NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は6月3日、優先的にパケットを割り当てることで混雑するエリアや時間帯でも通信の安定化と速度向上を実現する「パケット優先制御」について、上空のLTE通信に適用させた検証に成功したことを発表した。また、「LTE上空利用プラン 閉域接続オプション(MECダイレクト)」を活用し、高セキュリティでの通信ができる閉域環境下での検証にも成功した。
同社はこれらの検証結果より、「LTE上空利用プラン」のオプションとしてパケット優先制御機能を2025年夏ごろに提供開始予定だとしている。
実証の背景
物流をはじめさまざまな用途でドローンの活用を推進するため、一定の条件下で立入管理措置(無人航空機の飛行経路下において第三者の立入りを管理または制限する措置)が不要で目視外飛行ができる「レベル3.5」が2023年12月より開始されている。
しかし、「レベル3.5」飛行を行うためには機上カメラによる歩行者の有無の確認が必要であり、機上カメラで撮影した映像をリアルタイムで確認するために安定した上空通信の環境が必要となる。
そこで同社は「LTE上空利用プラン」に対し、地上での通信向けに提供している「パケット優先制御機能」を活用することで、上空でのLTE通信における速度向上および安定化の有効性を検証した。
検証の概要と結果
今回の検証においては、イームズロボティクスの「E600-100」とSkydioの「SkydioX10」を活用し、パケット優先制御機能の検証を実施。また、「LTE上空利用プラン 閉域接続オプション(MECダイレクト)」を活用した閉域環境下でのパケット優先制御の有効性も検証した。
イームズロボティクス製「E600-100」を活用した検証では、パケット優先制御を活用しモバイル通信の速度向上および安定性を確認。「LTE上空利用プラン 閉域接続オプション(MECダイレクト)」を活用した閉域環境(ドコモネットワーク内)でのパケット優先制御を実施し、ドローンの制御およびデータ伝送可否を確認した。
「Skydio X10」を活用した検証においては、「パケット優先制御」を実施した際のリアルタイムでのカメラ映像品質を確認した。
今回の検証により、上空でもパケット優先制御を実施することで通信速度と安定性が向上し、伝送されるカメラ映像の品質向上に寄与することが確認された。また、閉域環境下でのパケット優先制御を実現したことにより、高セキュリティな通信と機体からの安定した映像・バッテリー残量・位置情報などのデータ伝送を両立したドローン運用が行えることも確認された。
これらの結果により、セキュリティや通信の安定性が求められる警備、防衛、物流などの幅広い用途においてよりドローン活用がしやすくなると見込める。