オークマと日立製作所は、IoTを活用し、マスカスタマイゼーションに対応した高効率生産の先進モデル確立に向けた協創を開始し、オークマの新工場「Dream Site2」(愛知県丹羽郡)において実証モデルを立ち上げたことを発表した。

Dream Site2部品工場の特長(出所:日立ニュースリリース)

近年、製造業では、顧客の個別要求に応じた少量生産においても、大量生産並の生産力を実現するマスカスタマイゼーションへの対応が求められている。一方で、ものづくりの現場では、短納期品の割り込み受注や急な納期・仕様の変更による生産計画の変更が頻繁に繰り返され、生産性向上の妨げとなっている。

なかでも工作機械は「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ」つくる、高効率生産モデルの構築が重要であり、一個流し生産や急な変更指示に対して早期に把握し、作業指示の周期を速めることが必要となっている。

こうした課題に対しオークマは、2013年に愛知県丹羽郡に「Dream Site1」を立ち上げ、高効率でスマートなファクトリーの実現に向けた先導的役割を果たしてきた。そこで培ったノウハウを生かし、さらに進化した次世代ファクトリーの構築を検討してきたという。

一方の日立は、製造業として長年培ってきた経験を基にITとOTを融合したIoTプラットフォームなど、先進の研究開発力を活用した製造業向けのソリューションコアを開発・提供している。

進捗・稼動状況の監視システムの概念図(出所:日立ニュースリリース)

今回、オークマと日立は、「生産の見える化の進化」と「工場制御周期の高速化」をテーマに両社のノウハウを融合し、新工場DS2において、マスカスタマイゼーションに対応する高効率生産の実証モデルを構築した。

IoTを活用し、生産の進捗状況と設備の稼働状況を一元的に監視・見える化し、高度に分析できるシステムを開発・導入した。これにより、工程上のボトルネックの特定や全体最適での対策までのプロセス迅速化を可能にしているという。

また、次のステップとして、AIを活用し自動学習する先進のシミュレーション技術を駆使して、刻々と変化する現場の状況に応じて精度の高い生産スケジュールをダイナミックに自動生成するシステムへ進化させ、生産計画の最適化を図るという。

これらのシステムは、日立の「Lumada」の産業分野向けソリューションコアである、「生産計画最適化ソリューション(Production Planning Optimization/以下PPO)」の機能として提供しているということだ。

今後、オークマでは同生産モデルを、ほかの生産拠点への展開を検討するとともに、この実証を通じて得たノウハウや高付加価値マシンを、「ものづくりサービス」ソリューションとして製造業向けに提供していくという。一方の日立は、Dream Site2で実証を行う生産の見える化・最適化技術をPPOのひとつとして、積極的に事業展開を図っていくとしている。

なお、オークマと日立は、ビジネスパートナーとして両社によるサービス事業展開の協業モデルも検討していくとしている。