行動が伴わなければ、「わかっている」とは思われない。でも他人から指摘されると腹が立つもの。つい「わかってるってば!」と言い返したくなる。そういうときに使うのがI know / I knewだ。決まり文句として、I knew it.(ほら、言ったとおりでしょ)もよく使われる。

I know / I knewはあまり使いすぎると、良い印象を与えないので注意が必要だ。A・ロッドの場合も、「わかっていたのにやめなかった」自分のおろかさを強調するためにI knewを使っている。ビジネスの現場なら「わかってるなら、やれよ!」と口に出して言われないまでも、信用度は確実に下がる。ちょっと気をつけたい。