中国政府商務部(日本の経済産業省に相当)は11月3日、王文濤商務部長(商務大臣)がMicron TechnologynのSanjay Mehrotra CEO兼社長と11月1日に北京で会談し、Micronの中国での事業展開を歓迎する意向を示したことを明らかにした。

  • 握手を交わす2人

    握手を交わす中国商務部の王部長とMicron TechnologyのSanjay Mehrotra CEO兼社長 (出所:中国政府商務部)

王部長は、中国は「断固としてレベルの高い対外開放を推進し、外資による投資環境を最適化し、外国企業にサービス保証を提供する」としたうえで「Micronが引き続き中国市場に根付き、中国の法律や規制を遵守しながらより良い発展を遂げることを歓迎する」と述べたという。米中間の緊張緩和に向けた融和姿勢を示唆したものと関係者は見ている。

中国商務部によれば、Sanjay Mehrotra氏は王氏にMicronの事業展開を紹介し、今後も中国への投資を拡大していく意欲を示したという。

2023年5月、中国政府にてインターネット・サイバーセキュリティ取り締まりを担当するOffice of the Central Cyberspace Affairs CommissionおよびCyberspace Administration of China(CAC:国家インターネット情報弁公室)は、中国で販売されているMicronの製品が主要な情報インフラストラクチャのサプライチェーンに重大なセキュリティリスクをもたらし、中国の国家安全保障に影響を与えることが判明したことを理由に「ネットワークセキュリティ審査不合格」との結論を下したと発表していた。これにより、Micron製品を中国の重要な情報インフラの運営者が購入することが事実上禁止されてきた。

この影響から、Micronの中国市場での売り上げが激減しており、それが業績悪化の要因の1つであることはMehrotra氏も決算説明会にて認めており、「中国でのこの逆風は短期的な需要に影響を及ぼすが、Micronは引き続き世界市場でのシェア維持に全力を尽くす」とコメントを出している。

なお、米国商務省による対中半導体輸出規制は、中国を最大市場としている多くの米国半導体企業にとっても影響が大きく、米国半導体工業会(SIA)やSEMIなどの業界団体を巻き込んで規制緩和のロビー活動を活発化させるとともに、米国半導体企業のトップ自らが中国に赴き、関係改善などに向けた取り組みを進めている状況にある。