コーディング不要でAIエージェントを作成できるソリューション
アクセンチュアは4月15日、NVIDIAの「AI Enterprise」を活用して構築されたAIエージェントソリューション「Accenture AI Refineryプラットフォーム」を拡充したこと、ならびに新機能として「AIエージェントビルダー」を追加したことを発表した。
AIエージェントビルダーは、プログラミングの知識やスキルを持たない一般的なビジネスユーザーであっても、AIエージェントを迅速に作成し、必要に応じてカスタマイズすることができるように設計されたソリューション。これにより、ビジネスの意思決定者は、ポリシーの変更、競合他社による新製品の市場投入やプロモーション活動、予想外の顧客反応、需要の変動など、変化するビジネスニーズや市場環境に基づいて、AIエージェントの作成やカスタマイズを行うことができるようになるという。
また、コーディングが不要であるため、エンジニアや技術サポートチームに頼ることなく、ビジネスユーザー自身がAIエージェントに変更を加えることができるため、事業に俊敏性をもたらすとアクセンチュアでは説明している。
業界特化型AIエージェントソリューションと組み合わせて活用が可能
さらに、同社の業界特化型AIエージェントソリューションと組み合わせることで、ビジネスユーザーは、プラットフォームに組み込まれたガバナンスやガードレールの仕組みを活用することで、数回のクリックだけでAIエージェントの変更を行うことが可能になるとする。また、これはAI Refineryで作成されたAIエージェントと、AI Refineryに公開された外部のAIエージェントにも適用されるとしている。
すでに海外の事例としては、例えばHPEは、HPE Private Cloud AIとAccenture AI Refineryを組み合わせた新しいエージェントAIソリューションを開発しており、これは同社の調達、支出管理、リレーションシップ分析、契約義務管理といった多様なカテゴリーにわたり展開される予定だという。また、国際連合(国連)では、各国における持続可能な経済成長を支援するため、150以上の言語をサポートする多言語調査エージェントを開発しており、国連の持続可能な開発目標に関する質問に回答する研究者として機能し、世界の平和と繁栄をめざすアジェンダに対する認識とエンゲージメントを促進することを目指しているという。
また、アクセンチュアの提供する業界特化型AIエージェントソリューションは、NVIDIA Llama Nemotron AIモデルを活用しており、企業に信頼性のある高度な推論機能を提供するもので、それによりAIエージェントは自律的に動作し、より正確で透明性と制御性を備えた意思決定が可能になるため、人間はより重要な判断が求められる業務に集中でき、効率的にビジネス価値を向上させることができるようになるとアクセンチュアでは説明している。
2025年末までに100を超す業界特化型のAIエージェントソリューションを開発
同社では、今後数か月で50を超える業界特化型のAIエージェントソリューションの開発に取り組み、2025年末までに100を超えるソリューションを開発することを目指しているとのことで、2025年4月時点で通信、金融サービス、保険、製造、ヘルスケア、小売りなどの業界向けのAIエージェントソリューションが利用可能だとしており、例えば企業の財務業務向けには、時間のかかる手作業のプロセスにより、リスクの増加、遅延、競争力の低下といった課題に対し、データに基づいたリアルタイムな洞察を提供して、意思決定を強化し、非効率性を削減して顧客満足度を向上させることを可能とするほか、注文の検証、請求書の照合、売掛金管理を自動化することで、財務業務の合理化を推進することを可能とするという。また、コールセンター業務では、コールセンターのオペレーターが回答に必要な情報に迅速にアクセスできるように支援し、業務効率を向上させることを可能とするとしている。具体的には、顧客との会話履歴を基に、AIエージェントがアシスタントとして洞察を提供し、パーソナライズされた推奨事項を作成することで、人間のオペレーターが最高のサービスを提供することを支援するとのことで、これによりコールセンターでの問い合わせ対応から処理までの時間を1/25に短縮できると推定され、これは通話効率に換算すると2.6倍の向上、通話全体の正確性では24%の向上に相当するという。
なお、同社が行った調査によると、企業の3分の1以上がリスク管理、クレーム処理、引受、研究開発などのバリューチェーンにおける主要プロセスに対して、特定業界向けにカスタマイズされたソリューションを少なくとも1つ以上導入しており、これらの組織は期待を超えるROIの実現性が3倍高い傾向にあることが示されたという。