5月28日~30日に東京・有明の東京ビッグサイトで行なわれているWireless Japan 2014。情報通信研究機構(NICT)が、TVのホワイトスペースを活用したLTE通信のデモをブースで行っている。

これは、2013年11月に発表した通信システムで、テレビ放送の電波帯域(470MHz~710MHz)のホワイトスペースを活用して通信用途に利用しようとする取り組みだ。ホワイトスペースは、放送波に割り当てられている帯域であっても、使用していない一部分を活用して「影響がない範囲内で」他の通信に二次的に利用しようという目的で活用が検討されている。

ホワイトスペースで、本来の放送波に影響しないように近くでテレビが放映されている周波数を感知して、別帯域の電波を吹く方法がある。しかし、この方法では、周囲にテレビを利用しているユーザーがいる場合、LTEの電波を出力することで干渉してしまい、本来の利用目的が阻害されてしまう可能性がある。

そこでNICTでは、「ホワイトスペースデータベース」を用意。これは、本来の目的での利用者(一次利用者)とホワイトスペースの利用者(二次利用者)との間の干渉レベルを、周辺地形情報や無線局の情報などに基づいて計算。これによって、利用可能な周波数情報や利用条件を提供する。データベース化することで、周辺の利用周波数検知を行なう必要がなく、基地局の小型化も図れる。

ホワイトスペースの活用は、国内だけではなく、国際的に標準化活動が進んでおり、「IEEE802.11af」や「IEEE802.22」「IEEE802.19.1」といった多くの規格が策定されている。現時点で国内の利用を進める場合には、法令案の改正が必要になるため、実際にどの時期にホワイトスペースを活用できるようになるかは現時点で不明。

NICTの担当者は「携帯キャリアが、現在割り当てられている周波数帯域とのキャリア・アグリゲーションや、ホワイトスペース専用の通信事業者、または、ユーザーが専用端末を購入して、自宅内でWi-Fiを飛ばして使うような方法など、様々な使い方が考えられる」としていた。

なお、展示していたホワイトスペース対応のLTEスマートフォンは、テレビの周波数帯域を利用することから、既存スマートフォンから大きく設計を変更することなく、ワンセグアンテナでホワイトスペースのLTE電波を受信していた。

ホワイトスペース対応LTE端末アダプタ。技術的な試験を行なう端末であるため、あまり小型化できていない

ホワイトスペース(WS)のアンテナが見える

ワンセグアンテナで受信

ベースはパナソニック製スマートフォンだ