情報通信研究機構(NICT)、広島大学、パナソニックは2月6日、シリコンCMOS集積回路により、300GHz帯単一チャネルで毎秒105ギガビットの通信速度を実現するテラヘルツ送信機の開発に成功したと発表した。

3者からなる研究グループは昨年、300GHz帯で直交振幅変調(QAM)を用いることにより、CMOS無線送信器の通信速度が大幅に向上することを実証していた。今回、チャネルあたりの通信速度を昨年の6倍にする技術を開発したことで、1チャネルあたり毎秒100ギガビットを超える送信速度を達成。これをシリコンCMOS集積回路で実現したことにより、将来的に安価に電器製品等に搭載して普及できる可能性が高まった。

同研究グループは、今回の研究成果について、テラヘルツ帯の高速無線通信が、情報通信ネットワークなどのインフラに使用される光ファイバに匹敵する毎秒テラビットの通信能力に近づいたことが示されたと説明している。

テラヘルツ無線はその性質から、通信衛星への超高速リンクや、情報サーバから携帯端末へのコンテンツ高速ダウンロード、モバイルネットワークの基地局間通信、リアルタイム応答を必要とするアプリケーションでの利用などが期待されている。

なお同成果は2月5日~2月9日に米国・サンフランシスコで行われる「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC) 2017」にて発表される。

300GHz帯CMOS送信回路のチップ写真 (出所:NICT Webサイト)