ワークマネジメントプラットフォーム「Asana」を提供するAsana,Inc.(以下略、Asana社)の日本法人アサナジャパンは5月15日、「Asana」のAI機能「Asana intelligence」各種新機能の開発ロードマップとアサナジャパンが日本で行ったイノベーションに関するアンケートレポート「働き方改革の現在地:2024年日本」の記者説明会を行った。
ワークマネジメントプラットフォーム「Asana」のライナップとロードマップ
プロジェクト管理やタスク管理を包括する"ワークマネジメント"による生産性向上を掲げる同社の「Asana」。世界190ヵ国100万以上のチームが利用するワークマネジメントプラットフォーム「Asana」。その力はどこにあるのか?説明会では、アサナジャパン ゼネラルマネージャー 立山 東氏が、「Asana」のビジネス概要と製品のコンセプトについて説明を行った。
同氏は「Asana」について、単なるタスク管理やワークフロー管理などの自動化を行う業務ツールではなく、プロジェクト管理や、経営資源を管理するポートフォリオ、経営目標の効果的に設定までを含む上位概念としての「ワークマネジメント」を体現するサービスとなっており、それを実現する「プラットフォーム」であると強調した。
Asanaにはプロジェクト管理やタスク管理をはじめとした多数のツールや300近くのアプリ連携を備えるが、ミッション、ポートフォリオ、プロジェクト、タスクとこれらを包括した機能を提供することで組織におけるワークマネジメントを提供できる点に特徴がある。
これらの多彩な機能にAIを使った機能が加わることになる。アサナジャパン ソリューションエンジニア リード 内山 雄太朗氏が「Asana」製品の概要とAI機能「Asana Intelligence」のツール群のロードマップについて説明を行った。
同氏は、「Asana」を支える基本となる機能である「Asana Work Graph」の機能「タスク」「プロジェクト」「ポートフォリオ」「ゴール」「ミッション」の説明と「Asana」のAI機能「Asana Intelligence」ですでにリリースされている機能「スマートステータス」を紹介。同機能は、AIがリアルタイムの業務データからプロジェクトのステータス更新データを自動生成し、ビジネスの進捗状況、リスク、業務改善方法を自動的に強調表示する。
AsanaではAIを活用したサービス提供するにあたって、安全性と透明性の高いAIを導入する「透明性と責任意識」、外部システムやサービスとの連携を考えた「インパクトの最大化」、セキュリティガバナンスを重視した「対規模展開でも安心」の3つのテーマを掲げ、それぞれテーマに合わせたAIサービスのラインナップを用意しており、リリースのロードマップも発表している。
「Asana Intelligence」で提供する予定のAIサービスライナップはサービス名が与えられたものから、個々の連携サービスを含めて複数存在する。すでに開発を完了し提供を行っているのが、上記の「スマートステータス」他、タスク管理系の機能では、タスクやコメントからアクションアイテムや重要事項を確認しSlack上でタスクの情報を要約し表示する「スマートサマリー」、AIが返信文を作成する「スマートエディター」も備わる。
プロジェクト関連ではタスクやプロジェクトの質問に対応する「スマートアンサー」、特定の期間内にプロジェクトで発生した内容を要約する「スマートダイジェスト」、カスタムフィールドを自動生成しプロジェクトを整理する「スマートフィールド」がリリースされている。
近日リリースを予定しているのが「スマートワークフロー」「スマートオンボーディング」「スマートゴール」の3つの機能で、「スマートワークフロー」はAIにプロンプトで簡単な指示を出すことで特定の目標やベストプラクティスに対応する最適化されたワークフローを作成する。
「スマートオンボーディング」は、新入社員などの別部署の人員がプロジェクトやチームに参加する場合、迅速に順応できるように、必要な情報の提供を行う。
「スマートゴール」は、AIがベストプラクティスにもとづき目標のドラフトを作成し提案を行う。上記以外にもMicrosoft 365との連携機能、既存のワークフローとの連携確認や「Asana Intelligence」を含む「Asana」の新機能のテストを行う「サンドボックス」などの機能提供が予定されている。そして、今後リリース予定の開発中の機能として「スマートワークロード」「スマートプランニング」「スマートレポート」「スマートサーチ」「スマートプロジェクト」などがラインナップされている。
日本におけるイノベーションの浸透とそれを阻むものとは?
同日に、同社のワーク・イノベーション・ラボ(Work Innovation Lab)が日本における「イノベーション」について調査したレポート「働き方改革の現在地:2024年日本」の発表も行われた。調査は2024年3月22日から27日、18歳から65歳以下のビジネスパーソン20,444人(内訳、Executive:260人、マネージャー:512人、一般社員:1,272人)を対象に日本国内で行ったWeb調査。レポートの発表はラボの代表 Dr.Rebecca Hinds(レベッカ・ハインズ博士)が行った。
レポートでは、「自分の会社が非常に革新的だと考えている日本のナレッジワーカー」の割合が18%という低い数値であること、その一方で日本は、米国に次ぐ二番目に革新的な国であるという評価を行っていることを発表。また、組織が革新的なアイデアを受け入れていると回答した者が32%で、会社が革新的なアイデアに対して完全に閉鎖的だと回答した者が25%と相反する回答が出る中、経営幹部は一般社員に比べてアイデアに対してオープンであると52%の高い割合で回答するなど、組織内においてもイノベーションに対する考え方、浸透度合いなどに大きな認識の違いがあることが分かった。
博士はイノベーションを実現する必須の要素として、「キャパシティ(Capacity)」「レジリエンス(Resilience)」「ベロシティ(Velocity)」「コネクション(Connection)」の4つ特徴を重視し、日本のイノベーションの分析を行っている。
「キャパシティ」は、生産性を阻害する要因である過剰な会議や細分化されすぎたコラボレーションツール、それに伴うデジタル疲れなどで、これらの要素が大きいとイノベーションの進化が滞るという。調査では、非生産的な会議に浪費している時間について、米国の6時間に対して日本では11時間と倍近くなっているなど阻害要因が多いことがわかる。
「レジリエンス(Resilience)」は、個人が去ったとき組織がどれくらい安定しているかを表すもので、アンケートでは「2年後も同じ会社で働いているだろうと確信している日本のナレッジワーカーの割合」が46%など、ほぼ半数が転職を意識していることが判明、終身雇用型システムを続けていた日本が変わりつつあることがわかる。