LegalOn Technologiesは4月9日に事業戦略発表会を開催し、新たなプラットフォームサービス「LegalOn Cloud」の提供開始と、森・濱田松本法律事務所との業務提携について発表した。また、北米に加えてイギリスでの事業展開も開始し、グローバルでの競争力を強化する。

  • 事業戦略発表会に登場したLegalOn Technologies 代表取締役 執行役員・CEO 角田望氏

    事業戦略発表会に登場したLegalOn Technologies 代表取締役 執行役員・CEO 角田望氏

AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を提供開始

今回発表したLegalOn Cloudは、同社が提供しているAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」およびAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」の開発を手掛ける中で培った自然言語処理と機械学習の技術に加えて、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)も活用して、契約業務だけでなく法務業務全体を包括的に支援する。

  • 法務業務全般を支援するという

    法務業務全般を支援するという

まずは2024年4月時点で、案件相談や法務相談が可能な「ワークマネジメントサービス」と、契約書の作成やレビューが可能な「レビューサービス」の2つのサービスをリリース。今夏をめどに契約書管理を支援する「コントラクトマネジメントサービス」をリリース予定だ。以降は、書籍・法令・ガイドラインなどの調査ができる「リサーチサービス」や「電子契約サービス」なども順次追加予定としている。

  • 今後のサービスリリース予定

    今後のサービスリリース予定

LegalOn Cloudは、関係者間のやり取りや過去の類似案件、修正履歴といった社内のナレッジだけでなく、書籍・法令・ガイドラインなど社外のリソースも集約して、さまざまなデータを体系的に管理する。AIが蓄積された情報を体系的に整理することでリーガルドキュメントグラフを作成、リーガルドキュメントグラフを基に、AIが情報をレコメンドする。

同サービスのプロダクトマネージャーを務める谷口昌仁氏は、サービスの特長について「LegalOn Cloudはユーザーが作業するすべてのタッチポイントにおいて情報を収集し、AIによってそれらの整理とひも付けを実行する。リーガルドキュメントグラフがあるからこそ情報が適切に整理されるだけでなく、AIが各ユーザーにとって最適な情報をレコメンドしてくれるようになる」と説明していた。

  • LegalOn Technologies 執行役員・CPO(Chief Product Officer) 谷口昌仁氏

    LegalOn Technologies 執行役員・CPO(Chief Product Officer) 谷口昌仁氏

企業法務においては、一つの契約書に対して、依頼部門とのやり取りや法務部門内でのやり取り、顧問弁護士とのやり取り、修正履歴、関連する過去の契約など、さまざまな情報が付随する。こうしたさまざまな情報を一元管理し、法務業務全体をカバーするプラットフォームとして展開する。

同社は発表会時点で提供価格は未公開としているが、すでに200社以上での導入が決まっているそうだ。現行サービスのLegalForceおよびLegalForceキャビネも引き続き提供を継続するが、将来的にはLegalOn Cloudにも同様の機能を搭載しサービスを統合していくという。

  • リーガルドキュメントグラフのイメージ

    リーガルドキュメントグラフのイメージ

森・濱田松本法律事務所との業務提携を開始

LegalOn Technologiesは森・濱田松本法律事務所との業務提携を開始する。ちなみに、LegalOn TechnologiesのCEOを務める角田望氏は同事務所が古巣である。今回はそうした縁も提携のきっかけになったとのことだ。

森・濱田松本法律事務所は国内案件と国際案件の双方で保有する専門性と実績を、今回の業務提携で提供するとしている。まずはLegalOn Cloud上で2024年夏をめどに提供開始する法務コンテンツにおいて、同事務所監修のM&Aや国際取引に関するひな形と、それらに付随する解説記事を提供する。

  • LegalOn Technologiesは森・濱田松本法律事務所との業務提携を発表した

    LegalOn Technologiesは森・濱田松本法律事務所との業務提携を発表した

森・濱田松本法律事務所のパートナー弁護士である飯田耕一郎氏は「弁護士という文系の領域にいち早く自然言語処理などのテクノロジーを取り入れるLegalOn Technologiesの活躍を見てきた。提携のきっかけはどちらからともなく、次第に互いの目指す方向が一緒であることが分かってきた」と、業務提携に至った経緯を紹介した。

加えて「われわれが培ってきた精鋭の弁護士の力量をフルに活用して、LegalOn Technologiesのデジタル処理技術を掛け合わせることで、これから素晴らしい法律サービスを作っていきたい」との意気込みも示していた。

  • 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 飯田耕一郎氏

    森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 飯田耕一郎氏