Datadogは12月21日、「コンテナ利用実態調査」を発表した。発表に先立ち、同20日に記者説明会をオンラインで開催。調査は2023年9月に同社の顧客である数万の企業の24億を超えるコンテナからの使用データをもとにした。

コンテナ採用企業の46%がサーバレスコンテナを使用

これによると、コンテナ採用企業の46%がサーバレスコンテナを使用し、2021年の31%から増加。サーバレスコンテナを実行しているコンテナ採用組織の割合は、Gppgle Cloudが同年の35%から68%に増加し、昨年8月にリリースされたマネージドコンピューティングプラットフォーム「Cloud Run」を機に増加したという。

  • コンテナ採用企業の46%がサーバレスコンテナを使用しているという

    コンテナ採用企業の46%がサーバレスコンテナを使用しているという

Datadog Japan シニアテクニカルエバンジェリストの萩野たいじ氏は「コンテナの利用が成熟するにつれ、多くの組織がサーバレスコンテナを運用のオーバーヘッドを削減するとともに、開発の俊敏性を高めてコストを削減している。これらの数値の根拠はのうち、AWS FargateやGoogle Kubernetes Engine、Azure Container Instanceなどを、どれか1つを利用していればサーバレスコンテナを使用していると定義している」と説く。

  • Datadog Japan シニアテクニカルエバンジェリストの萩野たいじ氏

    Datadog Japan シニアテクニカルエバンジェリストの萩野たいじ氏

また、コンテナでのGPU使用量は増加傾向にあり、コンテナ化されたGPUインスタンス時間の対前年増加率は58%となり、最近では機械学習やLLM(大規模言語モデル)の効率的な学習、推論の実行などの利用増加に伴いコンテナ化されたGPUベースのインスタンスが使用する計算時間の増加によるものとなる。

同氏は「AIや機械学習などのワークロードに必要なデータ処理の規模が大きくなっていることから、コンテナ上のGPUベースのコンピュートの成長がある」と推察している。

  • コンテナでのGPU使用率は増加傾向にある

    コンテナでのGPU使用率は増加傾向にある

さらに、マネージドKubernetesサービスを使用しているArmベースのコンピュートの採用率は2.6%から7.1%に増加し、この1年で2倍以上に増加。x86ベースのインスタンスと比較するとコストを20%削減できるという。Armに移行する組織が予想されるが、使用するプログラミング言語やライブラリ、フレームワークなどの互換性を確認することが肝要だという。

Kubernetesを採用する組織の50%以上がHPAを活用

Kubernetesを採用する組織の過半数がHPA( Horizontal Pod Autoscaler:水平ポッド自動スケーリング)を使用し、2021年の40%から50%以上に拡大した。また、HPAを利用するKubernetesの採用組織の80%以上はクラスタの過半数でHPAを利用している。

  • Kubernetesを採用する組織の50%以上がHPAを活用

    Kubernetesを採用する組織の50%以上がHPAを活用

HPAはクラウドコンピューティングの主な利点は需要の変動に合わせてインフラを拡張でき、Kubernetesではサポートする方法。負荷に応じて、ポッドのデプロイやスケールバックを可能とし、組織はトラフィックの急増時にはスムーズなUX、アプリのパフォーマンスを維持する。アクティビティが低いときには実行中のポッド数を自動的に調整し、インフラコストの削減を柔軟に行える。

加えて、Kuberrnetesのワークロードの大半はリソースを十分に活用できておらず、Kubernetesユーザーはコンテナが最低限のリソースにアクセスできるようにリクエストすることが可能だが、Kubernetesワークロードの65%以上でリクエストされたCPU使用率、メモリ使用率ともに半分未満となっている。「ワークロードのサイジングの最適化が、いかに困難であるかということを物語っている」という。

コンテナの主要なワークロードはデータベースがトップ

一方、コンテナの主要なワークロードはデータベース、Webサーバ、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)、メッセージング、アナリティクス、ストリーミング、内部的な開発プラットフォームの順となった。

萩野氏は「コンテナエコシステムは、ステートフルなアプリケーションをコンテナ上にデプロイしたい、というニーズを満たすために成長している。Kubernetes Ver 1.9でリリースされたステートフルセットは、Podの再起動時にデータを永続化できるようになっており、ボリュームスナップショットやダイナミックボリュームプロビジョニングなどの追加機能でデータをバックアップして、ストレージを事前にプロビジョニングする必要がなくなった」と説明した。

  • コンテナの主要ワークロードはデータベースとWebサーバ

    コンテナの主要ワークロードはデータベースとWebサーバ

また、コンテナで最も人気の開発言語は引き続きNODE.JSがトップとなり、次いでJava、Python、Go、Ruby、PHP、C++、.Netと続き、1000台以上のホストを持つ組織んお40%以上がサービスメッシュを使用。さらには、コンテナランタイムは2021年のDocker一強状態からcontainerdの採用比率が昨年比で倍増以上に増加したことに加え、多くのKubenetesユーザーが新しいバージョンにアップデートしているという。

  • コンテナランタイムはDockerに代わりcontainerdが増加

    コンテナランタイムはDockerに代わりcontainerdが増加

萩野氏は「コンテナの導入により、サーバレスのアプローチでは企業がコンテナの実行・保守、スケーリングに必要なインフラのプロビジョニングや管理などを必要としないためマネジメントが容易になる。加えて、クラウドプロバイダーがサバ―レスコンテナを管理するため、リソースの使用やクラウドの支出などを最適化できるため、コストを削減できる。そして、GPUコンピューティングの実装が容易になる」と最後に結んだ。