リコージャパンは4月7日、ワークプレイスエクスペリエンス(以下、WE)事業に関する記者説明会を開催した。WEとは、社員がオフィスで働く際に感じる体験や印象を向上させることを目的とした取り組み。
同社は働きやすい環境整備やコミュニケーションの促進、テクノロジーの活用などを実現するソリューションを統合して提供し、顧客の競争力強化や生産性の向上、社員エンゲージメントの向上などを支援するという。
ワークプレイスの市場動向
企業は人手不足への対応やDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上、多様な働き方の実現といった経営課題を抱えている。新型コロナウイルスの影響が落ち着いたことでオフィスの役割を見直す企業が増えた。コロナ禍ではリモート勤務が急速に普及したが、アフターコロナへと移行したことで出社回帰やハイブリッドワークの導入もみられる。
リコージャパンのデジタルサービス企画本部の本部長である宮本裕嗣氏は「出社への回帰でオフィスの再構築が企業の経営課題となっており、今後はオフィス・自宅・現場がシームレスに連携された働き方が求められる。従業員間のコミュニケーション拠点など、リモート勤務では実現できなかったワークプレイスのデザインが必要とされる」と、市場を分析してみせた。
WE展開のコンセプトは「RICOH Smart Huddle」
リコージャパンがWE事業を展開する際のコンセプトは「RICOH Smart Huddle」。デジタルサービスとワークプレイスデザインを組み合わせて、顧客の働く環境の課題検討からオフィス移転・リニューアル後の運用までプロジェクト全体をワンストップでサポートする。
宮本氏によると、同社の強みは内作で施工を担う人材だという。一級建築士や1級建築施工管理技士、第一種電気工事士をはじめ、ワークプレイス構築に欠かせない有資格者の専門家を社内に抱え、プロジェクト全体を包括するチームを組成しプロジェクトを推進する。
さらに、不動産の建築設計やビル管理を手掛けるリコークリエイティブサービスや、ソフトウェアの構築・保守運用を手掛けるリコーITソリューションズなど、オフィス空間構築に関与するグループ会社の強みも集結する。
WE事業2025年度の強化ポイントは?
リコージャパンは2025年度、ハイブリッド環境での情報共有を支援するAV(Audio / Visual)システムのインテグレーション・マネージドサービスと、オフィス空間の構築と運用を支援する空間マネジメント事業を強化する。これにより、顧客のオフィスの価値最大化に貢献する。
これらを実現するために、まずは人材育成を強化する方針。具体的には、ワークプレイスにデジタルサービスを組み合わせて空間や働き方をコーディネートできる人材の社内認定制度「スマートハドルスペシャリスト」を新設し、2026年度までには90人の認定を目指す。
宮本氏は「WE事業は現状200億円規模の事業。具体的な金額は公表していないが、オフィスの価値向上に資するソリューションの強化と、スマートハドルスペシャリストをはじめとする人材育成によって、さらなる事業成長を目指していく」と述べた。