米MobileIronは11月5日(現地時間)、企業によるモバイルアプリの利用と保護の状況を含む「アプリセキュリティの現状」に関するホワイトペーパーを公開した。

これによると、同社の顧客企業では従業員用に社内で開発した30万件以上のアプリを使用していることがわかった。また、従業員は自分の使用する企業向けファイル同期・共有アプリ(EFSS)上に社内文書を保存し、機密性の高い社内データをIT部門の保護範囲外へ持ち出す可能性があるという。MobileIronの顧客企業では、ブラックリストに登録されているコンシューマー・アプリ上位10件のうち5件がEFSSアプリだった。

MobileIronの顧客企業で現在使用されているサードパーティ・アプリ(上位トップ10)

今後、業務のモバイル化が進むにつれて、データ侵害やサイバー犯罪も増加が予想される。モバイルアプリやオペレーティングシステムから機密データを盗む最近の攻撃事例では、多くの企業が対策を講じていなかったことが明らかになっている。

例えば、XcodeGhostマルウェアに感染したiOSアプリは、デバイスに関する情報を収集し、そのデータを暗号化して攻撃者が運用するサーバにアップロードできる。マルウェア検出を専門とするFireEyeは、App Store上で4000件以上の感染アプリを特定している。また、モバイルアプリのリスク管理を行う企業であるAppthorityは、iOSデバイスを100台以上保有する企業のほとんどにおいて感染したデバイスが1台以上見つかっていると報告している。

モバイルデバイスとアプリに関する難点は、IT管理者ではなく、おおむねユーザーが管理していることだ。デバイスはさまざまな理由でコンプライアンス違反となりうる。その例としては、ユーザーがデバイスをジェイルブレイクやルート化したケースや、デバイスがIT部門のサポート対象外となった旧バージョンのオペレーティングシステムを利用しているケース、あるいはユーザーがIT部門によってブラックリストに登録されているアプリをインストールしたケースなどが挙げられる。

実際に、調査対象企業の10分の1がセキュリティ侵害を受けたデバイスによる自社データへのアクセスを1回以上経験しており、53%が会社のセキュリティポリシーに違反したデバイスを1台以上保有しているという結果が出ている。

モバイルデバイスとアプリに関する難点

MobileIronのセキュリティ調査担当ディレクターであるマイク・ラッゴ氏は、「従来のセキュリティ技術では、このようなシナリオにおいて企業データを保護するために必要な対策を実行できない。これに対し、MobileIronでは、デバイスがコンプライアンス違反となった時、ユーザーへのアラート送信、デバイスおよびアプリからの社内リソースへのアクセスの遮断、あるいはすべての業務メールやアプリのワイプなど、企業情報を保護するための対策を自動的に実行できる」と述べている。