住友ベークライトが台湾高雄市で進めていた半導体封止材製造子会社の新工場建屋が竣工し、3月4日に同社の藤原一彦 代表取締役社長や高雄氏の陳其邁 市長らが参列する形での竣工式典が開催されたと高雄市経済発展局が発表した。

  • 住友べ―クライトの半導体封止材の台湾子会社「台湾住友培科」の高雄新工場竣工式

    住友べ―クライトの半導体封止材の台湾子会社「台湾住友培科」の高雄新工場竣工式の様子 (出所:台湾高雄市 経済発展局)

陳其邁市長は式典の祝辞として「グローバルサプライチェーンの再編により、台南から高雄に至る台湾の『半導体S回廊』(台南市の南部サイエンスパークの台南パークや高雄市の路竹パーク、橋頭パークにTSMCやWinbondなどの半導体工場が集積、高雄市南部の大社、仁武、大寮、林園、小港などに半導体材料製造拠点が形成されており、台湾当局はこれらを南部半導体材料S字型回廊集積計画とし、2030年までに完成することを目指している)の形成が加速している」と指摘し、TSMCの最先端となる2nmプロセス対応工場をはじめ、台湾のパッケージング業界リーダーであるASE、多くの先端プロセス研究開発企業などが高雄への投資を加速していることに触れ、「高雄市は、将来的には5G、AIoT、航空宇宙、医療、電気自動車、ドローンなどの下流産業が、すでに世界中から集結しつつある上流、中流産業とともに完全な半導体産業エコシステムを構築することにより、世界の半導体産業の新たな中心となるだろう」と高雄市が今後の半導体産業の中心地の1つとなることへの期待を述べた。

  • 台湾住友培科に増築された新建屋の外観

    台湾住友培科に増築された新建屋の外観 (出所:台湾高雄市 経済発展局)

また、式典に出席した住友ベークライトの藤原社長は、「台湾の住友ベークライト子会社(台湾住友培科)は1999年から高雄で半導体封止材の生産を行ってきており、台湾を代表する半導体封止材企業として、世界市場トップシェアを獲得している。こうして25年にわたって培ってきた半導体パッケージ材料市場に向けて新工場の稼働によって供給能力が2倍に引き上げられることにより、台湾半導体市場における地産地消の力をさらに強化し、高雄市のパッケージング・テストコミュニティの形成と高雄市の半導体エコシステムの確立に貢献していく」と述べている。