NTTドコモ(以下、ドコモ)とパナソニックは3月1日、省電力広域無線通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」を活用したIoT家電の実用化に向け、ビジネスモデル開発、技術開発、技術検証などを目的とした共同実証実験を実施することで基本合意したことを発表した。

2018年秋をめどに、東京、大阪、滋賀の3つの地域で、合計1,000台規模のLPWA通信機能対応家電を用いた実験を順次開始する。

低消費電力で長距離通信を実現するLPWAは、IoTに最適な無線技術として幅広い業界で関心が高まっており、ドコモは同技術を活用したネットワークサービスの提供に取り組んでいる。

一方、パナソニックは、クラウドサービスと接続するIoT家電を既に発売しているが、ユーザーが家電とネットワークの接続を個別に設定して利用する必要がある。LPWA機能が搭載されたIoT家電を実用化することで、インターネット回線が無い家庭でも電源を入れるだけで、LPWA通信技術を介してクラウドサービスが利用できるようになる。

パナソニックは、ドコモの対話サービス「自然対話エンジン」を活用して、スマートフォンからの番組検索や予約を行えるサービスを、2017年9月より、ブルーレイディスクレコーダー「DIGA」やポータブルテレビ「プライベート・ビエラ」向けに開始している。

両社は今後、LPWAを活用したより安全な家電や、AIを活用した快適な家電の企画・検討を進めるという。また、ドコモが2018年春より開始する、ユーザーの対話を通じて個々の要望に的確に応える「AIエージェントサービス」の利用も視野に、IoT家電向けクラウドサービスの企画・検討にも取り組むということだ。

この実証実験を通じて、LPWA通信技術を搭載したIoT家電の技術とビジネスモデルが確立できれば、本件は実用化フェーズに移行。将来的には年間数百万台規模のパナソニック製のLPWA対応IoT家電を、ドコモの全国規模の広域通信網を経由して両社のクラウドサービスに接続させ、IoT時代の新たな体験や価値創出を目指すとしている。