米オラクルは5月2日(現地時間)、コンバージド・データベースの最新リリース「Oracle Database 23ai」 のクラウドサービス版の提供開始を発表した。同リリースには、300を超える主要機能が追加されている。

「Oracle Database 23ai」は、「Oracle Cloud Infrastructure (OCI) 」上の「Oracle Exadata Database Service」、「Oracle Exadata Cloud@Customer」、 「Oracle Base Database Service」、「Oracle Database@Azure」で利用可能。

Oracle Database 23aiはすべてのOracle Cloud AIサービスと連携できるほか、AI機能はすべてのデータベース・エディションに含まれ、追加コストは不要。

AI対応を強調するため、名称を変更

今回、画期的なAIテクノロジーが含まれている点を強調するため、リリース名が「Oracle Database 23ai」と変更されている。同社は、データのためのAIをシンプルかつスケーラブルに提供することを標榜している。

「データのためのAI」として、提供される主な新機能は以下の通り。

Oracle AI Vector Search

「AI Vector Search」により、特定の単語、ピクセル、データ値ではなく、概念的内容に基づいてドキュメント、画像、リレーショナル・データを検索することができる。

「AI Vector Search」では、大規模言語モデル(LLM)は自然言語インタフェースを用いて非公開のビジネスデータをクエリし、正確で関連性の高い結果を提供できるようになる。開発者は、新規および既存のアプリケーションにセマンティック検索機能を簡単に追加することが可能になる。

ビジネスデータとベクトルデータを同一のデータベースに格納・処理することで、ユーザーは既存のビジネスアプリケーションに「AI Vector Search」をシームレスに統合できる。

Oracle Exadata System Software 24ai

Exadataスマート・ストレージは、「AI Vector Search」を高速化するため、アプリケーションは膨大なデータセットと大規模なユーザーベースに対してAIベクトル検索を実行できる。

OCI GoldenGate 23ai

「GoldenGate」は、異種クラウド環境上のデータストアにまたがるデータ統合と高可用性を実現する機能。「GoldenGate 23ai」は、異なるベクトル・ストア間において、リアルタイムでベクトルデータを複製できる新機能を提供する。

また、既存のデータベースから「Oracle Database 23ai」にデータを複製し、ベクトル化および索引付けをすることで、AIによる高速検索を実現する。

  • オラクルはデータのためのAIを提供する

ミッションクリティカルなデータの扱いをシンプル&スケーラブルに

「Oracle Database 23ai」では、以下のように、ミッションクリティカルなデータをアーキテクチャの観点からシンプルかつスケーラブルに扱えるようにするための機能拡張も行われている。

Oracle Globally Distributed Database with RAFT

「Oracle Globally Distributed Database」では、クラウド上のデータを複数の場所にある複数の物理データベースに分散して格納しながら、アプリケーションに対しては単一のデータベース・イメージを提供することを可能にする。

今回、これらの物理データベース間にRAFTレプリケーションを導入し、データ損失ゼロの自動フェイルオーバーを数秒で実現する。RAFTは安全な State Machine Replicationを実装するための分散合意アルゴリズム。

RAFTレプリケーションはアクティブ/アクティブで、各シャードはデータのサブセットに対する読み取りと書込みを処理できる。この機能により、プライマリまたはスタンバイ・シャードがない均一な構成が提供される。

データベース内部のレプリケーションをRAFTベースのプロトコルで統合することで、フォルト・トレラントな分散データベースの作成と管理を簡素化するという。

Oracle True Cache

True Cacheは、インメモリで動作し、一貫性を維持しながら、アプリケーションに対し透過的で、高性能な中間層キャッシュ。「Oracle True Cache」は、データベースサーバの負荷を軽減しながら、アプリケーションの応答時間を短縮する。他の中間層キャッシュと異なり、「True Cache」では、トランザクションにおけるあらゆる時点でのデータの一貫性が自動的に保持される。

「True Cache」は、「Oracle Database」の機能を中間層キャッシュに拡張し、Oracle SQL、JSON、およびGraphのすべてのクエリ機能へのアクセスを提供する。

データベース内SQLファイアウォール

「Oracle Database 23ai」に組み込まれている「Oracle SQL Firewall」は、ハッカーや侵害された内部アカウントからのリスクに対処するためのソリューションを提供する。これにより、SQLインジェクション攻撃を含む不正なSQLからデータベースを保護する。