STマイクロエレクトロニクスは、100Vの入力耐圧と低い入力オフセット電圧を持ち、ゲインを内部で固定とすることで、通常ゲイン設定や保護回路に必要な外付け部品を不要とした双方向電流センスアンプ「TSC2020」を発表した。

サーバや電動工具、モータ制御、電源などの電流検出回路向けに開発された製品で、-4V~100Vの入力コモンモード電圧範囲を備えており、48Vシステムなどの高電圧で使用でき、ハイサイド/ローサイド電流センスアンプに最適だと同社では説明している。また、高精度アナログ回路により、入力オフセット電圧は±150μVに抑えられており、外付けシャント抵抗の小型化と、抵抗による損失の削減が可能なほか、高精度化により小さい電位差を扱うことができるため、測定誤差を小さくすることもできるとしている。さらに、同相信号除去比(CMRR)は100dB以上で、インラインでのモータ制御といったアプリケーションにおいてコモンモード電圧変動に対する耐性を備えているとするほか、PWM除去の強化により、モータドライブやスイッチング電源において高いノイズ耐性を発揮するともしている。また、20V/Vの固定ゲインを持ち、外付け部品を抑えて部品数の削減を可能としたほか、ゲイン誤差0.3%およびゲインドリフト3.5ppm/℃という精度と安定性も実現しているとする。

このほか、AEC-Q100にも準拠しており、モータ制御ウィンドウ開閉装置や、バッテリ・マネージメント・システム(BMS)、トラクション・インバータなどの車載アプリケーションにも使用可能だともしている。

なお、同製品はすでにSO8またはMini SO8パッケージで量産出荷を開始しており、1000個購入時における単価は約1.20ドル。産業用および車載用製品のいずれも、同社の10年間の長期製品供給保証プログラムの対象製品だという。