Synopsysは1月16日(米国時間)、シミュレーションソフトウェアなどを手掛けるAnsysを買収することで合意したことを発表した。

買収はAnsys株1株につき197ドルの現金とSynopsys普通株0.345株の株式交換で行われ、合算した金額は390.191ドルとなり、総額は約350億ドル(1ドル147円で換算すると約5.1兆円)となる。

  • 今回の買収の概要

    今回の買収の概要 (出所:Synopsys)

SynopsysはEDA大手で、長年にわたって半導体設計のためのツールを提供してきたほか、近年はソフトウェアセキュリティなど対象分野を広げてきていた。一方のAnsysは広範なシミュレーションツールを手掛けてきており、半導体設計でも活用されてきた経緯がある。

  • Synopsysの事業概況

    Synopsysの事業概況 (出所:Synopsys)

  • Ansysの事業概況

    Ansysの事業概況 (出所:Synopsys)

今回の買収に伴い、両社はSynopsysのEDAとAnsysのシミュレーションや分析機能を組み合わせることで、包括的で強力なシステム中心のアプローチを提供できるようになると説明しているほか、EDAの中心である半導体業界に加え、Ansysの有する自動車、航空宇宙、産業機器などの各種業界にもアプローチできるようになることから、高い補完性を有し、統合により成長の機会を高めることができるようになるともしている。

  • ,Ansysのセグメント別売上高

    Ansysのセグメント別売上高の概要 (出所:Synopsys)

なお、この買収は、Ansys株主の承認ならびに各国の規制当局の承認などを経て、2025年上半期に完了する予定だという。

  • Synopsysが描く半導体設計の将来イメージ

    Synopsysが描く半導体設計の将来イメージ。3D IC化が進むと、ダイが重なりあうことで発せられる熱や応力、電磁波など、これまでとは異なる解析が求められることとなり、シミュレーションの重要性が増すこととなる (出所:Synopsys)