前回は会計ソフト選びの基準について説明しました。今回は「財務応援Lite」をモデルに、会計ソフトの帳簿体系と利用開始時の設定内容について紹介します。

財務応援Liteの帳簿体系

財務応援Liteの帳簿作成の流れは次のようになっています。

このように、取引が発生したら、帳簿(現金出納帳や銀行帳、売掛帳、買掛帳、受取/支払手形帳など)か伝票(複合伝票・入金伝票・出金伝票・単一振替伝票)のいずれかに入力すれば、試算表や決算書などにも自動転記されます。単一振替伝票は、財務専用オフコンで採用されている貸借1対1の高速入力画面で入力できるので、熟練した会計オペレーターにはうれしい機能です。

また、財務応援Liteには仕訳辞書機能や伝票辞書機能など、帳簿や伝票への入力に慣れていない人の仕訳入力を支援するための機能も充実しています。

  • 帳簿への入力: 財務応援Liteには、次の帳簿が用意されています。また、自由に帳簿を作成したり、既存の帳簿内容を変更したりすることもできます。このうち1つの帳簿に仕訳を入力すれば、それに関連するすべての帳簿に自動転記されます
帳簿の種類 内容
現金出納帳 現金取引を入力する場合に用いる帳簿です
銀行帳 預貯金の預入や引出取引を入力する場合に用いる帳簿です
売掛帳 売掛取引を入力する場合に用いる帳簿です
買掛帳 買掛取引を入力する場合に用いる帳簿です
受取手形帳/支払手形帳 手形取引を入力する場合に用いる帳簿です
元帳 勘定科目に対して、取引を補助科目ごとに入力したい場合に用いる帳簿です

財務応援Liteの現金出納帳

  • 伝票への入力: 財務応援Liteには、4種類の伝票が用意されています。このうち1つの伝票に仕訳を入力すれば、それに関連するすべての帳簿に自動転記されます
伝票の種類 内容
複合伝票 すべての取引について入力できる伝票です。複数行にまたがった仕訳も入力できますので便利です
入金伝票 現金の入金取引を入力したい場合に用いる伝票です
出金伝票 現金の出金取引を入力したい場合に用いる伝票です
単一振替伝票 貸借1対1の高速入力画面で入力できる伝票です

財務応援Liteの単一振替伝票

財務応援Liteの新規会社データ作成

では、財務応援Liteで新規に会社を設定していきましょう。

これは、財務応援Liteが他社会計ソフトに比べて優れている機能の1つなのですが、会社データ作成時に入力する会社情報は、後からでも変更することができるのです。これは結構助かります。

はじめて利用する会計ソフトは、その特性を理解できていないまま新規の設定をせざるを得ない場合も多いので、最初に設定した項目を変更したいと思うことは多々あります。これが使用開始後でも比較的自由に変更できます。

ただし、個人と法人の変更や科目コード体系の変更、科目の呼出しコードの種類の変更はできません。また、 仕訳入力を開始すると、決算年月日と設立日の変更もできなくなります。

設定項目としては、まず業種・勘定科目のコード体系・勘定科目の呼出コードを決定し、詳細の会社情報を入力することになります。

財務応援Liteの会社新規作成

業種には、法人の場合は、販売業(原価科目を使用しない)または製造業・建設業(原価科目を使用する)のいずれかを選択します。個人事業者の場合は、一般所得、不動産所得、農業所得から選択しますが、青色申告書作成時に所得の種類を変更することもできます。

勘定科目の呼出コードとは、定科目の呼出コードをローマ字で使用するか、カナで使用するか選択します。呼出コードは、科目名などの読みをキーにして、目的の科目を探し出すためのものです。たとえば、入力中の仕訳に「現金」を入力したいがコードがわからない場合、科目コード入力欄に「GEN」と入力し、[Enter]を押します。勘定科目参照ウィンドウには、「現金」「小口現金」「原材料」「減価償却費」など同じ読みをする科目だけが表示されます。呼出コードを利用することで、コードがわからなくても勘定科目を簡単に探し出すことができます。

財務応援Liteでは、補助簿や部門の設定もできます。(当然ですが)特に部門は、部門別管理をするかしないかを次のパターンから選択することができ、会社の管理目的に合った設定ができるのでとても便利です。

  1. B/S、P/L(両方とも部門別管理をする)
  2. P/Lのみ(P/Lのみ部門別管理をする)
  3. 部門別管理をしない

また、補助簿や部門の設定も仕訳入力後でも変更できます。

他にも設定項目はもちろんありますが、本連載では省略させていただき、次回からは、帳票作成の解説に入っていきましょう。