2017年の「SC(SuperComputing)」の開催地はコロラド州デンバーである。SC13がデンバーであったので、デンバーでの開催は4年ぶりということになる。会場のコロラドコンベンションセンターはガラスの壁越しに中を覗き込む巨大なクマの彫刻が飾られており、ファンが多い会場である。
スパコン最大の学会である「SC17」が11月12日に開幕した。12日はチュートリアルやワークショップが中心で、夕方の7時から前夜祭とも言えるGalaが催される。Galaでは展示場が開放されて、会場ではビール、ワインや食べ物が配られてビール片手に展示を見るという風景になる。
また、プレスに対しては、12日の正午から、SC17のBernd MohrジェネラルチェアーとTop500の主催者の事前説明会が行われた。
今回のSC17の参加登録は、11月12日(米国時間)の時点で1万1700人程度で、今後のオンサイトの登録者を加えると1万2000を超えるのは確実とのことである。現在の登録者のうち、アメリカ以外からの参加者が2800人程度とインタナショナルな参加者が多いという。
また、展示の数は334で、これは昨年の320より14展示多い。SC17で発表される論文は61件で採択率は18.65%と非常に狭き門である。
ちなみに今年から、プレス説明にTOP500の説明が加わった。説明者は、TOP500 BoFで毎年説明を行っているErick Strohmaier氏で、Jack Dongarra教授などが壇上に並んだ。
今回のリストでは、Top10の変更は2システムで、それは日本のPEZYグループのExaScalerが開発し、海洋開発研究機構(JAMSTEC)に設置した「暁光(Gyoukou)スパコン」が4位、米国のロスアラモス/サンディア国立研究所の「Trinity」が7位となったことである。これらの2システムは前回のリストにも入っていたが、規模を増大して性能をアップしてランキングを上げている。そしてそれ以外の4位以下のシステムは1もしくは2つずつランキングを下げ、日本のOakforest-PACSは9位、京コンピュータは10位となった。
また、TOP500に入ったシステムを性能/電力でランキングするGreen500では、PEZY ComputingとExaScalerのシステムが1位から3位を独占した。なお、4位はNVIDIAのGDX SaturnのVolta GPU版のシステムで、PEZY-SC2がVolta V100を抑えたという結果になった。Gyoukouシステムは規模が大きく、ネットワークの比率が高いことなどが影響して5位となった。
また、疎行列の計算の重要性が増していることから、TOP500リストにHPCGベンチマークの性能を記載するように変更したことが発表された。今回はHPCGの発表が行われたことから、Mike Heroux氏が壇上に並んだ。HPCG性能では、602.7TFlopsで今でも京コンピュータが1位である。