計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは4月11日、LTE-Advancedアップリンク4×4 MIMO信号生成ソリューションを発表した。

同ソリューションは、ソフトウェア「N7624B/25B-TFP Signal Studio for LTE/LTE-Advanced FDD/TDD」にて実現されるもので、FDD/TDDのLTE-AdvancedのEvolved Node Bに対応した受信機の検証が可能となるのに加え、今回新たにアップリンク4×4 MIMOをサポートしている。

LTE-Advancedは、3GPP LTE規格のRelease 10以降で規定されている第4世代無線通信技術である。Release 10においては、基地局は最大8×8のダウンリンクMIMO、移動機は4×4のアップリンクMIMOをサポートすることが求められている。今回の機能拡張により、「Signal Studio」はこの要求に対応することが可能となった。

また、LTE-Advanced基地局を開発する際、実際のRF信号を使用した受信機の評価は極めて重要となる。「Signal Studio」を用いれば、実際の端末がまだ存在しない開発初期の段階でも簡単にアップリンク4×4 MIMO信号を生成することができる。作成した波形は、「Agilent MXG」などの複数の信号発生器や、「Agilent PXB」などのMIMO受信機テスタを使用しRF信号として発生させ、基地局の受信試験を行うことができるため、開発の効率に寄与する。この他、LTE-Advanced受信コンフォーマンス試験規格に準拠したアップリンクMIMO信号を生成することもできる。

さらに今回、デジタルプリディストーション(DPD)機能を「Signal Studio」に追加した。DPD機能は、「Signal Studio」のエンベロープトラッキング(ET)機能とともに動作するもので、ETパワーアンプのテストに役立つ。信号がETパワーアンプや電源に送り込まれる前に、DPDをRF信号やET信号に付加することができる。

また、ソフトウェア「Test Case Manager」では、HARQ/TAクローズドループ試験を新たにサポートした。「Test Case Manager」は規格で定められた複雑な試験を、簡単なユーザーインタフェースで実行できるソフトウェアで、測定にかかる手間や時間を抑えられるだけでなく、ユーザーが変わっても手順や測定結果に一貫性を持たせることができる。HARQ/TAクローズドループ試験機能により、LTE基地局開発において、3GPP TS36.141(第7、第8節を含む)に規定されたLTE受信コンフォーマンス試験を効率的に行うことができる。

なお、価格は「N7624B Signal Studio for LTE/LTE-Advanced FDD」がオプション「TFP Advanced LTE-Advanced FDD R10」で34万2063円(税抜き)、オプション「KFP Envelope Tracking」で10万5221円(税抜き)。「N7625B Signal Studio for LTE/LTE-Advanced TDD」がオプション「TFP Advanced LTE-Advanced TDD R10」で34万2063円(税抜き)、オプション「KFP Envelope Tracking」で10万5221円(税抜き)。「N7649B Test Case Manager」がオプション「ETP LTE FDD and TDD eNB receiver tests」で10万2459円。すでに販売・出荷を開始している。

ソフトウェア「N7624B/25B-TFP Signal Studio for LTE/LTE-Advanced FDD/TDD」の画面例