JavaFXの開発環境事情

JavaにおけるRIAプラットフォームとして登場したJavaFXだが、AdobeのAIRやMicrosoftのSilverlightと比べると開発環境の貧弱さは大きな弱点のひとつだ。JavaFX 1.0のリリースと同時にNetBeans向けのプラグインがリリースされたものの、アプリケーションをグラフィカルに作成する機能はなく、JavaFXのソースファイルを直接編集する必要があり、他のRIAプラットフォームと比較してお世辞にも取っ付きがよいとは言えない状況が続いていた。

JavaFX ComposerはJavaFXアプリケーションをグラフィカルに開発するためのNetBeansプラグインだ。本稿執筆時点での最新バージョンはPreview2となっており、まだNetBeansに標準では組み込まれていないものの、プラグインマネージャで容易にインストールすることができる。JavaFXにとっては待望のRAD(Rapid Application Development)開発環境といえる。

図1 JavaFX Composerのインストール

JavaFX Composerの実力は…?

JavaFX Composerをインストールするとプロジェクト作成ウィザードに「JavaFX Desktop Business Applicatrion」と「JavaFX Mobile Business Application」という2つのウィザードが追加される。また、サンプルの配下にもさまざまなウィザードが追加されているので一通り試してみるといいだろう。

図2 JavaFXプロジェクトを作成するウィザード

図3 JavaFXのサンプルプロジェクトを生成するウィザード

プロジェクトを作成すると以下のようなビジュアルエディタが表示される。パレットからドラッグ&ドロップでコンポーネントを配置でき、右下のプロパティビューで配置したコンポーネントのプロパティを設定できる。初期状態では基本的なプロパティしか表示されていないが、プロパティービューの上部に表示されているトグルボタンをクリックすることでプロパティビューに表示するプロパティを変更することができる。また、ボタンをクリックしたときのイベントハンドラもプロパティビューから設定することが可能だ。

図4 ビジュアルエディタ

NetBeans標準のSwing向けGUIデザイナは使いやすいとの定評があるが、JavaFX Composerのビジュアルエディタはなかなか思った通りにレイアウトできないことがあり、実用的なアプリケーションの開発に使用するには少々使いづらい印象を受ける。ただ、パレットの中にはデータソースとバインドされた入力フォームを自動生成するコンポーネントなども用意されている。

図5 フォームの自動生成

ビジュアルエディタの上部には「Source」「Design」という2つのボタンが並んでおり、「Source」を選択することでJavaFX Scriptのソースコードを直接編集することも可能だ(ただし、ビジュアルエディタが自動生成するコンポーネントのレイアウトコードについてはグレーアウトしており直接編集できないようになっている)。

図6 ソースコードを直接編集することも可能

イベントハンドラの処理を実装する場合などはビジュアルエディタではなく、こちらのソースエディタを使用することになる。ソースエディタでは入力補完やエラーの即時チェックといった機能が利用できる。Javaエディタと同じ感覚で利用できるはずだ。

もちろん作成したJavaFXアプリケーションはNetBeans上から実行やデバッグを行うことが可能だ。

まとめ

NetBeansにJavaFX Composerをインストールすることで、これまでJavaFXに欠けていたRAD環境を利用することができる。しかし、Adobe AIRやMicrosoft Silverlight向けの開発ツールと比較すると使い勝手や機能の面でまだまだ遅れを取っている感が否めない。

アプリケーションプラットフォームの普及には開発ツールの使い勝手も重要なポイントとなる。とくにRIAプラットフォームであるJavaFXにおいて、JavaFX Composerのようなビジュアルな開発ツールが重要であることは言うまでもないだろう。とはいえ、現時点のJavaFX ComposerはまだPreview2なので将来の改善に期待したいところだ。