66万件の屋根パターンを蓄積

シャープのソーラー事業の強みは、モジュールの強みだけではない。

ソリューションという領域にまで広がっている点が見逃せない。

1つめは、モジュールの設置ノウハウの蓄積だ。

シャープでは、日本のソーラーパネル設置家屋の約半分にあたる約68万件の実績を持ち、それをもとにして66万件の屋根パターンをCADデータとして蓄積している。

「日本の屋根を最も知っているのがシャープ。サイズが異なる太陽電池モジュールを組み合わせることで、最も効率性が高い太陽電池モジュールの配置とともに、屋根と一体化した美しい外観を実現できる」とする。

かつての製品では、屋根形状にあわず効率的な設置ができず、デザイン性も悪い

ルーフィット設計により屋根形状にあわせた設置が可能になる

効率性が高く、デザイン性にも優れた設置ができる

また、モジュールで20年間、システム機器で15年間という長期無償保証もシャープならではのものだ。「これも、堺太陽電池工場でセルからモジュールまでを一貫生産するからこそ実現できるサービス」だと語る。

さまざまな形状のパネルを組み合わせることができる

2つめは、クラウド蓄電システムとの組み合わせだ。

蓄電池に「クラウド」という名称が付くように、クラウド上のサーバと連携することで、時間ごとの電気料金の変化や、それぞれの地域の気象の変化を捉え、蓄電する電気量を可変するといった制御が可能になる。これから雨が降るという予報が出ていた場合には、蓄電量を多めにするといった具合だ。

「クラウドにつながることで、賢く電気を使う暮らしを提案できる」と強調する。

シャープのクラウド蓄電池システム

クラウド蓄電池はサーバから最適な制御を行うのが特徴

新たな安全基準にも準拠

さらに、安全性の観点からも優位性を示す。

政府では、今年度から新たな安全基準として、震災対策基準を追加。電池本体に釘を指した試験や、筐体天面への加圧試験により、貫通や変形させたあとに、1時間内に発煙、発火、破裂しないことが求められるという厳しい内容になっている。

「シャープの蓄電池は、新たな厳しい基準をクリアするものになっている」と、向井常務執行役員は安全性にも自信をみせた。

クラウド蓄電池は、屋外タイプ、屋内タイプの2種類を用意。4.8kWと9.6kWの2種類の製品をラインアップして、ライフスタイルにあわせた提案を可能にしている。また、これまでは蓄電池を導入しようとすると、太陽電池のパワコン(パワーコンディショナー)と、蓄電池のパワコンの2台が必要であったが、これを1台でまかなうハイブリッドパワコンを用意。導入コストの削減や、パワコン間での電力ロス問題を解決できるという。