NECは6月11日、TDKが製造するリストバンド型のウェラブルデバイスを用いて、心拍変動データなどから感情を可視化する「NEC 感情分析ソリューション」の販売活動を開始すると発表した。

  • 専用アプリケーションの画面イメージ

    専用アプリケーションの画面イメージ

新ソリューションは、NECと名古屋市立大学が共同開発を進めている感情分析が可能な感情認識技術と、クラウドサービスやTDKのウェラブルデバイスなどを組み合わせたシステム。特徴として「感情の見える化」「心拍変動データなどをリアルタイムに収集」の2点を挙げている。

感情の見える化では名古屋市立大学大学院医学研究科の早野順一郎教授が研究を進めている健康科学および医学における生体信号のゆらぎ解析の知見に基づき、日常生活下の心拍変動データから感情を可視化する感情認識技術を開発。

収集・蓄積した心拍変動データなどから対象者の交換神経と副交感神経のバランスを分析することで、「興奮・喜び」「ストレス・イライラ」「憂鬱・疲労」「穏やか・リラックス」といった感情変化を見える化し、専用アプリケーションで現在の感情や1日の感情履歴などを表示することで、企業は対象者の状態を把握できるため、必要に応じて業務支援や注意喚起を可能としている。

心拍変動データなどをリアルタイムに収集することに関しては、TDKが製造するリストバンド型のウェアラブルデバイス「Silmee W20」や、感情認識技術を実装したクラウド型の分析基盤を組み合わせることで、対象者の生体情報をリアルタイムに収集・蓄積できるという。

Silmee W20は心拍変動データの測定だけでなく、会話量測定・紫外線量測定・皮膚温度測定、食事時間検出、ボタン操作による第三者への緊急連絡などの機能を搭載しているほか、バッテリーの持続時間については2週間の連続使用が可能。

  • 「NEC 感情分析ソリューション」の特徴

    「NEC 感情分析ソリューション」の特徴

活用例としては、人材不足が課題となる業種での従業員の体調見守り支援や生産ラインでの感情起因の事故防止や生産性向上の支援、交通・物流業における就業中のドライバーの疲労検出や安全運転の支援、離職率の高い業種における従業員の感情負荷・ストレスの検出や予防の支援、会議やセミナー、イベントなどの参加者の盛り上がり度の見える化、サービス業などでの顧客対応時におけるサービス品質向上の支援などを想定している。

価格は月額1000円~/対象者1人あたり(ウェアラブル端末費、初期費は除く)、販売開始時期は2018年度下期を予定し、販売目標は今後3年間で90億円を計画している。