ライオンは、東芝デジタルソリューションズ、JFEシステムズと共同で「化学物質情報管理システム」を開発し、2017年11月よりライオンの国内すべての研究・開発拠点で運用を開始すると発表した。

化学物質情報管理システムのイメージ

「化学物質情報管理システム」は、ライオンが同社製品の開発において、原料、組成などのあらゆる関連情報の統合管理を行うもの。近年、EUにおけるREACH規則のように、化学物質の法規制強化やグリーン調達への要請は年々高まってきており、製造業では自社製品に使用する化学物質に関する情報について、関係するサプライチェーンを跨ってのきめ細かい情報収集と管理、情報の適時開示を行うことが求められている。

同システムは、「原料、製品組成に関するデータ」、「法令情報データ」のデータベースと「製品組成開発機能」で構成されており、データベースの作成にあたっては、JFEシステムズの商品情報統合データベース「Mercrius(メルクリウス)」をベースに、ライオンの多岐にわたる製品開発分野での知見・ノウハウと、東芝デジタルソリューションズの多様な業種・業態でのPLMソリューション提案実績や適用手法を活用し、3社が共同開発を行った。ライオンは、同システムを2017年6月に一部の製品分野で稼動し、2017年11月からは国内すべての研究・開発拠点での運用を開始するという。

同システムの導入により、従来、複数システムに分散していた約1万件の原料・化学物質情報、組成情報を一元管理でき、製品・原料・物質間のトレースが可能となる。また、製品に配合する原料を、法令により異なる物質区分の細かさに応じた階層構造にてデータベース化。法令情報データベースを併せることにより、原料および製品組成が関わる法規制情報の表示や法規に適合した物質名称・成分表示名称の表示が可能となる。さらに、法令改正により影響を受ける製品・原料の正確な抽出や製品で使用する化学物質に関する社外からの問合せに対する即時回答が可能となるほか、製品開発時の各種帳票作成に必要な情報の出力や、組成物の化学物質構成データ出力により、SDS作成業務を効率化するということだ。