TSMCが、NVIDIAをはじめとしてAI半導体に対する製造委託の急増を受け、同社の2.5Dパッケージング技術「CoWoS」の生産能力増強に向け、6番目の後工程ファブ(Advanced Backend Fab)の建設を2024年より開始するほか、7番目の後工程ファブも台湾の南部科学園区(南科)嘉義園区(嘉義県太保市)や雲林県を候補地として検討していると台湾の設備業者からの情報として台湾経済紙の工商時報が報じている

嘉義県や雲林県は、TSMCが高雄市に建設中の2nmプロセス前工程工場や、台中市の中部科学園区(中科)に建設するとみられている1.4nmプロセス前工程工場の中間に位置し、地理的に利便性があるとサプライチェーン関係者はみているという。

このほか、TSMCは2023年7月、新竹科学園区(竹科)銅鑼園区(苗栗県銅鑼郷)に先進封止工場を建設する計画を明らかにしており、こちらは2024年末までに着工し、2027年第3四半期までに量産を開始する予定だという。

TSMCがWebサイト掲載されているファブ一覧を見ると、後工程工場は台湾に5つ。今回の報道はそこにさらに2つの後工程工場を追加することとなる模様であう。

  • Advanced Backend Fab 1:新竹
  • Advanced Backend Fab 2:台南
  • Advanced Backend Fab 3:桃園
  • Advanced Backend Fab 5:台中
  • Advanced Backend Fab 6:竹南(苗栗県)/TSMC初の全自動後工程工場
  • Advanced Backend Fab 7(仮):銅鑼(苗栗県)、2024年着工予定
  • Advanced Backend Fab 8(仮):嘉義県か雲林県、未発表

TSMCの先進パッケージングでの競合はIntel

また、台湾の半導体業界関係者によると、TSMCの創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏が先進パッケージング分野で意識している競合はIntelであり、同社の2.5D/3Dパッケージング技術分野における存在感の高まりを危惧し、TSMCではCoWoSを始めとした先進パッケージング技術の生産能力拡大を積極的に進めようとしているという。

Intelによると、同社のファウンドリ事業であるIntel Foundry Service(IFS)はある程度の顧客を獲得することに成功しており、TrendForceのファウンドリ市場調査では2023年第3四半期の売上高ランキングに9位に入ってくるなど、存在感を徐々に増してきている。また、Intel 18Aの立ち上げに伴い、本格的なファウンドリサービスの提供を開始するともしており、今後、その存在感が増していくことが予想される。