帝京平成大学はこのほど、不安症に共通する疾患感受性遺伝子2カ所を発見したと発表した。

同成果は同大の音羽健司 教授と米国バージニア・コモンウェルス大学のジョン・ヘッテマ 准教授らの国際共同研究グループによるもの。1月12日(現地時間)の米科学誌「Molecular Psychiatry」に掲載された。

不安症とは、不安反応が過剰に長期間持続するため日常生活に支障をきたす疾患のことで、これまで神経症と呼ばれていた。同疾患には全般性不安症、パニック症、社交不安症、恐怖症などがあり、比較的頻度の高い疾患として知られている。これまでの研究から遺伝的要因が関与していることが報告されていたが、確立して遺伝部位は発見されていなかった。

今回の研究では、米国、欧州、豪州を中心とした研究者によるる国際共同研究グループを結成し、計1万8000人を対象とした全ゲノム関連解析のメタ解析を行い、不安症の発症に関与する遺伝子の探索を行った。解析は患者と健常者を比較する方法と、不安に固有の因子を用いて全対象者を調べる方法の2通りが実施された。

解析の結果、患者・健常者を比較する方法では3番染色体に位置する非コードRNA領域上の特定の遺伝子変異が、また全対象者を調べる手法では2番染色体に位置するCAMKMT遺伝子上の特定の遺伝子変異が不安症のなりやすさに関係することがわかった。

今後、これらの遺伝領域が不安症の発症に影響を与えるメカニズムを解明することで、新しい診断法や治療薬の開発、予防方法の解明につながることが期待される。